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認知症薬donanemabの承認見送り、米FDA

米・Eli Lillyの抗Aβ抗体

2023年01月20日 15:36

511名の医師が参考になったと回答 

 米・食品医薬品局(FDA)は、米・Eli Lillyが承認申請していたアルツハイマー病(AD)に対する抗アミロイドβ(Aβ)抗体donanemabの承認を見送ると勧告した。1月19日に同社の公式サイトで発表された。ADの抗Aβ抗体をめぐっては、米・Biogenとエーザイのaducanumab(米国商品名Aduhelm)が2021年6月に条件付きで承認され、今年(2023年)1月には両社が開発したlecanemab(同LEQEMBI)が承認を取得しており(日本では今年1月16日に承認申請)、donanemabは3剤目として承認が期待されていた(「〔詳報〕アルツハイマー病新薬aducanumab」米・lecanemabがアルツハイマー病に対し迅速承認」)。今後について、Eli Lillyは、現在進行中の第Ⅲ相試験のデータと合わせ、FDAが要求する100例以上を収集・解析したデータを提出するなどして「患者にdonanemabを届けるための最速の道を確保することを約束する」としている。

症例数の少なさを問題視

 先述の通り、米国ではADに対する抗Aβ抗体が2剤承認されており、donanemabは3剤目として承認が期待されていた。同薬はADに対するN3pGAβを標的としており、臨床試験では4週間隔で静脈内投与して有効性と安全性の検討した。2021年6月30日までにFDAから画期的治療薬(ブレークスルーセラピー)の指定を受けていた。

 Eli Lillyによると、承認が見送られた理由として「承認申請データでは、donanemabを12カ月間投与された患者は100例未満と限られていたため。それ以外の欠陥は認められなかった」と指摘されたとし、「FDAは少なくとも12カ月の継続治療を受けた100例の解析データを要求している」とている。

第Ⅲ相試験は順調に進捗、今年第2四半期に発表予定

 FDAへのdonanemabの承認申請は、第Ⅱ相多施設二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験TRAILBLAZER-ALZに基づき行われた。同試験では257例が登録され、131例がdonanemab投与群、126例がプラセボ投与群に割り付けられた。同社によると、「TRAILBLAZER-ALZには100例以上の対象が含まれていたが、donanemabの投与によりAβ濃度が速やかに低下して基準レベルに達した。多くの症例が6カ月という早い段階で投薬を中止した結果、12カ月間投薬を継続した例が100例未満になった」と説明している。 

 現在、donanemabの第Ⅲ相試験TRAILBLAZER-ALZ 2が進行中で、予備的データを今年の第2四半期に発表する予定だという。試験は順調に進んでおり、同社は「第Ⅲ相試験のデータと第Ⅱ相試験のデータと合わせることで、FDAへの承認申請の基礎となりうる」とした上で、「FDAと協力して、この薬を必要としている潜在的患者に届けるための最速の道を確保することを約束する」と自信を示している。

 なお、第Ⅱ相試験では早期症候性AD患者の認知機能と日常生活機能の複合スコアを改善し、疾患進行をプラセボに比べて32%抑制することが示されている。結果の詳細は、N Engl J Med2021; 384: 1691-1704に発表された。

(小沼紀子)

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