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中等症~重症の痤瘡にグリチルリチンが有効

従来薬グリンダマイシン単独療法と比較

2023年04月26日 13:28

358名の医師が参考になったと回答 

イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 中国・Xingtai People's HospitalのYun Chen氏らは、中等症~重症の尋常性痤瘡(にきび)患者108例を対象に、グリチルリチン酸、グリシン、システインを主成分とするグリチルリチン複合製剤の皮内注入療法(メソセラピー)の有効性と安全性を検討。その結果、抗菌薬クリンダマイシンのゲル剤を外用する従来の治療法と比べ、同薬の外用にグリチルリチン皮内注入を併用する療法は皮膚バリア保護、保湿能力改善、炎症抑制の効果が大きく、副作用が少なかったとJ Cosmet Dermatol2023年4月10日オンライン版)に発表した。

週1回8週間、0.5mm針ローラーで皮内注入

 対象は、18歳以上で主に顔に病変を有する中等症~重症の痤瘡患者108例。対象を、従来のクリンダマイシン外用を行う対照群(54例、平均年齢28.5歳、女性64.8%、平均罹病期間3.8年)と、クリンダマイシン外用にグリチルリチン皮内注入を併用するメソセラピー群(54例、同29.3歳、53.7%、4.3年)にランダムに割り付けて8週間治療した。クリンダマイシン外用は1日2回(朝と夜)、グリチルリチン皮内注入は0.5mmマイクロニードルローラーを用いて週1回の頻度で行った。

 評価項目とした、Global Acne Grading System(GAGS)スコアで判定した痤瘡の重症度(高スコアほど重症)、経皮水分蒸散量(transepidermal water loss;TEWL)、キューティクル(表皮)の水分含有量、炎症性サイトカインである腫瘍壊死因子(TNF)αおよびインターフェロン(IFN)-γの血清濃度に、治療前の時点では両群に有意差はなかった。

外用抗菌薬に比べ副作用が少なく水分蒸散や炎症を抑制

 8週間の治療後、対照群と比べメソセラピー群ではGAGSスコアが有意に低かった(P<0.001)。また、TEWLが有意に少なく(P<0.05)、表皮の水分含有量は有意に多く(P<0.01)、皮膚の保湿能力の改善効果が大きかった。TNFα(P<0.05)およびIFN-γ(P<0.01)の血清濃度は有意に低く、痤瘡に関連する炎症反応がより効果的に抑制されていた。

 また、痤瘡が治癒(病変面積が90%以上減少)した患者は、対照群と比べてメソセラピー群で有意に多かった(20.4% vs. 38.9%、P=0.035)。

 さらに、なんらかの副作用を発現した患者は、対照群と比べてメソセラピー群で有意に少なかった(31.5% vs. 11.1%、P=0.017)。

 以上の結果から、Chen氏らは「外用クリンダマイシン単剤療法と比べて、グリチルリチン皮内注入の併用療法は中等症~重症痤瘡に対する治療効果が大きかった」と結論。「今回用いたメソセラピーは、表皮バリアを突破して真皮以深の皮下組織に有効成分を直接投与することにより、皮膚代謝を促進して皮膚の質を内側から改善する。創傷治癒作用を利用して所定の治療目標を達成すると同時に、マイクロニードルローラーを用いることで治療薬の吸収を高めるという、二重の効果がある」と説明している。

太田敦子

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