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再発性着床不全にprednisonはむしろ有害

2023年05月16日 13:09

166名の医師が参考になったと回答 

イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 再発性着床不全(RIF)は生殖補助医療を受けるカップルにとって悲劇的な障害であり、悩ましい臨床課題だ。免疫調節薬である副腎皮質ステロイドのprednisonは、着床と妊娠の確率を向上させる目的で世界的に用いられているが、有効性に関するエビデンスは十分でない。中国・Shanghai Jiao Tong UniversityのYun Sun氏らは、多施設共同ランダム化比較試験の結果、prednisonの投与で生児出産率が改善することはなく、むしろ早産および生化学的妊娠喪失リスクを上昇させる可能性があるとJAMA2023; 329: 1460-1468)に報告した。

生児出産に関する有効性をランダム化比較試験で検討 

 prednisonは、抗炎症作用や免疫調節作用を介し胚移植が成功しやすい子宮環境をもたらすと考えられており、同薬とアスピリンまたは低分子ヘパリンの併用により着床率や妊娠率が向上するとの報告があるが、経験的あるいは非盲検下での検討にとどまる。また、カナダ生殖・アンドロロジー協会(Canadian Fertility and Andrology Society)と英国生殖協会(British Fertility Society)は、2020年、21年に相次いでRIFの管理に関するガイドラインを発表したが、いずれも副腎皮質ステロイドを含む免疫療法の大半は経験的根拠に基づくものであるため、研究目的に限定すべきとしている。

 Sun氏らは、中国の不妊治療センター8施設で多施設共同二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験を実施した。対象は、2018年11月〜20年8月に2回以上の胚移植不成功の既往があり卵子採取時点で38歳未満の凍結融解胚移植予定の女性で、1,027人をスクリーニングし715人を登録、prednison群357人、プラセボ群358人に1:1でランダムに割り付けた。ランダム化後、凍結融解胚移植のための子宮内膜調整と並行してprednisonまたはプラセボを開始し、胚移植後も服薬を継続、妊娠が確認された場合は妊娠12週目まで継続した。

 胚移植実施なしまたは脱落は47人〔6.6%、prednison群27人(7.6%)、プラセボ群20人(5.6%)〕で、胚移植を実施しなかった主な理由は個人的な事情、子宮内膜の菲薄、プロゲステロン値の上昇、副作用であった。さらに、prednison群28人(7.8%)、プラセボ群25人(7.0%)が試験プロトコルを逸脱した。フォローアップは2021年8月に終了し715人中714人の生児出産転帰を確認、追跡不能の1人は生児出産なしとした。

 主要評価項目は生児出産率(妊娠28週以上での新生児出産数)、副次評価項目は生化学的妊娠、臨床的妊娠、着床、妊娠喪失、妊娠・周産期合併症、出生体重、先天性異常、その他の有害事象とした。一次解析はintention-to treat、二次解析として試験プロトコルを遵守した参加者(prednison群302人、プラセボ群312人)のper-protocol解析を行った。

生児出産率に差はなく、生化学的妊娠喪失1.8倍、早産2.1倍

 一次解析の結果、生児出産した割合はprednison群で37.8%(357人中135人)、プラセボ群で38.8%(358人中139人)と有意差は認められなかった〔絶対差−1.0%、95%CI −8.1〜6.1%、相対比(RR)0.97、95%CI 0.81〜1.17、P=0.78)。単胎出産の頻度は両群で同等だったが、双生児出産頻度はprednison群4.2%、プラセボ群1.7%(同2.5%、0.1〜5.0%、2.51、0.98〜5.0、P=0.05)とprednison群で多い傾向が見られた。

 二次解析の結果は一次解析と同様で、生児出産した割合はprednison群で302人中120人(40.7%)、プラセボ群で312人中126人(40.6%)と差はなかった。

 ロジスティック回帰分析の結果、prednison投与と生児出生の間に有意な関連は認められなかった(調整後オッズ比0.95、95%CI 0.69〜1.31、P=0.75)。

 生化学的妊娠喪失率は、プラセボ群よりprednison群で高く(9.9% vs. 17.3%、RR 1.75、95%CI 1.03〜2.99、P=0.04)、早産発生率もprednison群で高かった(5.5% vs. 11.8%、同2.14、1.00〜4.58、P=0.04)。新生児合併症、先天性異常、その他の有害事象、平均出生体重などに有意差はなかった。

ルーチン使用を推奨しない根拠に

 以上から、Sun氏らは「RIFに対するprednison投与が生児出産率を改善することはなく、むしろ早産および生化学的妊娠喪失リスクを増加させる可能性が示唆された」と結論。同氏らは「この結果は、臨床現場においてRIFに対するprednisonのルーチン使用を推奨しない根拠となりうる。ステロイド以外にも、免疫グロブリンの静脈内投与や内分泌系補助免疫療法が提供されているが、臨床的な根拠は不十分である。優れたデザインのランダム化試験で明確な有効性と安全性評価が示されない限り、高価な補助療法をルーチンに勧めるべきでない」と警鐘を鳴らしている。

 なお、生化学的妊娠喪失リスクがprednison群で高まったことについては、同薬が着床の可能性を高めることはないもののヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)分泌を刺激する可能性があることから、臨床的妊娠前の妊娠喪失リスクが高まったためと考察した。また、早産リスクが高まった点については、prednison群では双生児出産率が高いことが一因と考察している。

 その上で研究の限界として、生児出産率が両群ともに高く、質の良い胚が入手可能な女性のみが対象であった点を挙げ、予後が悪い女性に今回の結果を外挿するのは慎重であるべきとした。

編集部

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