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潰瘍性大腸炎の新規抗体薬、患者のQOL改善

第Ⅱ相試験の結果

2023年04月17日 14:50

353名の医師が参考になったと回答 

 米・Icahn School of Medicine at Mount SinaiのMarla C. Dubinsky氏らは、インターロイキン(IL)-23p19サブユニットを標的とするモノクローナル抗体ミリキズマブ(商品名オンボー)が中等症~重症の活動性潰瘍性大腸炎患者の健康関連QOL(HRQOL)に及ぼす影響を第Ⅱ相試験で検討。その結果、ミリキズマブは投与12週の時点でプラセボと比べてHRQOLを有意に改善し、効果は52週まで持続したとBMJ Open Gastro2023; 10: e001115)に発表した。

200mg群、600mg群でプラセボ群と比べ有意な改善

 別の第Ⅲ相試験では、ミリキズマブは中等症~重症活動性UCに有効性を示し、忍容性が高く、便意切迫感、Mayoスコアで評価した排便回数、直腸出血、内視鏡検査所見を有意に改善することが示されている。そこでDubinsky氏らは、同薬が潰瘍性大腸炎患者のHRQOLに及ぼす影響について検討した。

 今回の試験では、中等症~重症活動性潰瘍性大腸炎患者249例をミリキズマブ50mg群、200mg群、600mg群、プラセボ群に1:1:1:1でランダムに割り付け、12週間治療した(導入期間)。12週時点における臨床的改善の達成者を維持期間に組み入れ、プラセボ群の達成者はプラセボ投与を継続し、ミリキズマブ群の達成者は同薬200mgを4週間隔または12週間隔で投与する群にランダムに割り付けて52週まで治療した。

 反復測定混合効果モデル(MMRM)による解析の結果、ミリキズマブ200mg群、600mg群では12週時点でプラセボ群と比べてInflammatory Bowel Disease Questionnaire(IBDQ)合計スコア(両群ともP<0.001)、36-Item Short Form Health Survey(SF-36)身体的健康スコア(順にP=0.022、P=0.002)、SF-36精神的健康スコア(P=0.028、P<0.001)の有意な改善が示された。

 ミリキズマブ200mg群では、12週時点でIBDQ合計スコアの臨床的に重要な変化の最小値(MCID、ベースラインからの16点以上の改善)を達成した割合がプラセボ群に比べて有意に高く(75.8% vs. 50.8%、P=0.002)、52週時点のMCID達成率は80%超に上った。

 一方、ミリキズマブ50mg群ではSF-36身体的健康スコアはプラセボ群と比べて有意に高かったが(P=0.011)、IBDQ合計スコア(P=0.073)とSF-36精神的健康スコア(P=0.429)は有意差がなかった。

直腸出血がQOL改善と最も強く相関

 12週時点で臨床的改善または寛解(内視鏡検査所見、排便回数、直腸出血の各Mayoスコアに基づく寛解、便意切迫感の消失)を達成した患者では、非達成者と比べて前述の各HRQOLスコアのベースラインからの改善度が有意に大きかった。各スコアの改善と最も強い相関が認められたのは直腸出血だった。

 12週時点で臨床的改善または寛解を達成したミリキズマブ投与例では、これらのHRQOL改善効果が52週まで持続していた。

 以上を踏まえ、Dubinsky氏らは「直腸出血などの臨床症状の改善が、潰瘍性大腸炎の重要な治療目標であることに変わりはない」と述べ、「現在進行中の第Ⅲ相試験でミリキズマブの臨床的有効性や薬剤経済学的有益性が明らかになるだろう」と期待を示している。

(太田敦子)

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