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岸田首相、Lancetで国際保健への貢献を表明

G7サミット/保健大臣会合を踏まえた提言

2023年01月24日 16:30

336名の医師が参考になったと回答 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックは国際社会に未曾有の影響を与え、現在の国際保健の枠組み(グローバルヘルス・アーキテクチャー)の脆弱性を露呈した。世界的な健康危機に対する予防・備え・対応(Prevention、Preparedness、Response;PPR)を強化し、全ての人が適切な保健医療サービスを適切な費用で受けられる「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」の達成が求められている。今年(2023年)5月に広島県で開催されるG7サミットならびに長崎県で開催されるG7保健大臣会合を踏まえ、岸田文雄総理大臣は国際保健への貢献に向けた決意をLancet2023年1月20日オンライン版)に寄稿した。

重視する3要素を提言

 寄稿は「人間の安全保障とUHC:G7広島サミットに向けた日本のビジョン」と題し、G7サミットならびにG7保健大臣会合における日本政府の中心的なビジョンとして「人間の安全保障」と「UHC」に取り組むことの重要性を強調。ビジョンを支える3つの重要な要素として、①公衆衛生危機のためのグローバルヘルス・アーキテクチャーの強化、②ポストコロナ時代に向けたUHCの推進、③デジタル領域を含むヘルス・イノベーションの推進―を挙げている()。

表. 日本政府がG7サミット/G7保健大臣会合で重視する3要素

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Lancet 2023年1月20日オンライン版を基に編集部作成)

 ①については、COVID-19パンデミックから得られた教訓に基づき、健康危機に備えた政策やガバナンス、資金調達などの強化が必要であるとしている。その実現には、PPPの再建に向けた国際的なガバナンスを改善し、持続可能な資金を確保するために統合的かつ全体的なアプローチが求められる。また、パンデミック対策として国際的な規範や規制の強化も重要であり、岸田首相は「G7での議論によりこれらの規範・規則の方向性が指し示されるだろう」と述べている。

 ②に関し、保健システムは各種の保健課題に対して効果的に対応し、克服しなければならない。これらの課題にはAIDS、結核、マラリア、顧みられない熱帯病(NTDs)などの感染症が含まれ、メンタルヘルスを含む非感染性疾患(NCDs)、リプロダクティブ・母子・新生児・思春期保健、健康で活動的な高齢化といったライフコース・アプローチも重要な課題である。同首相は「日本は世界でも有数の超高齢社会を迎えており、人口動態の課題に焦点を当てる責務を有している」と付言している。

 ③では、COVID-19に対する世界的な取り組みにおいて公衆衛生危機に関する研究開発の目覚ましい進歩が達成可能であることが示された一方、それらへのアクセスには著しい不公平が存在することも明らかになった。同首相は「日本は研究開発の加速を目標達成に掲げ、UHCの取り組みの下でワクチンや診断、治療への公平なアクセスを確保する重要性をあらためて表明する。効果的なグローバルシステムを構築することで低・中所得国における製造能力を拡大できるだろう」と展望。さらに「国際社会は現在進行中の保健課題に対して研究開発を強化する必要があり、また将来の健康危機に備えて研究開発に必要なインフラと能力を支援し、構築する必要がある」「世界的なサーベイランスのネットワークを、健康危機に対する効果的な早期警報システムに変えていく必要があり、次世代の健康危機管理のためのデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進すべき」と持論を述べている。

 以上を踏まえ、同首相は「グローバルヘルスの推進およびポストコロナ時代を見据えた保健課題の対応においては、『人間の安全保障』と『UHC』が核となる。これらの原則がより健康で、より公平で、より平和で、より豊かな国際社会を構築する鍵となる」とまとめている。

(編集部)

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