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ESMO Asia 2018 欧州臨床腫瘍学会アジア大会

ESMO Asia 2018 欧州臨床腫瘍学会アジア大会(11月23~25日、シンガポール)のレポートをご覧いただけます

低用量ゲムシタビンの非劣性を第Ⅲ相で証明

 進行扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、低用量(標準用量の4分の1)ゲムシタビンの長時間での投与とプラチナ製剤の併用は、標準用量のゲムシタビン+プラチナ製剤の併用と比べて、全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)は同様で、かつ有害事象の発生も増加しないことが、非劣性を検証する第Ⅲ相ランダム化比較試験(RCT)で示された。インド・Tata Memorial HospitalのArun Chandrashekharan氏が欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia 2018、11月23~25日、シンガポール)で報告した。

がん希少変異を標的とした治療開発が躍進

 近年、がん患者の希少遺伝子変異を標的とした治療開発の進歩が目覚しい。そうした希少変異の1つであるNTRK融合遺伝子陽性の固形がん患者において、全身および頭蓋内のいずれの腫瘍に対してもROS1/TRK阻害薬entrectinibが臨床的に意義のある持続的な効果を示したとする3件の臨床試験の統合解析の結果をオーストラリア・Olivia Newton-John Cancer Research Institute教授のThomas John氏が欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia 2018、11月23~25日、シンガポール)で報告した。解析は、日本を含む15カ国150施設で実施された第Ⅱ相試験STARTRK-2の他、2件の第Ⅰ相試験のデータを統合して行われた。同氏によると、主要評価項目である奏効率(ORR)は57.4%で、ベースライン時に中枢神経系(CNS)転移を呈していた患者における頭蓋内ORRも54.5%に達していたという。

TKI 2剤で約4年生存:EGFR陽性肺がんのアジア人

 予後不良とされていた肺がん患者の予後は、治療の進歩により劇的に改善しつつある。そのような中で、初回治療だけでなく、二次治療以降を見据えた治療シークエンスがより重視されるようになってきている。シンガポール・National University HospitalのRoss A. Soo氏は、欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia 2018、11月23~25日、シンガポール)において、実臨床で分子標的治療薬を用いた肺がん治療シークエンスを検討した初の国際研究として、後ろ向き観察研究Gio Tagの結果を報告。上皮増殖因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、一次治療としてアファチニブを投与し、T790M変異が発生した患者に二次治療としてオシメルチニブを投与した場合、投与期間の合計は全体で27.6カ月、アジア人患者では46.7カ月となり、化学療法を長期間回避できる可能性を示した。

小細胞肺がん免疫治療、全脳照射の影響は

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)では、全身療法による効果が認められた患者の一部に脳転移リスクの低減を目的とした予防的全脳照射(prophylactic cranial irradiation;PCI)を施行する場合があるが、PCIは神経学的な有害事象と関連することが報告されている。先ごろ発表された二重盲検プラセボ対照第Ⅲ相試験IMpower133では、ES-SCLCの一次治療において標準化学療法(プラチナ製剤+エトポシド)に抗PD-L1抗体アテゾリズマブを追加することで全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)の有意な延長が示された一方、対象の一部にはPCIが施行されていた。中国・香港中文大学臨床腫瘍学教授のTony Mok氏は、同試験のPCI施行患者における中枢神経系(CNS)関連の有害事象の解析結果を欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia 2018、11月23~25日、シンガポール)で報告、新たな安全性の問題は認められなかったことを明らかにした。

アレクチニブ、アジア系肺がんでも予後改善

 アジア系の未治療ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とした第Ⅲ相試験ALESIAにおいて、第二世代ALK阻害薬であるアレクチニブが第一世代ALK阻害薬クリゾチニブと比べて無増悪生存期間(PFS)を有意に改善することが示され、グローバル第Ⅲ相試験ALEXと一貫した結果が得られた。中国・Sun Yet-Sen University Cancer Center のLi Zhnag氏が欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia 2018、11月23~25日、シンガポール)で報告した。

