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大腸内視鏡検査、高齢者への便益小さい

米・単施設横断研究

2023年04月11日 14:56

308名の医師が参考になったと回答 

イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 米・Cleveland ClinicのJessica El Halabi氏らは、外来で大腸内視鏡検査を受けた75歳超の無症候性患者約7,000例のデータを用いて、平均余命10年未満の患者の割合、診断率、検査関連の有害事象などについて検討。75歳超では全体的に進行病変の検出率が低く便益が小さいにもかかわらず、平均余命10年未満の患者の多くで検査が実施されていたことをJAMA Intern Med2023年4月3日オンライン版)に報告した。(関連記事「大腸内視鏡検査、高齢者で合併症リスク高い」)

具体的な指針なく、過剰検査の懸念

 大腸がんスクリーニングは、便益が明らかになるまで10~15年を要することがある。そのため米国予防医学専門委員会(USPSTF)は、76~85歳には個別の判断を推奨し、85歳超には検査を推奨していない。しかし、具体的な指針は示されておらず、過剰な検査が行われている懸念があった。

 El Halabi氏らは、2009年1月~22年1月にCleveland Clinicの外来で大腸内視鏡検査を受けた75歳超の患者4万546例のデータを抽出。対象を検査目的の無症候患者に限定し、検査以外の施行理由、過去5年以内の大腸内視鏡歴あり、炎症性腸疾患(IBD)または大腸がん既往例などを除外した7,067例を解析に組み入れた。

 年齢で76~80歳群(5,775例)、81~85歳群(1,021例)、85歳超群(271例)に分類。また内視鏡所見は、正常、nonadvanced polyps、advanced neoplasiaの3群に分類した。平均余命は既報の予測モデルに基づき算定。主要評価項目は平均余命が10年未満の患者の割合とし、他に大腸内視鏡所見、内視鏡施行から10日および30日以内の検査関連有害事象などを評価した。

平均余命10年未満の検査は76~80歳群で30%

 年齢中央値は78歳(四分位範囲77~79歳)で、女性は56%、平均併存疾患数±標準偏差は1.91±1.60だった。

 平均余命が10年未満の患者の割合は年齢区分が上がるに従い上昇し、76~80歳群で30%(男性39%、女性23%)、81~85歳群で71%(同82%、61%)、85歳超群では100%だった。

 検査から10日以内に発生した入院を要する有害事象の割合は高く、1,000人当たり13.58件(95%CI 11.13~16.56件)だった。この割合は年齢区分が上がるに従い上昇し、特に85歳超の患者では著明に高かった。

大腸がん検出は全体の0.2%のみ

 advanced neoplasiaの検出は、76~80歳群で5.4%、81~85歳群で6.2%、85歳超群で9.5%と、高齢になるほど有意に多かった(P=0.02)。

 大腸がんは全体の0.2%(15例)でのみ検出された。このうち平均余命10年未満の患者は9例で、治療を受けたのは1例のみ、平均余命10年以上の患者は6例で、治療を受けたのは4例だった。

 Halabi氏らは「今回の横断研究では、大腸内視鏡検診を受けた75歳超の患者の多くは平均余命が限られていたこと、加齢とともに検査関連有害事象のリスクが増大することが分かった。一方で、大腸がんの検出は非常にまれだった」と結論。「平均余命を推定するツールを用いることで、大腸内視鏡という限られたリソースをより有効利用できるかもしれない」と付言している。

※内視鏡所見の分類
・ 正常:ポリープなし
・ nonadvanced polyps:1つ以上の絨毛または高度異形成を伴わない腺腫、10mm未満で異形成を伴わない無茎性鋸歯状ポリープ、10mm未満の過形成性ポリープ
・ advanced neoplasia:10mm以上の無茎性鋸歯状または過形成性ポリープ、異形成を伴う無茎性鋸歯状ポリープ、従来区分による鋸歯状腺腫、管状絨毛腺腫、絨毛腺腫、高度異形成、大腸がん

(小路浩史)

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