急性心不全の新たな選択肢となるか

 いまや糖尿病治療薬の範疇を超え、慢性心不全や慢性腎臓病への適応拡大が進みつつあるSGLT2阻害薬。そうした中、第Ⅲ相ランダム化比較試験(RCT)EMPULSE1)では、530例と少数例ながら急性心不全による入院患者を対象に、SGLT2阻害薬エンパグリフロジンが糖尿病の有無や左室駆出率(LVEF)にかかわらず、90日以内の死亡、心不全イベント、QOL改善などを含む主要評価項目について、臨床的有用性に優れることが分かった。オランダ・University Medical Centre GroningenのAdriaan A. Voors氏らが、結果を米国心臓協会(AHA 2021、11月13~15日、ウェブ開催)で発表した。詳細はNature Medicineに掲載の予定。知見の集積が進めば、心不全の臨床経過において、これまでエビデンスが乏しかった急性心不全の治療に、新たな選択肢が加わることになりそうだ。