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LIFESTYLE 〜人生をもっと豊かに〜
2016.10.13

トレンドはクラシック回帰
大人としての「品格」をまとう

Fashion

 白衣を着た医師は患者に信頼感を与える。同じく、国内外の学会や講演会でスーツやジャケット・パンツスタイルで登壇する医師は聴衆に説得力を感じさせる。壇上に立つときの服装が、実はプレゼンテーションをより引き立てる重要なアイテムなのだ。医師という社会的地位に見合った素材や仕立てを意識して、アイテムを選びたい。Medical Tribuneが提案する医師向けライフスタイル紙『Medical Tribune Luxe(リュクス)』の創刊に当たり、大人の男としての「品格」をテーマに、服選びや着こなしの基本について、メンズ・ファッション界で活躍する松尾健太郎氏に話を聞いた。

今年はゆったりシルエットに
無理なく自分に合った服選びを

 学会場や講演会場では、普段着用している白衣はスーツやジャケット・パンツスタイルに替わる。伝統的な英国式や色気を加味したイタリア式などシルエットも違えば、時代ごとにトレンドも変わる。素材や仕立てもさまざまだ。そこで、ファッション誌『THE RAKE』編集長の松尾氏に、メンズスタイルの最新動向について尋ねた。

「イタリアを発信源として、長い間、タイトな着こなしが主流でした。パンツはノータックで幅が細く、裾丈も短め。ところがまさに今年になって、トレンドはかつてのクラシックなシルエットに回帰しつつあります。パンツの腰部にはプリーツが入り、股上も深め。これはまさしく正統的なオーダーメイドのスタイルに倣っているわけです。とはいえ、服づくりがただ過去のスタイルを模倣しているわけではありません。シルエットはクラシックながら、昔の堅くて重たいスーツとは違い、着心地は非常に軽やかで身体に自然にフィットしています。それができるのはなぜか。かつての芯地を多用した製法ではなく、たいへんに手間のかかる立体裁断でしなやかさを実現しています。最高の紳士服はそこまで進化しています」

右/松尾健太郎氏。1965年生まれ。男子 専科、ワールドフォトプレスを経て、'92年、株式会社世界文化社入社。月刊誌『メンズ・イーエックス』創刊に携わり、延べ4年間、編集長を務める。以降も新潮社『エンジン』誌クリエイティブ・ディレクターなどを務め、『THE RAKE JAPAN EDITION』編集長として現在に至る。左/『THE RAKE JAPAN EDITION』は、富裕層読者に特化したメンズ・ラグジュアリー・マガジンの日本版。

医師の着こなしには"清潔感"を
髪やひげなどのグルーミングも

 さらに松尾氏は、幾つかの基本的なルールを覚えてほしいと語る。

 「紳士服のルールは簡単です。まず全身の色合いで3色以上使わない。柄ものを着るなら、そのうちの1色と同色の無地アイテムを合わせる。一方、素材に関してもルールがあります。光沢のあるスーツ素材には、同じく光沢系のシャツやタイを合わせる。逆もまた然りで、ツイードのジャケットにはツヤツヤの素材でなくスエードの靴を合わせます。要は全体の調和です。しっかりしたお店ならば、プロが間違いのないアドバイスをしてくれます」

 いちいち納得がいく着こなし術である。では松尾氏の個人的なこだわりのほどは、いかがか。

「独断でいえば、男性の着こなしは控えめであればあるほどいいと思います。素材のいい無地の白シャツ、紺の無地のタイ、黒のストレートチップ・シューズ、そして薄型の3 針の腕時計に黒レザーのストラップ。究極的にはこれだけでいいかと」

 しかし松尾氏は、紳士の嗜みにはもっと大切なことがあると言う。

「医師の方であれば、着こなしより何よりも大切なことは" 清潔感"、これに尽きると思います。患者の立場からしたら、診ていただける医師の方が清潔でなかったらどうでしょうか。服装ももちろん大切ですが、まず髪、顔肌、ひげ、爪、歯など、グルーミングに気を配ること。これはお医者さんだけでなく、社会人に共通した基本中の基本ですよね」

 清潔感。古今東西、紳士の道はこの言葉に尽きるのかもしれない。

イタリアの高級メンズ・ブランド、ベルベストの2016年秋冬コレクションより。松尾氏のコメントと共通するスタイリングが見てとれる。左/大柄なモノトーンのチェックジャケットのインナーには、柄の1色であるグレーの無地ニットを合わせる。右/ざっくりとした風合いのフランネルスーツには、同じく艶を抑えた毛足の長いタイを合わせる。

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