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週1~2日でも8,000歩で死亡リスク減

米国民保健栄養調査

2023年04月06日 16:25

466名の医師が参考になったと回答 

イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 運動不足は公衆衛生上の課題の1つであり、世界中で毎年約320万人の死亡および約5兆4,000億円の直接医療費の発生に関連すると推定される。歩数は、簡便かつ有効な身体活動量の測定方法として用いられており、歩数が増えるほど死亡率が低下し、リスク低減は8,000歩/日でピークに達することが指摘されている。京都大学大学院社会疫学分野の井上浩輔氏と米・カリフォルニア大学ロサンゼルス校公衆衛生大学院医療政策学准教授の津川友介氏らの研究グループは、米国民保健栄養調査(NHANES)のデータを用いて、1週間に8,000歩を達成した日数と全死亡および心血管疾患(CVD)死亡との関連を検討。週1~2日程度でも死亡リスクが低下し、健康に良い影響を及ぼすことを明らかにしたとJAMA Netw Open2023 ; 6: e235174)に発表した。

米国成人3,101人を10年間追跡

 歩数の多さはCVDや認知症リスクの低下との関連が指摘されており、平均8,000歩/日で最も死亡リスクが低下するとのメタ解析もある(Lancet Public Health 2022; 7: e219-e228)。健康日本21(第二次)では、目標歩数を20~64歳で男性9,000歩、女性8,500歩、65歳以上でそれぞれ7,000歩、6,000歩としている。

 しかし、仕事や持病、家族の都合により8,000歩/日が達成できない者も多く、米国人の平均歩数は4,800歩/日にすぎない。また、週のうち何日目標歩数を達成すれば健康リスクが低減できるかについてのエビデンスもなかった。

 そこで研究グループはNHANESのデータを用いて、1週間のうち8,000歩/日以上を達成した日数と全死亡およびCVD死亡の関連を検討するコホート研究を実施した。

 対象は2005~06年にNHANESに参加し、加速度計で連続7日間の歩数を測定した20歳以上の3,101人(平均年齢50.5歳、女性51%、黒人21.5%、白人50.9%、ヒスパニック/ラテン系23.7%、歩数の中央値8,793歩/日)。8,000歩/日を達成した日数で0日群、1~2日群、3日以上群に分け、2019年12月31日まで追跡して10年間の全死亡およびCVD死亡リスクを検討した。

全死亡リスクが1~2日群で14.9%、3日以上群で16.5%低い

 10年の追跡期間中に全死亡が439例(14.2%)、CVD死亡が148例(5.3%)発生した。内訳は、全死亡が0日群で257例、1~2日群で75例、3日以上群で107例、CVD死亡がそれぞれ87例、26例、35例だった。

 多変数最小二乗法(OLS)で性、人種/民族、加入している医療保険の種類、配偶者の有無、喫煙、体重、BMI、推算糸球体濾過量、スタチン使用、併存疾患、既往歴、歩数、所得、自己評価に基づく健康状態などを調整した、0日群に対する10年間の全死亡のリスク差(aRD)は、1~2日群で-14.9%ポイント(95%CI -18.8~-10.9%ポイント〕、3日以上群で-16.5%ポイント(同-20.4~-12.5%ポイント)と、いずれも低かった。10年間のCVD死亡のaRDについても、1~2日群で-8.1%ポイント(同-11.8~-4.4%ポイント)、3日以上群で-8.4%ポイント(同-12.5~-4.4%ポイント)とリスク低下が認められた。

 制限付き三次スプラインモデルで解析した結果、8,000歩/日の達成日数と10年間の全死亡およびCVD死亡リスクには線形関係が認められ、達成日数が増えるほどリスクが低下し、3~4日でプラトーに達した()。

図. 8,000歩/日の達成日数と10年間の全死亡・CVD死亡リスクの関係

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(京都大学プレスリリースより)

 同様の関係は、1日の目標歩数を6,000~1万歩に変えても一貫して認められた。これらの結果から、定期的な運動が難しくても週に数日8,000歩以上歩くことで、健康に有益な影響をもたらす可能性が示唆された。

 以上を踏まえ、研究グループは「8,000歩/日以上の歩行が全死亡およびCVD死亡リスクの低下に関連することが示された。リスクの低減幅は初めの数日で大きく、週1~2日の達成でも週3日以上とほぼ同等のベネフィットを認めた。週1~2日程度でも目標歩数が達成できれば、健康に良い影響をもたらす可能性がある」と結論。「運動時間の確保や定期的な運動が難しい成人、高齢者にとって重要なエビデンスとなることが期待される」と付言している。

(小野寺尊允)

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