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コロナ罹患後症状の発現率は株で異なる?

2023年02月17日 05:05

436名の医師が参考になったと回答 

 米・Rush University Medical Center Department of Emergency Medicine のMichael Gottlieb氏らは、3種の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)変異株による罹患後症状、いわゆる後遺症の違いなどを明らかにする多施設共同前向きコホート研究を実施した。デルタ株流行期以降と比べそれ以前では、3カ月以上持続する罹患後症状が有意に多かったものの、SARS-CoV-2ワクチン接種者では有意差が消失したことが分かった。詳細はClin Infect Dis2023年1月27日オンライン版)に掲載された。

主要評価項目は重症度スコア25以上の重度疲労

 SARS-CoV-2感染による症状についての報告は初期症状に関するものが多く、罹患後症状の長期的なデータは限られている。Gottlieb氏らは、SARS-CoV-2の流行期をデルタ株が流行する以前のプレデルタ期(2020年12月11日~21年6月4日)、デルタ期(2021年7月24日~12月17日)、オミクロン期(2022年1月8日~6月25日)に分け、感染後3カ月間における罹患後症状を比較する多施設共同前向きコホート研究を実施した。

 対象は、過去42日以内に米食品医薬品局(FDA)承認/公認のSARS-CoV-2抗原検査を受け、適合基準を満たした18歳以上の成人3,223例〔陽性2,402例(74.5%)、陰性821例(25.5%)、女性66.6%、白人71.1%、個人医療保険加入率73.3%〕。ベースライン調査の他、登録から18カ月後まで3カ月ごとにフォローアップ調査を実施した。調査項目は、SARS-CoV-2感染による主な症状、罹患後症状(後遺症)、再感染または新規感染、SARS-CoV-2ワクチン接種状況、身体的/精神的/社会的幸福、認知機能状態、仕事/日常生活への復帰に関するものなど。

 主要評価項目は罹患後症状として3カ月以上持続する重度疲労(疲労の重症度スコア25以上)、副次評価項目は3カ月間における疲労症状、器官別症状、3つ以上の有症状などとした。

長期の重度疲労の発現率はプレデルタ期で最も高い

 SARS-CoV-2陽性例の内訳は、プレデルタ期が19.3%、デルタ期が49.9%、オミクロン期が30.8%だった。

 解析の結果、長期の重度疲労の発現率は、デルタ期およびオミクロン期と比べプレデルタ期で最も高く(11.5 % vs. 12.3% vs. 16.7%、P=0.017)、3つ以上の症状発現率についても有意に高かった(21.7% vs. 16.0 %vs. 28.4%、P<0.001)。

 一方、陰性例における症状発現率については、プレデルタ期、デルタ期、オミクロン期で差がなかった(各16.8% vs. 19.8% vs. 16.4%、P=0.495)。

 ワクチン接種歴で調整し、3つ以上の症状発現のオッズ比(OR)を算出。その結果、各流行期と3つ以上の症状発現に有意な関連は認められなかった(デルタ期vs. プレデルタ期: OR 0.88、95%CI 0.63~1.23、オミクロン期vs. プレデルタ期:同0.67、0.44~1.02、オミクロン期vs. デルタ期:同0.76、0.56~1.03)。重度疲労についても有意な関連はなかった(順にOR 0.79、95%CI 0.52~1.20、同0.94、0.56~1.60、同1.20、0.82~1.75)。

 以上の結果を踏まえ、Gottlieb氏らは「SARS-CoV-2感染後の症状の長期化は、デルタ期およびオミクロン期に比べプレデルタ期でより多く見られた。しかしSARS-CoV-2ワクチン接種で調整すると有意差はなかった」と結論。この点を踏まえ「ワクチン接種が長期的な症状発現のリスク抑制に有益であることが示唆された」としている。

(田上玲子)

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