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うま味活用で食塩摂取を2割減

2023年03月22日 14:18

319名の医師が参考になったと回答 

 ナトリウムの過剰摂取はさまざまな慢性疾患の要因となるが、特に日本人は食塩摂取量が多いとされる。東京大学大学院国際保健政策学分野の田中詩織氏らは、「うま味」の活用により最大で22.3%の減塩が期待できることをBMC Public Health2023; 23: 516)に報告した(関連記事「うま味活用で60%の減塩が可能」)。

2万人を対象とした仮定シナリオにより推算

 2013年の世界保健総会において、世界保健機関(WHO)加盟国は2025年までに食塩摂取量を30%削減することで合意したが、2022年時点で達成した国はない。特に日本人は食塩摂取量が多く、「健康日本21(第二次)」では2023年までに1日の食塩摂取量を8gに減らすことを目指しているが、2019年の最新データでは10gを超えており、現在の傾向が続く限り目標達成は困難である。

 一方、日本料理ではグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸などのうま味成分が活用されており、食塩削減方法の1つとしてうま味を塩分の代わりに活用することが提案されている。

 田中氏らは、各食品群(調味塩、醤油、味噌、香辛料、水産加工品、ハム・ソーセージ、牛肉、漬物、チーズ、バター、マーガリン、菓子、その他)を、うま味を活用した減塩食品に置き換えた場合の想定減塩率を算出。減塩食品のシェアが100%に達したと仮定するシナリオ(楽観的シナリオ)、60%とするシナリオ、30%とするシナリオ(悲観的シナリオ)を作成し、2016年の国民健康・栄養調査の参加者から20歳未満や食事摂取量に欠損値がある者などを除外した2万1,805人(平均年齢57.8歳)の食塩摂取量および食品群ごとの摂取記録を用いて各シナリオの食塩摂取量を推算した。

食塩摂取量8g/日の達成率は最大で約6割

 対象の1日当たりの平均食塩摂取量は9.95gで、健康日本21(第二次)の推奨(8g/日)を達成していたのは28.7%、WHOの推奨(5g/日)を達成していたのは2.8%だった。摂取率が高かった食品群はその他(97.9%)、醤油(85.9%)、調味塩(83.1%)、味噌(69.3%)で、牛肉(24.7%)、チーズ(17.3%)、バター(14.9%)、マーガリン(14.4%)、菓子(15.2%)は低かった。女性に比べて男性は塩、醤油、香辛料、ハム・ソーセージ、牛肉、漬物の摂取量が多く、チーズ、菓子は少なかった。醤油、調味塩、味噌は1日1g以上の塩分の供給源だが、参加者全員が少なくともいずれか1つを毎日摂取していた。

 各シナリオごとに食塩摂取量を推算した結果、楽観的シナリオでは成人1日当たりの平均食塩摂取量は7.73〜8.68g/日で、1.27〜2.22g/日の減塩達成が見込まれた(12.8〜22.3%減、)。健康日本21(第二次)の推奨(8g/日)の達成率は43.4〜59.7%に達し、WHOの推奨(5g/日)の達成率は4.4〜7.6%だった。なお、悲観的シナリオにおける減塩は0.2〜0.4g/日だった(2.3〜4.1%減)。

図. 日本人成人における1日当たりの塩分摂取量の分布

42262_fig01.jpg

BMC Public Health 2023年3月19日オンライン版)

 田中氏らは「今回の検討により、うま味成分の活用が減塩対策として有効である可能性が示された。ただし、WHO推奨の達成率は最大でも7.6%と低かったことから、さらなる取り組みが求められる」と結論している。

(編集部)

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