メニューを開く 検索

トップ »  医療ニュース »  2023年 »  皮膚 »  日光療法でアトピー性皮膚炎が長期に改善

日光療法でアトピー性皮膚炎が長期に改善

モンテネグロ・24例の観察研究

2023年03月28日 09:55

288名の医師が参考になったと回答 

イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 モンテネグロ・University of MontenegroのZoran Terzić氏らは、同国のアトピー性皮膚炎の患者24例を対象に、太陽光(紫外線)を1日3~4時間浴びるヘリオセラピー(日光療法)の有効性を検討する観察研究を実施。その結果、2週間の日光療法の終了直後および終了後3カ月時点で治療開始前に比べて有意な皮疹と痒みの軽減およびQOLの改善が認められたとPostepy Dermatol Allergol2023; 40: 159-164)に発表した。

夏の海辺で日光浴を2週間

 対象は、2021年7月または8月にモンテネグロの沿岸地域で夏期休暇を過ごした軽症~重症アトピー性皮膚炎の患者24例(平均年齢24.25歳、男性54.2%、平均罹病期間13.71年)で、アトピー性皮膚炎の重症度指数SCORing Atopic Dermatitis(SCORAD:範囲0~103点)は7~62点だった(SCORADスコア25点未満が軽症、50点超が重症)。紫外線が最も強い時間帯を避け、日焼け止めを用いずに1日3~4時間の日光浴を14日間行った。14日間の治療の平均紫外線強度(UV Index)は6.714~9だった。

 評価項目はSCORAD、湿疹面積・重症度指数(Eczema Area and Severity Index;EASI)、皮膚疾患のQOL評価指標(Dermatology Life Quality Index;DLQI)、痒みの重症度の評価尺度(Severity of Pruritus Scale;SPS)の各スコアとし、14日間の日光療法の開始前、終了直後(終了後1~2日)、終了後3カ月の時点で評価した。

3カ月後の重症度、皮疹、痒み、QOLスコアが改善

 解析の結果、平均SCORADスコアは治療開始前の25.91点に比べ、治療終了直後と3カ月時点でそれぞれ15.13点(40%低下)、19.30点(31.1%低下)と有意な改善が認められた(全てP<0.001)。

 平均EASIスコアも、治療開始前の20.92に比べ終了直後が10.29(49%低下)、3カ月時点が13.67(31%低下)と有意な改善が認められた(全てP<0.001)。

 QOLに関しても有意な改善が見られ、平均DLQIスコアは治療開始前の11.42から3カ月時点には8.29と31.57%低下し、平均SPSスコアは同期間で1.42から1.00に低下した(全てP<0.001)。

 これらのスコアの変化と患者の年齢、併存疾患、罹病期間、BMIとの相関は認められなかった。しかし、治療終了直後および3カ月時点のEASIスコアと平均UV Indexの間には強い負の相関が認められ(r=-58、P=0.002)、UV Indexが高値になるほどEASIスコアが低かった。

 以上を踏まえ、Terzić氏らは「2週間の日光療法は、アトピー性皮膚炎に対して即効性があるだけでなく、長期的に皮疹とQOLを改善することが示された」と結論。「これらは極めて有望な結果であり、より高位の治療段階に日光療法を位置付ける転換点となる可能性がある」と述べており、モンテネグロのように日照時間が長い国では特に期待が持てるとしている。

(太田敦子)

無料でいますぐ会員登録を行う

【医師限定】

初回登録で500円分のポイントをもれなく進呈!

(4月末迄/過去ご登録のある方を除く)

  • ・ ご利用無料、14.5万人の医師が利用
  • ・ 医学・医療の最新ニュースを毎日お届け
  • ・ ギフト券に交換可能なポイントプログラム
  • ・ 独自の特集・連載、学会レポートなど充実のコンテンツ

ワンクリックアンケート

円安水準を更新。円安で何を思う?

トップ »  医療ニュース »  2023年 »  皮膚 »  日光療法でアトピー性皮膚炎が長期に改善