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スマホとAIで天気と頭痛の関係を解明

2023年03月09日 13:45

475名の医師が参考になったと回答 

イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 片頭痛の要因として、天候がストレスや月経、空腹に次いで多いとされている。一方で、天候と頭痛の関係を検討した研究は小規模なものが多く、信頼性の高いエビデンスの基となる一貫性のある結果が得られていない。糸魚川総合病院(新潟県)脳神経外科医長の勝木将人氏らは、気圧予報に基づき体調管理を補助するスマートフォンアプリのビッグデータを人工知能(AI)により解析。気圧変化や降雨、湿度が頭痛発生に影響を及ぼすことをHeadache2023年2月28日オンライン版)に報告した(関連記事「問診票のみで頭痛を診断するAIモデル開発」)。

頭痛記録データと天候データを後ろ向きに解析

 勝木氏らは、気圧の変化による体調不良が危惧される時間帯の確認や頭痛・服薬状況を記録できる体調管理アプリ「頭痛ーる」により集積されたビッグデータを基に、天候と頭痛との関連についてAIを用いた検討を実施。2020年12月〜21年11月の6都府県(東京都、神奈川県、埼玉県、大阪府、愛知県、石川県)における頭痛記録データから、片頭痛が強く疑われる4,375例の1時間ごとの頭痛記録データ33万6,951件を抽出し、天候データとともに時系列クラスタリングとAI予測分析ツールを用いて後ろ向きに解析した。

 天候データは頭痛発生に関連するとされる気圧、気温、湿度、降水量(いずれも1時間ごと)に加え、頭痛発生6時間前との気圧差(気圧は潮汐により6時間周期で変動するため)、頭痛発生当日、翌日、2日後の午前6時の気圧を収集した。

AIの活用により天候と疾患に関する病態のさらなる解明を

 対象の平均年齢は34.0歳(範囲18〜56歳)で、89.2%が女性だった。年間の頭痛イベントの平均は77.0イベント(同48〜179イベント)だった。

 解析の結果、「低気圧(total gain 3.9)」「高湿度(同7.1)」「降雨(同3.1)」「6時間前からの大きな気圧低下(同11.7)」「当日朝6時の高気圧(同4.6)」「翌日朝6時の低気圧(同6.7)」「1週間にわたって気圧が低い(同10.1)」「1週間にわたって気圧が大きく低下(同10.1)」が頭痛発生に関与することが示され(いずれもP<0.001)、頭痛の発生には気圧の変化と降雨、湿度が関与することが示唆された。

 勝木氏は「今回の研究は、スマートフォンアプリにより集積したビッグデータをAIにより解析した先進的な事例。頭痛治療では専門医の不足による医療資源の欠乏が誤診や患者の不満につながっているが、AIの活用によりこうした問題を解決できる可能性がある。また、気象病や天気痛など天候により不調を来す疾患には不明点も多く、天候と疾患に関する病態のさらなる解明につながることが期待される」と展望した。

(編集部)

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