脳卒中プレホスピタル評価は有用か

脳卒中プレホスピタル評価は有用か

 トヨタ記念病院(愛知県豊田市)は、脳卒中が疑われる患者に対して救急隊が病院到着前(プレホスピタル)に使用する脳卒中評価スケール「TOPSPIN」を独自に考案し、脳卒中急性期診療に活用している。同院神経内科医長の鈴木淳一郎氏らは、約10年間にTOPSPINを使用した症例を前向きに解析し、結果を第11回世界脳卒中会議(WSC 2018、10月17~20日、モントリオール)で報告した。

ダビガトランはアスピリンと有意差なし

ダビガトランはアスピリンと有意差なし

 塞栓源不明の脳塞栓症(ESUS)患者を対象に、直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)であるダビガトランの脳卒中再発予防における有効性および安全性をアスピリン(ASA)と比較した国際ランダム化比較試験(RCT)RE-SPECT ESUSの結果が、主任治験責任医師を務めたドイツ・University Hospital EssenのHans-Christoph Diener氏により、第11回世界脳卒中会議(WSC 2018、10月17~20日、モントリオール)で発表された。

SPG刺激療法の虚血性脳卒中への効果は

SPG刺激療法の虚血性脳卒中への効果は

 急性期虚血性脳卒中患者に対する翼口蓋神経節(翼口蓋窩にある副交感神経節:sphenopalatine ganglion;SPG)への電気刺激で予後は改善できるか―。米・University of California, Los AngelesのJeffrey L. Saver氏らは、SPG刺激療法の有用性を検討する目的で国際共同ランダム化比較試験(RCT)ImpACT-24B(Implant for Augmenting of Cerebral Blood Flow Trial, Effectiveness and Safety in a 24 hours Window)を実施。その成績を、第11回世界脳卒中会議(WSC 2018、10月17~20日、モントリオール)で発表した。

抗うつ薬による脳卒中リスクは?

抗うつ薬による脳卒中リスクは?

 うつ病の治療などに用いられる選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、血小板凝集を抑制する作用を有することから、出血性疾患への影響が懸念されている。カナダ・McGill UniversityのAntonios Douros氏は、多数例を対象とした後ろ向きコホート研究で、SSRIを中心とした抗うつ薬におけるセロトニン再取り込み阻害作用の強さと虚血性脳卒中の発症リスクとの関連について検討。結果を、第11回世界脳卒中会議(WSC 2018、10月17~20日、モントリオール)で発表した。

脳卒中の遠隔リハで身体機能が改善

脳卒中の遠隔リハで身体機能が改善

 脳卒中患者の多くは、入院中のリハビリテーション(以下、リハビリ)により一定の機能回復は得られるが、退院後も維持することは容易でなく、現在の医療制度はリハビリの需要を満たしていない。そこで、ニュージーランド・Auckland University of Technology, Health & Rehabilitation Research InstituteのDenise Taylor氏らは、退院した脳卒中患者を対象に、対面、携帯電話、文書などを組み合わせた理学療法士による在宅遠隔リハビリプログラムAugmented Community Telerehabilitation Intervention(ACTIV)を開発。その有効性についてランダム化比較試験(RCT)を実施し、結果を第11回世界脳卒中会議(WSC 2018、10月17~20日、モントリオール)で報告した。

脳卒中の失語症、超早期リハはどうすべき?

脳卒中の失語症、超早期リハはどうすべき?

