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産後うつ病にzuranoloneが有効

不安・不眠症状を改善

2023年03月27日 13:40

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イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 産後うつ病では、抑うつ症状に加えて不安や不眠を合併することで、より深刻な症状を呈する場合がある。開発中のうつ病・うつ状態治療薬候補zuranoloneの産後うつ病に対する有効性と安全性を検討した第Ⅲ相ランダム化比較試験(RCT)ROBINの主解析では、プラセボに比べ抑うつ症状の有意な改善が報告されている。今回、米・Zucker Hillside HospitalのKristina M. Deligiannidis氏らは、同試験の事後解析で産後うつ病に伴う抑うつ症状、不安症状、不眠症状などに対する有効性を検討し、その結果をJ Clin Psychiatry(2023; 84: 22m14475)に報告した(関連記事『抑うつ症状に対する新規薬剤の実力を探る』)。

zuranolone 30mgを14日間投与、45日目まで追跡

 産後うつ病の発症には、神経活性ステロイド(NAS)およびγ-アミノ酪酸(GABA)シグナルの調節障害、脳活動の興奮と抑制のバランスの崩壊など複数の要因が関与していると考えられている。zuranoloneは、GABAA受容体ポジティブアロステリックモジュレーターであり、ROBIN試験では産後うつ病の抑うつ症状や不安症状の改善に有効であることが報告されている(JAMA Psychiatry 2021; 78: 951-959)。

 今回の事後解析では、産後うつ病に伴う抑うつ症状と不安症状の同時またはいずれか一方の寛解、不安症状、不眠症状、機能的な健康状態の改善に対する有効性を検討した。

 対象は、産後うつ病と診断されベースライン時のハミルトンうつ病評価尺度17項目(HDRS-17)の総スコアが26点以上だった産後6カ月以内の女性150例(年齢18~45歳)。zuranolone 30mg群(76例)とプラセボ群(74例)にランダムに割り付け、1日1回14日間経口投与し45日目まで追跡した。

寛解率、寛解維持率が高い

 抑うつ症状と不安症状の同時またはいずれか一方の寛解は、ハミルトン不安評価尺度(HARS)総スコア7以下かつHDRS-17総スコア7以下またはMontgomery-Asbergうつ病評価尺度(MADRS)総スコア10以下と定義した。

 検討の結果、抑うつ症状と不安症状の同時またはいずれか一方の寛解率(zuranolone群 vs. プラセボ群)はHDRS-17/HARS基準で投薬後3日目が18.9% vs. 2.7%、15日目が40.5% vs. 19.2%、45日目が52.1% vs. 23.2%と、いずれもzuranolone群で有意に高かった(順にP=0.003、P=0.007、P<0.001)。同様にMADRS/HARS基準もそれぞれ23.0% vs. 6.8%、43.2% vs. 23.3%、53.4% vs. 26.1%と、zuranolone群で有意に高かった(順にP=0.010、P=0.014、P=0.001)。

 zuranolone群では投薬後15日目から45日目までの寛解維持率との有意な関連が示された(HDRS-17/HARS基準;オッズ比6.2、95%CI 2.2~17.4、P<0.001)、MADRS/HARS基準;同3.7、1.5~8.9、P=0.003)。

機能的な健康状態も改善

 不安症状の改善度はHDRS-17のAnxiety/Somatization(A/S)サブスケールとエジンバラ産後うつ病質問票の不安(EPDS-3A)サブスケールを用いて評価した。その結果、HDRS-17 A/Sスコアの変化量は3、8、15、21、45日目の全ての時点でプラセボ群と比べてzuranolone群で有意に改善した(45日目のベースラインからの変化量-5.7 vs.-4.3、P=0.003)。EPDS-3Aスコアの変化量は、8日目から45日目までの全ての時点でプラセボ群と比べてzuranolone群で有意に改善した(45日目のベースラインからの変化量-3.6 vs.-2.1、P<0.001)。

 不眠症状はHDRS-17不眠症サブスケールなどを用いて評価し、zuranolone群では一部を除く全ての評価指標/時点で有意な改善が示された。患者の自己評価に基づく機能的な健康状態(Short Form 36-Item Health Survey;SF-36v2)は、zuranolone群で社会的機能、メンタルヘルス、身体機能、身体的な問題による役割機能制限、体の痛み、精神的側面のQOLサマリースコアの改善が認められた。

 以上から、Deligiannidis氏らは「zuranolone投与により、産後うつ病に伴う抑うつ症状と不安症状の同時寛解だけでなく、不眠症状や機能的な健康状態の改善が認められた」と結論。さらに「不安や不眠を抱える産後うつ病の女性に対するzuranoloneは、単剤で即効性を発揮する可能性がある」と期待を示している。

(小谷明美)

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