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SGLT2阻害薬で進行CKDの尿酸排泄が促進

日本人CKD患者の後ろ向きコホート研究

2023年04月14日 17:30

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 堺市立総合医療センター腎臓内科の岩田幸真氏らは、同科を受診した日本人慢性腎臓病(CKD)患者121例を対象に後ろ向きコホート研究を行い、SGLT2阻害薬ダパグリフロジンの血清尿酸値に対する効果を検討。その結果、ステージG3a以上の進行CKD患者では、ダパグリフロジン10mg/日投与により血清尿酸値が有意に低下し、尿中尿酸排泄率(FEUA)は有意に上昇したとSci Rep2023; 13: 4849)に発表した。

血清尿酸値は6.4→5.6mg/dlに低下、FEUAは6.76→9.22に上昇

 血清尿酸値のコントロールはCKD患者にとって重要だが、多くは目標値を達成できていない。既存の尿酸降下薬であるアロプリノールは、血清尿酸値を低下させCKDの進行を遅延することが示されているが、腎転帰を改善しなかったとの報告もある。一方、SGLT2阻害薬は腎保護作用を有し、2型糖尿病患者の血清尿酸値を低下させることが知られているものの、進行CKD患者においても同様の効果があるかどうかは明らかでない。

 そこで岩田氏らは、2021年8月~22年8月に堺市立総合医療センター腎臓内科でダパグリフロジン10mg/日を新規に開始した日本人CKD患者121例の医療記録を用い、進行CKD患者の血清尿酸値に対するSGLT2阻害薬の効果を検討した。血清尿酸値の未測定例やステージG1/2例などを除外し、75例を解析に組み入れた。年齢中央値は67歳、男性が54例(72.0%)、糖尿病合併が23例(30.7%)で、CKDステージの内訳はG3aが21例(28.0%)、G3bが24例(32.0%)、G4が29例(38.7%)、G5が1例(1.3%)だった。

 解析の結果、血清尿酸値の中央値は、ダパグリフロジン投与前の6.4mg/dL〔四分位範囲(IQR)5.6~7.0mg/dL〕から投与後には5.6mg/dL(同4.7~6.5mg/dL)へと有意に低下した(P<0.001)。血清尿酸値の変化率の中央値は-0.12%(IQR -0.20~-0.04%)だった。

 ダパグリフロジン投与による血清尿酸値の有意な低下は、CKDステージにかかわらず一貫して認められた(G3aのみP=0.001、G3b~5はP<0.001)。

 さらに、FEUA測定値が得られた35例(ステージ3a~4)の解析では、FEUAの中央値は投与前の6.76%から投与後には9.22%へと有意に上昇していた(P<0.001)。

尿酸の改善にeGFRは関連せず

 重回帰分析では、血清尿酸値の変化率およびFEUA変化率のいずれも、推算糸球体濾過量(eGFR)との有意な関連は認められなかった。また、FEUA変化率と血清尿酸値変化率との有意な相関は認められなかった。岩田氏らは「SGLT2阻害薬による進行CKD患者の血清尿酸値低下には、尿酸の腸管排泄など尿中排泄以外のメカニズムが関与している可能性がある」と考察している。

 また、ダパグリフロジン投与による血清尿酸値低下およびFEUA上昇は、ステージG1/2症例および糖尿病合併例に限定した解析でも同様に認められ、血清尿酸値に対するSGLT2阻害薬の効果は、腎機能または糖尿病とは無関係である可能性が示唆された。

 同氏らは「ダパグリフロジンは進行CKD患者のFEUAを上昇させ、血清尿酸値を低下させた」と結論。その上で、「メカニズムは完全には解明されておらず、さらなる研究が必要」と付言している。

(太田敦子)

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