 これまで、脳卒中後遺症としての失語症に対する超早期リハビリテーションの有効性について十分な検討は行われてこなかった。そこでオーストラリア・Edith Cowan University, School of Medicine and Health SciencesのErin Godecke氏らは、多施設共同前向きランダム化非盲検/単盲検エンドポイント比較試験VERSE(Very Early Rehabilitation in SpEech)trialを実施し、脳卒中後遺症としての失語症への超早期リハビリテーションの有効な方法について検討。結果を、第11回世界脳卒中会議(WSC 2018、10月17~20日、モントリオール)で報告した。

スマートフォンを活用した心電図モニタリング

スマートフォンを活用した心電図モニタリング

 うつ病に対する「時間生物学的治療」とは、断眠療法や光療法、暗闇療法などにより、患者の生体リズムを正常化し、うつ症状の改善を試みる治療法である。杏林大学精神神経科学教室講師の高江洲義和氏は第15回日本うつ病学会(7月27~28日)において、時間生物学的治療に関するこれまでの研究データを示しつつ、日本の実臨床にそのまま導入することの難しさを指摘した。

第41回日本高血圧学会総会

第41回日本高血圧学会総会(2018年9月14~16日/旭川市民文化会館・星野リゾートOMO7旭川)のレポートをご覧いただけます

日本高血圧学会が"旭川宣言"、GL改訂案も

 第41回日本高血圧学会(JSH)が、9月14~16日、北海道旭川市で1,700人超の参加者を集めて開催された。会長を務めた旭川医科大学循環・呼吸・神経病態内科学分野教授の長谷部直幸氏は開会式冒頭、直前の9月6日未明に発生した北海道胆振東部地震の犠牲者とその家族に哀悼の意を表明。「震災の悲劇を乗り越えて立ち上がらなければならないとの決意を込め、あくまで前向きの姿勢で学会開催の道を選択した」と経緯を説明し、参加者の理解と支援を求めた。同学会では「JSHダイバーシティ推進旭川宣言(JSH旭川宣言)」が発表。来春発刊予定のJSH『高血圧治療ガイドライン2019』(JSH2019)の現時点での改訂案も示された。

10年で700万人の高血圧患者減少を目指す

 心血管疾患の最大の危険因子である高血圧の制圧を目指し、日本高血圧学会(JSH)が新たなかじを切った。「JSHみらい医療計画~JSH Future Plan~」が第41回JSH(9月14~16日)で公表。新理事長の伊藤裕氏(慶應義塾大学腎臓・内分泌・代謝内科教授)は、10年間で700万人の高血圧患者減少などを目ざすと述べた。

高血圧の分類名を変更、定義は変更なし

 米国の大規模臨床試験SPRINT(Systolic Blood Pressure Intervention Trial)で用いられた、自動血圧計による診察室血圧測定法(Automated OfficeBlood Pressure;AOBP)をわが国で使用して診察室血圧(OBP)、家庭血圧(HBP)などとの関係性を検討したSPRINT-Jパイロット試験の結果が第41回日本高血圧学会(9月14〜16日)で報告された。同試験の提案者で来年(2019年)改訂予定の日本高血圧学会高血圧ガイドライン(GL、JSH2019)作成委員会委員長でもある横浜労災病院院長の梅村敏氏は、同試験の結果を踏まえた現時点におけるJSH2019(案)を発表した。高血圧の定義に変更はないが血圧値の分類名を変更、一部の降圧目標を厳格化する予定だという。

健診後の受療率・血圧管理改善に秘策あり

 心血管疾患(CVD)の抑制に向け、より早期の生活習慣病の発症予防を目指して、特定健診・特定保健指導が導入されたのは2008年のこと。受診率は向上してきたものの、健診時に重症高血圧を指摘された例においても、今なお約4割は未治療のままであるのが現状だ。そうした中、大阪大学大学院公衆衛生学招へい准教授の野口緑氏らは、積極的な受療行動促進モデルによる保健指導プログラムが、健診後の受療率や血圧・血糖・脂質などの管理改善に有効であることを、第41回日本高血圧学会(9月14~16日)で発表した。全国43自治体を対象としたクラスター・ランダム化比較試験J-HARP研究1)により明らかにしたもの。

医師の85%が高血圧治療に"困っている"

