メニューを開く 検索

トップ »  医療ニュース »  2023年 »  循環器 »  若年の脳卒中初発例で発がんリスク上昇

若年の脳卒中初発例で発がんリスク上昇

2023年04月19日 16:04

324名の医師が参考になったと回答 

 オランダ・Radboud University Medical CenterのJamie I. Verhoeven氏らは、同国の人口、退院、死因、がん登録システムのデータを用い、15歳以上の初発脳卒中患者(小児初発例でない)39万398例を対象に、将来の新規がん発症リスクを検討。その結果、脳卒中初発時年齢が15~49歳の若年群では、発症後1年間の発がんリスクが一般人口の3~5倍に上り、高リスク状態が5年以上持続していたとJAMA Netw Open2023; 6: e235002)に発表した。一方、50歳以上の高齢群では、わずかなリスク上昇にとどまっていた。

脳梗塞後のリスクは一般人口の2.6倍、ICH後は5.4倍

 解析対象は、1998年1月1日~2019年1月1日に15歳以上で初発の脳梗塞または脳内出血(ICH)を発症したがん既往歴のない39万398例。発症時年齢の内訳は、15~49歳の若年群が2万7,616例(年齢中央値44.5歳、女性50.4%、脳梗塞81.9%)、50歳以上の高齢群が36万2,782例(同75.8歳、50.1%、84.8%)だった。

 主要評価項目は、死亡を競合リスクとする脳卒中初発後の新規がん累積発症率とした。原発性中枢神経系(CNS)がん、診断時にCNS転移が認められたがん、非メラノーマ皮膚がんは除外した。

 解析の結果、脳梗塞の初発後10年時の新規がん累積発症率は、若年群で3.7%(95%CI 3.4~4.0%)、高齢群で8.5%(同8.4~8.6%)だった。ICH初発後10年時の累積発生率は、それぞれ2.6%(同2.1~3.3%)、4.7%(同4.5~4.9%)だった。

 年齢、性、暦年をマッチングさせた一般人口との比較では、若年群は脳卒中初発後1年間の新規がん発症リスクが有意に高く、標準化罹患比(SIR)は脳梗塞の初発後で2.6(95%CI 2.2~3.1)、ICH初発後で5.4(同3.8~7.3)だった(全てP<0.001)。これらのSIRは経時的に低下したものの、一般人口に比べてリスクが有意に高い状態が脳梗塞は初発後8年間、ICHでは初発後6年間持続していた。

 一方、高齢群における脳卒中初発後1年間の新規がん発症リスクは、脳梗塞後(SIR 1.2、95%CI 1.2~1.2)、ICH後(同1.2、1.1~1.2)のいずれも一般人口と比べて微増にとどまった。

がん種別では、肺がんと血液がんのリスクが上昇

 がん種別に見ると、若年群で脳梗塞の初発後1年間に一般人口と比べて新規発症リスクが最も高かったのは肺がん(SIR 6.9、95%CI 4.7~10.0)、次いで血液がん(同5.2、3.4~7.7)の順だった(全てP<0.001)。一方、高齢群で一般人口と比べて発症リスクが有意に高かったのは肺がん(同1.7、1.6~1.8)のみだった。

 ICH初発後1年間に一般人口と比べて新規発症リスクが最も高かったのは、若年群では血液がん(SIR 14.2、95%CI 7.1~25.4)、高齢群では肺がん(同1.6、1.3~1.9)だった。

 以上の知見を踏まえ、Verhoeven氏らは「一般人口と比べ、若年の脳卒中初発例では発症後数年間、特に最初の1年間における新規がん発症リスクが高かった」と結論。「がんと脳卒中を関連付けるメカニズムを解明するために、幅広い患者が対象の大規模コホートによる長期追跡研究が必要だ」と付言している。

(太田敦子)

無料でいますぐ会員登録を行う

【医師限定】

初回登録で500円分のポイントをもれなく進呈!

(4月末迄/過去ご登録のある方を除く)

  • ・ ご利用無料、14.5万人の医師が利用
  • ・ 医学・医療の最新ニュースを毎日お届け
  • ・ ギフト券に交換可能なポイントプログラム
  • ・ 独自の特集・連載、学会レポートなど充実のコンテンツ

ワンクリックアンケート

円安水準を更新。円安で何を思う?

トップ »  医療ニュース »  2023年 »  循環器 »  若年の脳卒中初発例で発がんリスク上昇