MCI高齢者でも運転能力は改善する!

 運転能力の低下した高齢ドライバーによる自動車事故は後を絶たず、大きな社会問題となっている。一方で、高齢者が車という移動手段を失うことは、生活の自立困難や自尊心の危機に直結する。国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター長の島田裕之氏は、かつて中等度の認知機能障害を持つ高齢男性の半数以上が運転を継続している成績を報告(「中等度認知機能障害を抱える高齢ドライバーの存在が明らかに」)、この問題に一石を投じた(Geriatr Gerontol Int 2016; 16: 508-514)が、現在は高齢者の運転能力改善を目指す運転寿命延伸プロジェクトを推進している。ランダム化比較試験(RCT)で示されたその効果を、第39回日本認知症学会(2020年11月26~28日、ウェブ併催)の講演から紹介する。