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妊娠前BMIと児の体重増加は肥満リスク?

2023年04月11日 05:05

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 母親の妊娠前BMIと乳児の急速な体重増加(rapid weight gain;RWG)はそれぞれ独立して小児肥満リスクを上昇させるが、妊娠前BMIと乳児RWGが相互に将来的な児の肥満リスクに関与しているかについては明らかでないという。米・University of Colorado School of MedicineのStephanie P. Gilley氏らは両者の関連を検討。結果をPediatrics2023年4月5日オンライン版)に報告した。

母児414組を比較

 妊婦の体重は出生児の将来的な肥満リスクに関与し、妊娠前BMIが出生児のRWGの予測アルゴリズムにも含まれるとGilley氏らは指摘する。加えて、乳児のRWGは後年の過体重および肥満リスクと強い関連を示しており、乳児期の体重増加レベルが小児期および成人期のBMIと直接的に関連することが認められるという。

 しかし、母親の妊娠前BMIと出生児の乳児期RWGが相互に作用しているかは明らかでないとして、同氏らは両者について検討を行った。対象は、2009〜14年に16歳以上で妊娠24週以前の妊婦1,410例を登録した出生前観察コホート研究Healthy Start Studyのデータ。このうち出生児の定期的な体重データなどが入手できた母児414組を抽出。多胎児妊娠、重症慢性疾患の既往例、25週以前の死産または早産は除外した。

 RWGは、小児肥満リスクのカットオフ値である出生3〜7カ月における年齢に対する体重増加のzスコアを0.67以上としたところ、RWG群77例、通常体重増加(対照)群337例だった。小児の体組成評価は空気置換プレチスモグラフィーにより、4歳および7歳児に実施した。各群の母親の主な背景は、妊娠前BMIの平均が両群とも26.2、妊婦の過体重および肥満例の割合がRWG群50.7%、対照群49.6%、妊娠中の過度の体重増加例の割合が順に33.8%、30.9%だった。

妊娠前BMIと児のRWGはともに小児肥満リスクに

 対照群と比べたRWG群の特徴として、①低出生体重(2.8kg vs. 3.2kg)、②1週間の早期出生(38.7週 vs. 39.7週)、在胎不当過小(SGA)児の傾向(33.8% vs. 13.1%)―が挙げられた。一方、RWG群と対照群における母親の妊娠前BMI、妊娠中の過度の体重増加、人種、民族、児の性、分娩様式、出生直後の摂食様式に差は認められなかった。

 一般線形回帰モデルを用い、母親の妊娠前BMIと児の小児期RWGおよび小児のBMIのzスコアと体脂肪率(%FM)の相互作用との関連を検討した。その結果、妊娠前BMIと児の小児期RWGはいずれも小児のBMIのzスコアおよび%FMと正の相関が示された。

 また、妊娠前BMI別に児のRWGの有無で小児期の平均BMI zスコアを比較した。その結果、児のRWGなしに比べありでは小児期平均BMIのzスコアは、妊娠前BMI 30の女性の児で1.25(95%CI 0.84〜1.65)、妊娠前BMI 23の女性の児で1.50(同1.10〜1.90)高かった。さらに、RWGは妊娠前BMIおよび児の%FMとの関連にはあまり影響を及ぼしていないことも分かった。

 以上から、Gilley氏らは「母親の妊娠前BMIと児のRWGはともに小児肥満リスクの上昇と関連することが示唆された」と結論。「小児科医療従事者は、特に肥満の妊婦においては将来の児の肥満リスク減少を見据え、乳児期のRWGを管理すべき」と付言している。

松浦庸夫

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