メニューを開く 検索

トップ »  医療ニュース »  2023年 »  糖尿病・内分泌 »  肥満にセマグルチドが最強、課題は副作用

肥満にセマグルチドが最強、課題は副作用

GLP-1受容体薬とSGLT2阻害薬を比較検討

2023年04月05日 17:09

475名の医師が参考になったと回答 

 中国・Zhongshan Hospital Xiamen University/Fujian Medical UniversityのHong Ma氏らは、GLP-1受容体作動薬4剤(エキセナチド10μg、デュラグルチド1.5mg、リラグルチド1.8mg、同3.0mg、セマグルチド1.0mg、同2.4mg)とSGLT2阻害薬3剤(カナグリフロジン300mg、ダパグリフロジン10mg、エンパグリフロジン10mg)のランダム化比較試験(RCT)61件・1万7,281例を対象にネットワークメタ解析を実施。過体重/肥満の成人における有効性および安全性を比較検討した。その結果、GLP-1受容体作動薬は糖尿病の有無にかかわらず体重、血糖、血圧の低下効果が高く、薬剤別に見るとセマグルチド2.4mgが最も高い効果を示した一方で、有害事象のリスクも高かったとBMJ Open2023; 13: e061807)に発表した。SGLT2阻害薬は血糖や血圧の低下効果は中程度だったものの、忍容性が高かった。

体重減少効果は両クラスで同等

 Ma氏らは、PubMed、ISI Web of Science、EMBASE、Cochrane Central Register of Controlled Trialsに2022年1月までに登録された研究を検索。過体重/肥満の成人におけるGLP-1受容体作動薬またはSGLT2阻害薬の効果を検討したRCT 61件・1万7,281例を抽出し解析に組み入れた。このうち35件は糖尿病患者が対象で、20件は過体重/肥満の非糖尿病患者、6件には両者が含まれた。対象全体の年齢中央値は54.1歳、BMI中央値は33.6、体重中央値は96.4kgで、糖尿病患者は平均罹病期間が8.72年、ベースラインの平均HbA1cが7.92%だった。

 解析の結果、プラセボと比べてGLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬のいずれも有意な体重減少効果(56件:-1.47~-11.47kg)およびベースラインから5%以上の体重減少達成(24件)が認められ、効果は両薬で同等だった(RCT 56件)。

 血糖コントロール(35件)は両薬ともプラセボと比べて良好だった。HbA1c低下効果はSGLT2阻害薬と比べてGLP-1受容体作動薬で高かったが(平均差-0.39%、95%CI -0.70~-0.08%)、空腹時血糖(FPG:30件)低下効果に両薬で差はなかった。

 血圧低下効果は、プラセボと比べてSGLT2阻害薬では収縮期血圧(37件)の低下効果がやや高い程度で、拡張期血圧(34件)の低下効果に差はなかった。一方、GLP-1受容体作動薬は収縮期・拡張期血圧ともに有意な低下効果を示した。

服薬中止率高いGLP-1受容体作動薬、上位3製剤は? 

 重篤な有害事象の発現率および有害事象による投与中止率(61件)は、プラセボと比べGLP-1受容体作動薬で高かったのに対し、SGLT2阻害薬は有意差がなく忍容性が高かった。最も発現頻度が高かった重篤な有害事象は、SGLT2阻害薬では生殖器真菌感染症および尿路感染症、GLP-1受容体作動薬では膵炎および急性胆囊疾患だった。

 投与中止率が高い上位3製剤は順に、エキセナチド10μg(オッズ比 2.96)、リラグルチド3.0mg(同2.88)、セマグルチド2.4mg(同1.88)。デュラグルチド1.5mg、セマグルチド1.0mg、カナグリフロジン300mg、ダパグリフロジン10mg、エンパグリフロジン10mgとプラセボに差はなかった。

 薬剤別に見ると、有効性が最も高かったのはセマグルチド2.4mgで、プラセボとの平均差は体重減少が-11.51kg(95%CI -12.83~-10.21kg)、HbA1c低下が-1.49%(同-2.07~-0.92%)、FPG低下が-38.7mg/dL(同-51~-28.6mg/dL)、収縮期血圧低下が-4.89mmHg(同-6.04~-3.71mmHg)、拡張期血圧低下が-1.59mmHg(同-2.37~-0.86mmHg)だった。

 以上の知見を踏まえ、Ma氏らは「今回検討した7剤・9規格のGLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬の中で、セマグルチド2.4mgは体重、血糖、血圧の低下効果が最も高かったが、有害事象のリスクも高かった(エビデンスの確実性は中等度)」と結論。さらに「GLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬は他の糖尿病治療薬と比べて高価であり、今後の研究で費用効果やアドヒアランスについても検討する必要がある」と付言している。

(太田敦子)

無料でいますぐ会員登録を行う

【医師限定】

初回登録で500円分のポイントをもれなく進呈!

(4月末迄/過去ご登録のある方を除く)

  • ・ ご利用無料、14.5万人の医師が利用
  • ・ 医学・医療の最新ニュースを毎日お届け
  • ・ ギフト券に交換可能なポイントプログラム
  • ・ 独自の特集・連載、学会レポートなど充実のコンテンツ

ワンクリックアンケート

円安水準を更新。円安で何を思う?

トップ »  医療ニュース »  2023年 »  糖尿病・内分泌 »  肥満にセマグルチドが最強、課題は副作用