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「光害」の死亡リスク、死因別に検討

2023年03月28日 17:30

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 「光害(ひかりがい)」とも称される夜間照明(Light at night;LAN)の健康への悪影響が指摘される中、中国・Third Xiangya Hospital of Central South UniversityのYao Lu氏らは、LAN曝露による死因別の死亡リスクを検討。結果をBMC Med2023; 21: 95)に報告した。

579地域対象に放射輝度別に死亡リスク検討

 家庭内または街頭や各種施設などの過剰かつ不要な夜間照明(ライトアップやイルミネーションなどを含む)が、生態系やヒトの健康に悪影響を及ぼすことが報告されて久しい。LANの曝露は概日リズムの乱れを引き起こし、冠動脈疾患(CHD)や糖尿病、肥満、がんなどの要因の1つになると指摘されている、とLu氏ら。

 同氏らによると、中国本土では人口の90%がLANにさらされているが、これまでLAN曝露による死亡リスクは検討されていないという。そこで、同国の主な579地域(county)を対象とする2つのデータベースを用い、LAN曝露による全死亡および死因別の死亡リスクを検討した。

 対象は2015〜19年のデータで、579地域はLANに関する情報が入手可能で1日当たり3例以上の死亡が報告されている。LANのデータは、地球観測衛星Suomi NPPに搭載された可視赤外撮像機放射計(NPP-VIIRS)から取得し、放射輝度で2.67nW/cm2/sr未満を第1三分位(LAN低値群)、2.67〜3.63nW/cm2/sr未満を第2三分位(LAN中央値群)、3.63nW/cm2/sr以上を第3三分位(LAN高値群)に分けた。なお、大気汚染〔微小粒子物質(PM2.5)濃度〕に関するデータも収集。死因は国際疾病分類第10版に基づいた。

LAN曝露と死亡リスクに正の相関、年齢や性で層別化も変わらず

 追跡期間中の579地域における1日当たりの平均LAN照度は4.39nW/cm2/srで、平均死亡者数は4,015例(自然死3,724例、外的要因291例)だった。

 条件付きPoisson回帰モデルにより、気温、湿度、PM2.5濃度を調整した各地域における1日当たりのLAN曝露による死亡の相対リスク(RR)を求め、メタ解析により広域(中国全土または区域)での特性を検討した。その結果、1日当たりのLAN曝露が100nW/cm2/sr上昇するごとに全死亡および自然死リスクが有意に8%上昇した(ともにRR 1.08、95%CI 1.05〜1.11)。一方、外的要因による死亡との関連は示されなかった(同1.04、0.97〜1.113)。

 死因別に検討したところ、神経系疾患(RR 1.32、95%CI 1.14〜1.52)、CHD(同1.07、1.02〜1.12)、脳卒中(同1.09、1.03〜1.16)、心不全(同1.76、1.12〜2.76)、気管支喘息(同1.56、1.14〜2.13)、腎不全(同1.60、1.17〜2.17)、皮膚がん(同2.92、1.76〜4.85)、口腔がん(同1.63、1.30〜2.04)などによる死亡リスクの上昇が確認された。心筋梗塞、慢性閉塞性肺疾患、自傷行為による死亡との関連は見られなかった。年齢および性で層別化した解析でも、結果は変わらなかった。

 以上から、Lu氏らは「LAN曝露と自然死に正の相関が認められ、年齢や性による層別解析でも結果は同様だった」と結論。「従来の報告と同様、LAN曝露が公衆衛生にもたらす影響は深刻である」と付言している。

松浦庸夫

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