腸から診る循環器疾患と性差

 日本人の平均寿命は男性が81歳、女性が87歳と「性差」が顕著に現れる。日本人の死亡原因において最も多いがんに続くのが、脳血管疾患や心不全といった循環器疾患だ。循環器疾患の中でも、性差の研究が進んでいるのが動脈硬化性疾患と心不全である。動脈硬化性疾患にはエストロゲンが予防的に働くため、男性患者が多い。また、高齢女性では収縮機能が保たれている拡張不全の心不全(heart failure with preserved ejection fraction; HFpEF、ヘフペフ)が多いこともよく知られている。神戸大学大学院内科学講座循環器内科学分野の山下智也氏は第12回日本性差医学・医療学会(1月19~20日)で、両疾患患者における腸内細菌叢の特徴を明らかにした自施設での研究を紹介し、「腸からの疾患予防」への期待を述べた。