ワクチンとの因果関係にかかわらず真摯に診る

 子宮頸がんに対する有効な予防策の1つとして、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンが2013年4月に定期接種化された。しかし、接種後の副反応とされる症状への懸念により、同年6月に厚生労働省が積極的勧奨の差し控えを通達して早6年が経過した。その間、ワクチン接種と副反応に関連はなかったとする名古屋スタディなど、HPVワクチンの有効性と安全性に関する知見が集積している。にもかかわらず、いまだ積極的な接種勧奨が差し控えられているのはなぜか。日本におけるHPVワクチンをめぐる問題は混迷を極めている。第10回日本プライマリ・ケア連合学会(5月17〜19日)では「HPVシンポジウム」を開催、プライマリケア医、感染症科医、医療人類学者、メディア、小児科医の立場から、この問題について講演がなされた。

 同シンポジウムの企画と座長を務めたのは、同学会HPVワクチンに関する特別委員会委員長で大阪医科大学附属病院総合診療科診療科長の鈴木富雄氏だ。初めに同氏は、子宮頸がんとHPVワクチンの現状について解説するとともに、同学会によるHPVワクチン接種の積極的勧奨の即時再開を求める要望書提出までの経緯と考え方について述べた。

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