メニューを開く 検索

トップ »  ライフスタイル » いつ飲んでも美味しいお酒を目指して

LIFESTYLE 〜人生をもっと豊かに〜
2017.10.5

いつ飲んでも美味しいお酒を目指して

Lifestyle

桜井 博志 旭酒造株式会社 会長

1950年山口県周東町生まれ。1948年創業の旭酒造の3代目を継ぎ、経営難に陥っていた酒蔵を立て直す。日本酒の研究を重ね1990年に純米大吟醸『獺祭』を発売し、国内外で高い評価を得ている。

 山口県岩国市の山奥にある酒蔵が、今や日本のみならず世界から注目される日本酒ブランドとして知れ渡るようになった。それが『獺祭(だっさい)』だ。1990年に誕生し、それまでの日本酒づくりから脱却し、「飲んだ人が幸せになれる酒を」という信念を貫く、桜井博志会長の想いとは。

美味しい日本酒のために慣習を捨て仕組み化を実現

 2014年、米国オバマ大統領(当時)来日の際に安倍首相がプレゼントした日本酒としてその名が世に知られることとなった『獺祭』。

「私は旭酒造の3代目ですが、一時期、会社を離れて石材販売の仕事をしていました。その時に実感したことが、『良いモノは売れる』ということ。日本酒は杜氏が酒造りを取り仕切るというのが長く培われてきた伝統です。しかし私は自分が造りたい酒のみを造る、ということを心に決め、杜氏の経験や勘だけに頼らず、数値やデータによる酒造りに着手しました。そのため旭酒造には杜氏はおらず、社員のみで日本酒造りをしています。最高品質の純米大吟醸に特化して美味しさを追求したお酒、その結果生まれたのが獺祭なのです」と語る桜井会長。当時は精米歩合25%が最高だったが、旭酒造では23%の「磨き二割三分」を生み出した。その後、それを超える精米歩合の日本酒が他社から発売されたが、旭酒造では23%を「目的」ではなく「手段」と捉え、問題視していないという。旭酒造を受け継いで以降、売り上げを飛躍的に伸ばし、日本酒業界全体にも大きな変革をもたらした。

「今年(2017年)の年末には、ミシュランの星を世界最多で持っているジョエル・ロブション氏と共同で、パリに獺祭が飲める店舗をオープンします。獺祭は海外への出荷が増えたことで、世界的に認知されるようになりました。それに伴い、ボルドーワインやシャンパンメーカー、さらにはカリフォルニアのワインメーカーの生産手法や動向が気になるようになりました。ワインに比べれば日本酒の製造者の規模は小さいですが、世界の市場ではライバルです。これからはそういう意気込みで獺祭を造っていかなければと思っています」

 この獺祭の成功をきっかけに日本酒の魅力が見直され、地元の山口県では5社の酒蔵が復活したという。

「海外に出たことで、『日本酒とは何か? 獺祭とは何か?』ということを改めて考えさせられ、美味しさを掘り下げ、さらに進化させていく必要性を痛感しました。純米大吟醸の売り上げでは国内第一位となり、海外でも評価された獺祭ですが、現状にあぐらをかかず、常に変わっていかなければならないと感じています。そのためには、4代目の桜井一宏社長にはあえて成功に背を向けてでも、私がやってきたことを否定しながらさらに高みを目指していってくれたらと思っています。今よりももっと美味しい日本酒をお客様に届ける、それが獺祭の将来へのヴィジョンなのですから」と語る桜井会長。ますます日本酒が進みそうだ。

獺祭の「獺」とはカワウソの意味で、旭酒造がある獺越という地名にも重なっている。ラベルは桜井会長が自らデザインしたもので、地元の書家の手によるものだ。
設備が近代化しても、美味しいお酒を造るために人の手は欠かせず、多くの経験を積んだスタッフが最高の麹をつくるため作業に邁進している。
旭酒造は杜氏を置かず、酒造りの工程を全て社員が行う。
山口県岩国市の山合いにある酒蔵「本蔵」。伝統的な木造酒蔵とは大きく異なる、12階建ての近代的なビルで獺祭は造られている。年間を通して同じ環境を整え、温度管理することで、四季醸造を実現している。
電子版で読む(無料)

CONTACT

詳しくは公式サイトにてご確認ください

旭酒蔵

☎0872-86-0120

Luxe記事一覧

  1. 日本の伝統芸能を守りながら、さらに進化して次世代への架け橋に
  2. 日本ワインを世界レベルに引き上げた女性醸造家の想い
  3. 日本茶の新しい可能性を探索し続ける
  4. いつ飲んでも美味しいお酒を目指して
  5. 技術と美しさが結集した時計を生み出す マイクロアーティスト工房
  6. 匠の技術が生んだ美と高精度の結晶「スプリングドライブ8Days」の真髄
  7. 日本の匠の技が宿る燃料電池自動車 MIRAI
  8. 銀幕のスターたちが愛したイタリアが誇る高級レザーバッグの魅力とは
  9. 美しきルツェルンの地が育んだ時計ブランド『カール F.ブヘラ』
  10. シルエットも着心地も最上級の白衣本物を追求する医師にふさわしい一着を
  11. 医師にふさわしい資産運用とは国内外が注目する「不動産投資」を学ぶ
  12. 「旅する沖縄」から「暮らす沖縄」へ
  13. アクティブな都会と静謐な古都を
  14. 四季を感じる美しき森 積水ハウス「グラヴィス ステージ」
  15. 「重厚=ステイタス」を実感! 使用するたびに贅沢な時間を共有する重厚なクレジットカード
  16. 寒い冬をスタイリッシュに装う逸品たち
  17. 多国籍文化のシンガポールでプロ目線で厳選した「食」の旅に舌鼓
  18. ハイグレードバスの車窓から眺める 世界遺産・富士山の絶景
  19. 至れり尽くせりのオーダーメイド旅行を 専任の担当者が実現する
  20. "せとうちに浮かぶ小さな宿"客船「ガンツウ」10月17日就航

ワンクリックアンケート

円安水準を更新。円安で何を思う?

トップ »  ライフスタイル » いつ飲んでも美味しいお酒を目指して