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ゾコーバ投与後2例で妊娠判明、入念な確認を

厚労省が事務連絡で周知

2023年01月23日 16:15

485名の医師が参考になったと回答 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の経口抗ウイルス薬エンシトレルビル(商品名ゾコーバ)の製造販売元である塩野義製薬は1月20日、同社の公式サイトで市販後調査の結果を公表。同薬投与後に女性2例で妊娠が判明したことを報告した。報告を受け、厚生労働省は同日、自治体宛てに事務連絡を発出し、女性のCOVID-19患者にエンシトレルビルを投与する際には妊娠の可能性を入念に確認するよう周知した。2例中1例は、主治医からエンシトレルビル投与による妊娠に関わるリスクについて事前に説明を受けたが、患者自身が妊娠可能性の自覚がなく、投与に至ったという。

同意書の確認事項に追記

 エンシトレルビルはCOVID-19に対する初の国産経口薬として、昨年(2022年)11月22日に日本国内で緊急承認された。COVID-19の経口抗ウイルス薬としてはモルヌピラビル、ニルマトレルビル/リトナビルに続く3剤目。

 エンシトレルビルは動物実験で、ウサギの胎児に催奇形性が認められたことから、妊婦または妊娠の可能性のある女性には投与禁忌となっている。同薬の投与は医師が適切と判断した症例のみを対象とし、投与前に患者または代諾者に同薬の有効性および安全性に関する情報を文書で説明し、文書による同意を得る必要がある。

 今回の調査結果を受けて、塩野義製薬は現行の同意説明文書および同意書における女性への確認事項の欄に「前回の月経後に性交渉を行った場合は妊娠している可能性があること。現在、妊娠または妊娠している可能性がある場合には、申し出ること」という文言を追記する。

投与終了1カ月後に妊娠が判明

 今回、エンシトレルビル投与後に妊娠が判明した2例中1例は、主治医から妊娠に関わるリスクについて説明を受けたが、患者自身が妊娠の可能性について自覚がなかったため投与に至ったという。同薬投与終了から約1カ月後に患者本人が産婦人科を受診し、投与時点で妊娠週数4週目であったことが判明した。現時点で副作用などは出現していない。なお2例目については、現在情報収集中である。

 日本感染症学会が昨年11月22日に公開した『COVID-19に対する薬物治療の考え方 第15版』では、エンシトレルビルを妊婦または妊娠している可能性のある女性に投与する前には、①問診で直前の月経終了日以降に性交渉を行っていないことを確認する。妊娠の可能性が否定できない場合は投与しないこと、②投与開始前に妊娠検査を行い、陰性であることを確認することが望ましい。妊娠初期は妊娠検査で陰性を示す可能性があることに注意する、③妊娠初期には、妊娠しているにもかかわらず妊娠検査で陰性を示す場合があることを患者に説明し、同意を得てから投与を開始することーなどの注意事項が記されている。

(小沼紀子)

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