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1型糖尿病の週1インスリン、既存薬に非劣性

第Ⅱ相非盲検ランダム化比較試験

2023年03月28日 16:05

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イメージ画像 ©Getty images ※画像はイメージです

 フランス・Lilly France社のChristof M. Kazda氏らは、1型糖尿病患者265例を対象に、一本鎖インスリン変異体にヒト免疫グロブリンIgG Fc領域が結合した融合蛋白質である基礎インスリンFc(BIF、商品名insulin efsitora alfa、開発コードLY3209590)の安全性と有効性を第Ⅱ相非盲検ランダム化比較試験で検討。その結果、血糖コントロールに関してインスリンデグルデク1日1回投与に対するBIF週1回投与の非劣性が示されたDiabetes Care2023年3月15日オンライン版)に発表した。

26週間、インスリンデグルデク1日1回投与と比較

 同試験の対象は、1日複数回の基礎インスリン注射を3カ月以上行っている18歳以上の1型糖尿病患者265例(平均年齢46.4歳、男性61.9%、ベースラインの平均HbA1c 7.5%、平均BMI 27.4、平均罹病期間22.1年)。対象をBIF週1回投与群とインスリンデグルデク1日1回投与群に1:1でランダムに割り付けて26週間治療した。両群とも空腹時血糖の目標値は80~100mg/dLとした。

 主要評価項目は26週時におけりHbA1cのベースラインからの変化量、副次評価項目は目標血糖コントロール範囲(70~180mg/dL)にある時間の割合(time in range;TIR)、持続グルコースモニター(CGM)による空腹時血糖値および低血糖発生率とした。

 解析の結果、主要評価項目としたHbA1cの変化量はインスリンデグルデク群の-0.13%に対しBIF群では0.04%で、有意な治療差が認められたが(0.17%ポイント、90%CI 0.01~0.32、P=0.07)、事前に設定した非劣性マージンの0.4%を下回ったことからインスリンデグルデクに対するBIFの非劣性が示された。

低血糖、その他の有害事象は差なし

 26週時のHbA1c 7%未満を達成した割合(インスリンデグルデク群37.1% vs. BIF群31.3%、P=0.595)、TIR(同58.9% vs. 56.1%、P=0.112)は、いずれも有意差がなかった。

 一方、CGMによる空腹時血糖値はインスリンデグルデク群と比べてBIF群で有意に高かった(インスリンデグルデク群143.2mg/dL vs. BIF群158.8mg/dL、P=0.003)。

 CGMによる24時間の低血糖発生率は、レベル1低血糖(54mg/dL以上70mg/dL未満)、レベル2低血糖(54mg/dL未満)のいずれも両群で有意差がなかった(順にP=0.960、P=0.517)。さらに、24時間中の低血糖の状態にある時間についても、レベル1(インスリンデグルデク群32.0分 vs. BIF群28.4分、P=0.371)、レベル2(同7.89分 vs. 7.46分、P=0.816)のいずれも同等だった。

 安全性の評価では、BIFは全般的に忍容性が高く、重篤な有害事象の発現率は両群で同等だった。

 以上の結果から、Kazda氏らは「1型糖尿病患者において、インスリンデグルデク1日1回投与と比べ、BIF週1回投与は年間インスリン注射回数を365回から52回に減らしつつ、安全かつ効果的な血糖コントロールを行える可能性がある」と結論している。

太田敦子

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