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排便習慣の確立で認知症患者の慢性便秘を改善

生活支援が有効

2023年04月13日 14:57

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 慢性便秘は、介護施設に入所中の高齢認知症患者に好発して興奮、徘徊、暴言などの認知症の行動・心理症状(BPSD)を引き起こし、介護者に多大な負担がかかる可能性がある。浜松医科大学臨床看護学講座の内藤智義氏らの研究グループは、排便習慣の確立(Bowel training)と効果的な排便姿勢の組み合わせが高齢認知症患者の慢性便秘改善に有効であるとAm J Gastroenterol (2023; 118: 531-538)に報告した。

生活支援のみの非薬理的排便ケアの効果を検証

 2019年に実施された国民生活基礎調査によると、便秘の有訴者数は加齢に伴い徐々に増加し、70歳代では60歳代の倍に急増、65歳以上が有訴者全体の6割近くを占める。高齢者の便秘の要因には、運動量の減少、食事や水分摂取量の減少、基礎疾患の治療薬などの影響、筋肉量の低下、便意を感じる感覚の低下などが考えられるが、これらは加齢による変化であるため慢性化しやすい。特に施設などに入所する高齢認知症患者は下剤を処方されているケースも多く、副作用の問題もあり注意を要する。

 研究グループは、6カ所の介護施設に入所している認知症高齢患者を、Bowel trainingと排便を促進する効果的な排便姿勢の指導を組み合わせた排便ケアを行う介入群(14人)と、水分・食事摂取の促しおよび下剤管理などの一般的なケアを行う対照群(16人)に分けた。24時間以内に下剤や浣腸などの処置を受けていない残便感のない自発的排便(CSBM)の週当たりの平均回数、QOL、認知症のBPSDと関連した介護者の負担感を開始時と8週後で比較した。

8週間の介入後、全てのスコアが改善

 CSBMの週当たりの平均回数は、対照群では開始時が0.56回、8週後が0.43回だったのに対し、介入群では開始時0.53回、8週後1.58回と有意に増加した()。QOLについて、心配・身体的不快・精神的不快・不満足の変化量を改善(-)/悪化(+)としてスコア化したところ、対照群では8週後にやや悪化していたのに対し、介入群は大幅な改善が見られた。また、認知症のBPSDとそれに関連する介護者の負担感も、対照群に比べ介入群で改善が見られた。

図. CSBMの週当たりの平均回数

20230412 effect of bowel training-s.png

(浜松医科大学プレスリリースより)

生活支援による慢性便秘改善を新たなスタンダードに

 以上の結果について、内藤氏らは「高齢認知症患者の慢性便秘には、非薬理的介入である排便習慣の最適化が有意に効果的で、認知症のBPSD改善とそれによる介護者の負担感減少にも効果があることを示すことができた。この成果が高齢認知症患者の慢性便秘改善や介護者の排便ケア技術の向上に役立つことを期待したい」と述べている。

栗原裕美

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