 高血圧の診断・治療は進歩しているにもかかわらず、降圧目標達成率は極めて低い状況にある(Hypertension paradox)。「保健活動を考える自主的研究会」のメンバーで旭川医科大学内科学講座講師の中川直樹氏は「かかりつけ医に対する高血圧アンケート集計結果」を第41回日本高血圧学会(9月14〜16日)で報告。「実地医家の約85%は高血圧治療に困っていることが分かった。高血圧患者には保健指導が必要で、そのためには専門医、かかりつけ医、薬剤師、保健師・栄養士、行政などの多職種連携が重要」と述べた。

世界肺癌学会議、カナダ・トロントで開幕

世界肺癌学会議、カナダ・トロントで開幕

 世界肺癌学会(IASLC)が主催する第19回世界肺癌学会議 (19th World Conference on Lung Cancer; WCLC 2018)が、9月23日にカナダ・トロントで開幕した。WCLCは、肺がんおよびその他の胸部悪性腫瘍に特化する世界最大の学術会議で、世界100カ国以上から7,000人以上が集う。この数年間で肺がん治療は劇的な変化を遂げている中で、同学会の参加者は年々増加しており...続きを読む

低線量CTによる肺がん検診で死亡リスク低下

低線量CTによる肺がん検診で死亡リスク低下

 低線量ヘリカルCT(低線量CT)を用いた肺がん検診の有効性について、1万5,000例を超える地域住民ベースで評価したランダム化比較試験(RCT)NELSONから、肺がんによる死亡リスクは肺がんのリスクが高い男性で10年間に26%、女性では39%減少することが示された。オランダ・Erasmus MC University Medical Center RotterdamのHarry J. de Koning氏が第19回世界肺癌学会議(WCLC 2018、9月23~26日、トロント)で報告した...続きを読む

ROS1/TRK阻害薬entrectinibで深く持続的な奏効

ROS1/TRK阻害薬entrectinibで深く持続的な奏効

 ROS1/トロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)阻害薬entrectinibの有効性と安全性を評価した3件の第Ⅰ/Ⅱ相試験の統合解析から、ROS1融合遺伝子陽性(ROS1陽性)の進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、entrectinibは臨床的に意義のある深い奏効をもたらし、持続的な効果を発揮することが示された。また、有害事象の多くは...続きを読む

次世代ALK阻害薬、がん増悪リスクを51%低減

次世代ALK阻害薬、がん増悪リスクを51%低減

  ALK阻害薬未治療で局所進行性または転移性のALK遺伝子転座変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、次世代ALK阻害薬であるbrigatinibの有効性と安全性をクリゾチニブと比較検討した第Ⅲ相試験ALTA-1L※の中間解析結果が明らかになった。同試験では、brigatinib群においてクリゾチニブ群と比べて無増悪生存期間(PFS)の有意な延長が認められ、病勢進行または死亡のリスク...続きを読む

未治療小細胞肺がんに抗PD-L1抗体が奏効

未治療小細胞肺がんに抗PD-L1抗体が奏効

 未治療の進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)に対し、標準治療である化学療法に抗PD-L1抗体のアテゾリズマブを追加することで、全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)が有意に延長したとする二重盲検プラセボ対照第Ⅲ相試験IMpower133の結果が明らかになった。米・Georgetown UniversityのStephen V. Liu氏が第19回世界肺癌学会議(WCLC 2018、9月23~26日、トロント)で報告...続きを読む

Ⅲ期NSCLCの維持療法に新たな標準治療

Ⅲ期NSCLCの維持療法に新たな標準治療

 免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-L1抗体デュルバルマブについて、化学放射線療法施行後に進行が認められなかったⅢ期(局所進行性)の切除不能非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、維持療法としての有効性・安全性を検証した第Ⅲ相二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験PACIFICの結果から、既報に比べ有意な無増悪生存期間(PFS)の延長に加えて、全生存期間(OS)でも有意な延長が認められ、死亡リスクは32%減少したことが...続きを読む

