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メタボと肥満は多くの泌尿器疾患と関連

米・大規模データベースの横断的調査

2023年04月24日 15:45

380名の医師が参考になったと回答 

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 米・University of Miami Miller School of MedicineのMaria C. Suarez Arbelaez氏らは、大規模データベースを用いた横断的調査の結果、メタボリックシンドローム(MS)とその構成要素、および肥満は多くの泌尿器疾患リスクの上昇に関連することが明らかになったとAnn Med(2023; 55: 2197293)に報告した。

肥満/MSと泌尿器疾患との関連は検討不足

 肥満とMSは世界中に蔓延しており、米国では成人人口の42.5%が肥満(BMI 30以上)である。さらに、腎がん、上部尿路上皮がん、尿路結石症、前立腺肥大症(BPH)、勃起不全(ED)をはじめとする泌尿器疾患も年々増加している。

 肥満やMSがこれらの泌尿器疾患に及ぼす影響を検討した研究は存在するが、大半は単一疾患のみを評価したものである。対象集団の規模も数千人程度と小さく、一貫した結果は得られていない。

 このような背景の下、Suarez Arbelaez氏らは、米国の医療機関49施設の情報を含むTriNetX Research Networkのデータを解析し、肥満とMSが一般的な泌尿器疾患の危険因子であるかどうかを検討。さらに肥満の程度(BMI 30以上、35超、40超)やMSの構成要素別のリスクも解析した。

肥満群では尿路結石や腎がんのリスク高い

 Suarez Arbelaez氏らは、2015年7月~22年2月のTriNetX Research Networkデータを使用した。同データは患者の個人情報や病院名が特定されない形式であるため、個々の施設の治験審査委員会(IRB)の承認は要求されなかった。

 解析対象3,691万1,824例のうち32.5%(約1,200万例)が肥満で、BMIの内訳は30~35が約714万例(平均年齢51歳)、35超~40が約331万例(同50歳)、40超が約154万例(同49歳)だった。

 2型糖尿病、過体重/肥満、本態性高血圧、脂質異常症の全てを満たすMSの罹患率は2.7%(約101万例)。平均年齢はMS群が65歳、非MS群が40歳だった。

 年齢、人種、民族による傾向スコアマッチングを行った結果、肥満群(BMI 30以上)では尿路結石症〔オッズ比(OR)1.38、95%CI 1.37~1.39〕、腎がん(同1.31、1.28~1.34)、過活動膀胱(OAB、同1.52、1.50~1.54)、男性性腺機能低下症(同2.81、2.76~2.86)、ED(同1.79、1.77~1.81)、BPH(同1.10、1.10~1.11)の有意なリスク上昇の関連が示された。しかし、尿管がん(同 0.76、0.70~0.82)、膀胱がん(同0.80、0.78~0.81)に関しては肥満とリスクは逆相関が見られた(全てP<0.05)。

MSは全ての泌尿器科疾患リスク上昇と関連

 MS群では、尿路結石症(OR 5.97、95%CI 5.84~6.09)、腎がん(同5.44、5.17~5.72)、膀胱がん(同2.81、2.68~2.94)、OAB(同7.53、7.24~7.83)、前立腺がん(同2.53、2.47~2.60)、男性性腺機能低下症(同13.0、12.35~13.70)、ED(同11.26、10.95~11.58)、BPH(同10.0、9.80~10.0))の全ての有意なリスク上昇と関連していた(全てP<0.001)。

 相関関係について、全体的には全てのBMIカテゴリーで、正の相関が認められたが、前立腺がんとBPHは、BMI正常群との比較において、BMI 35超 群ではリスクが低下していた。

 また、MSの構成要素別に見たサブコホート解析では、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症と泌尿器疾患のリスク上昇の関連は変わらなかったが、2型糖尿病と前立腺がんだけは例外であった(OR 0.83、95%CI 0.82~0.84)。

生活習慣指導による泌尿器疾患予防の可能性

 以上の結果を踏まえSurez Arbelaez氏らは「今回の大規模コホートの横断調査から、MSとその構成要素は一般的な泌尿器疾患の危険因子であることが明らかになった。肥満に関しては泌尿器疾患の種類やBMIカテゴリーによって多様な影響が観察された」と結論。

 さらに「MSと尿管がんとの関連は新しい知見である」と指摘するとともに、肥満やMSは生活習慣の改善により修正可能であることから「泌尿器疾患についても、患者への助言や指導によりリスクの低減が可能かもしれない」と付言している。

木本 治

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