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コロナ回復小児に無症候性左室機能不全

心エコー所見を解析

2023年01月13日 17:28

585名の医師が参考になったと回答 

イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 イタリア・University Hospital of PadovaのJolanda Sabatino氏らが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患し、回復した小児の心エコー所見を健康対照群と比較した研究結果をJ Clin Med2022年12月26日オンライン版)に発表。無症候性の左室機能不全が顕著だったと報告した。

罹患148日後に心エコーで心機能を評価

 小児ではCOVID-19に罹患しても症状は軽症から中等症程度で入院を必要とする例は少ないが、罹患後の心臓障害(cardiac involvement)に関するデータはほとんどない。小児多系統炎症性症候群(MIS-C)として知られる重症例では、左室機能の低下という心臓後遺症が残ることが報告されている。Sabatino氏らは、COVID-19から回復した小児の左室・左房障害の有無を心エコー図検査で追跡調査した。

 対象はCOVID-19の確定診断を受けた小児157例〔平均年齢7.7±4.5歳、範囲0.3~18歳、女児62例(39%)〕で、COVID-19の症状は無症状または軽症(WHOステージ0/1)だった(COVID-19回復群)。診断から平均148±68日後に経胸壁心エコー図検査(TTE)と二次元スペックルトラッキング心エコー図検査(STE)を実施した。

 今回の解析では、COVID-19回復群を心エコー図検査実施までの期間で3群に分け(180日以内、180~240日、240日超)、さらに、年齢と体表面積が近い107例(女児38%)を健康対照群として登録した。

左室長軸方向ストレインが有意に低下

 解析の結果、COVID-19回復群の左室長軸方向ストレイン(Left ventricular global longitudinal strain;LVGLS)は健康対照群と比べ有意に低下していた(COVID-19回復群-20.5±2.9%、健康対照群-21.8±1.7%、P<0.001)。しかし、心エコー図検査実施までの期間が異なる3群間では有意な差は認められなかった。

 左室セグメント別では、COVID-19の流行第二波中に罹患した小児の左室心尖部の長軸方向ストレイン(LS)が第一波中に罹患した小児よりも有意に低下していた(第二波-20.2±2.6%、第一波-21.2±3.4%、P=0.048)。

 左房収縮期最大ストレインについては、COVID-19回復群の値は正常範囲であり、健康対照群とも有意な差は認められなかった(COVID-19回復群49.1±12%、健康対照群 49.5±18%)。

LVGLSの低下は懸念材料

 結論としてSabatino氏らは「無症状あるいは軽症の小児であってもCOVID-19罹患後平均148日では、左室心筋障害が残っていることを初めて示すことができた。また、第二波で罹患した小児の方が、心筋障害が有意に大きいことも明らかになった」と指摘。さらに、今回の知見について「無症候性の左室機能不全はCOVID-19に罹患した小児の特徴の1つかもれない。LVGLSは一般住民においても左室機能不全の予測指標であることを考えると、今回の結果は懸念すべきである」と述べている。

木本 治

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