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ASD児、乳幼児期の摂食パターンは?

2023年03月30日 14:14

347名の医師が参考になったと回答 

イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 自閉スペクトラム症(ASD)児の養育については、これまで多くの研究で乳幼児期の摂食パターンがASDの進行に及ぼす影響が検討されてきたが、母乳との関係について一貫した結果は得られていなかった。中国・Children's Hospital of Chongqing Medical UniversityのXueli Xiang氏らは、ASD児と定型発達(TD)児における母乳および補完食の摂食パターンを比較する全国多施設調査を実施。その結果をBMC Psychiatry(2023: 23: 174)に発表した。

中国13都市の2,579児の摂食パターンを評価

 米疾病対策センター(CDC)によると、2018年、米国では44人に1人(約2.3%)がASD児で、その数は2016年から約24%増加していた。一方、中国での有病率は0.7%だという。今回、Xiang氏らはASD児とTD児において摂食パターン(母乳哺育期間、補完食導入のタイミング、補完食の受け入れ状況)の違いを比較する目的で、多施設後ろ向き研究を実施した。

 2018年5月~19年12月に中国の13都市で7歳未満のASD児1,389例(ASD群)とTD児1,190例(TD群)を登録。児の保護者は、年齢、性、居住地、親の学歴、平均年収、乳幼児期の母乳哺育と補完食に関するアンケートに回答した。児の神経発達レベルをChildren Neuropsychological and Behavior Scale-Revision 2016 (CNBS-R2016) を用いて評価し、ASD症状を①異常行動チェックリスト(ABC)、②対人応答性尺度(SRS)、③小児自閉症評定尺度(CARS)、④CNBS-R2016のASD Warning Behavior Subscale―の4つを用いて評価した。

母乳哺育期間がASD児で有意に短い

 検討の結果、TD群に比べてASD群は乳幼児期の母乳哺育期間が有意に短かった〔TD群:中央値10カ月、四分位範囲(IQR)6~14カ月、P<0.001 、ASD群: 同8カ月、3~12カ月〕。また、TD群はASD群に比べて補完食の導入が遅く(P<0.001)、受け入れも悪かった(P<0.001)。

 多変量ロジスティック回帰分析では、児の年齢、性、居住地、家庭の年収、親の学歴といった共変量を調整したところ、ASD発症の調整後オッズ比(aOR)は、母乳哺育が6カ月未満の児に対し、12カ月以上の児で0.607(95%CI 0.486~0.757)と発症リスクが有意に低かった(P<0.001)。一方、補完食の受け入れが良かった児に対し、受け入れが悪かった児のaORは2.672(95%CI 1.821~3.921)とリスクが有意に高かった(P<0.001)。

ASD児のみで比較しても同様の結果

 さらに、多変量回帰分析で摂食行動がASDの中核症状に及ぼす影響を検討したところ、 母乳哺育が6カ月未満のASD児群に比べて、12カ月以上のASD児群はABCとCARSの合計スコアが有意に低かった(6カ月未満群:β=ー1.355、95%CI ー2.330~ー0.379、P<0.01、12カ月以上群:同ー4.923、ー8.214~1.631、P <0.01)。

 また、補完食の受け入れが良好なASD児に比べ補完食の受け入れが不良なASD児ではABCとSRSの合計スコアが有意に高かった(良好群:β=9.564、95%CI 4.934~14.194、P<0.001、不良群:同5.103、0.288~9.919、P<0.05)。

 さらに、共変量を調整して神経発達レベルを比較したところ、生後6カ月より後に補完食を導入したASD児は4~6カ月以内に補完食を導入したASD児に比べて一般知能指数(GQ、β=ー3.584、95%CI ー6.370~ー0.799、P=0.012)、微細運動(β=ー3.275、95%CI ー6.324~ー0.226、P=0.035)、適応能力(β=ー4.023、95%CI ー7.119~ー0.927、P=0.011)、言語能力DQスコア(β=ー4.684、95%CI ー8.575~ー0.794、P=0.018)が低かった。

 今回の結果から、Xiang氏らは「ASD児はTD児と比べて母乳哺育の期間が短く、補完食の導入が遅く、補完食の受け入れも不十分である」と結論。また、ABCとCARSの合計スコアは母乳哺育が6カ月未満のASD児より12カ月以上のASD児で低かったことから、母乳哺育が児の神経発達に有益である可能性が示唆されたという。同氏らは「母乳哺育の期間が短く、補完食の導入が困難な児では神経発達障害について慎重に評価する必要がある」と指摘している。

(編集部)

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