非小細胞肺がんの予後は女性の方が良好

非小細胞肺がんの予後は女性の方が良好

 約1,000例の非小細胞肺がん(NSCLC)患者を前向きに追跡した症例集積研究であるSWOG S0424から、全生存期間(OS)は男性よりも女性の方が長いことが確認された。男女別および喫煙歴の有無別で4群に分けた解析では、OSは喫煙歴がない女性で最も長く、次いで喫煙歴がある女性が続き、喫煙歴がある男性で...続きを読む

PDの非運動症状、アデノシンA2A受容体拮抗薬の効果は

PDの非運動症状、アデノシンA2A受容体拮抗薬の効果は

 順天堂大学脳神経内科先任准教授の下泰司氏らは、進行期パーキンソン病(PD)患者の非運動症状について検討する1年間の多施設共同前向き観察研究J-FIRSTを実施した。アデノシンA2A受容体拮抗薬イストラデフィリンがさまざまな非運動症状の改善傾向を示したとして、第23回国際パーキンソン病関連疾患学会(IAPRD 2018、8月19~22日、フランス・リヨン)で報告した...続きを読む

遅発性ジスキネジア治療薬、第Ⅲ相試験結果発表

遅発性ジスキネジア治療薬、第Ⅲ相試験結果発表

遅発性ジスキネジア(TD)の治療薬として、米国で今年(2018年)4月に承認された小胞モノアミン輸送体2(VMAT2)阻害薬のvalbenazine。米・University of Miami神経学教授のCarlos Singer氏、米・Neurocrine Biosciences社のScott Siegert氏らが同薬の第Ⅲ相試験KINECT 4の結果を、第23回国際パーキンソン病関連疾患学会(IAPRD 2018、8月19~22日、フランス・リヨン)で報告した...続きを読む

重度レム睡眠行動障害で認知機能低下

重度レム睡眠行動障害で認知機能低下

 レム睡眠行動障害(RBD)はパーキンソン病(PD)患者で高頻度に認められるが、PDの前駆症状である可能性も示唆されている。ルクセンブルク・University of Luxembourg, Luxembourg Centre for System BiologyのGeraldine Hipp氏らは、パーキンソン症候群を認めないRBD疑い(pRBD)患者の認知機能を検討。その結果、RBDの重症度が高い患者、あるいはpRBDに加えて便秘...続きを読む

PDへの脳深部刺激療法、発症年齢との関係は

PDへの脳深部刺激療法、発症年齢との関係は

脳深部刺激療法(DBS)は、薬物療法のみでは症状のコントロールが困難な進行期のパーキンソン病(PD)に対して広く行われているが、その効果とPD発症年齢との関係は明らかではない。韓国・University of Ulsan College of Medicine, Asan Medical CenterのMi Sun Kim氏らは、視床下核(STN)-DBSの長期の効果と安全性を、発症年齢40歳以下と40歳超の2群に分けて検討...続きを読む

PD患者のサプリ摂取、RCTでリハビリ効果検証

PD患者のサプリ摂取、RCTでリハビリ効果検証

パーキンソン病(PD)患者は栄養状態の悪化を来たしていることが多いが、栄養指導の在り方に関してはエビデンスが不足している。イタリア・Fondazione IRCCS Policlinico San Matteo Clinical Nutrition and Dietetics UnitのEmanuele Cereda氏は、必須アミノ酸やビタミンDを豊富に含むサプリメントの摂取が、PD患者およびパーキンソン症候群患者のリハビリ治療の効果を高める...続きを読む

太極拳がPD患者の転倒予防に?

太極拳がPD患者の転倒予防に?

  パーキンソン病(PD)患者は転倒リスクが極めて高い。原因の1つとされるのが、身体バランス能力の低下だ。近年、その改善策として、太極拳の有効性を示唆する報告が散見される。台湾・National Yang-Ming University, Department of Physical Therapy and Assistive TechnologyのHsin-Hsuan Liu氏らは、PD患者の転倒予防における太極拳の有効性について検討した...続きを読む

欧州心臓病学会(ESC2018)

欧州心臓病学会(ESC 2018、8月25〜29日、ミュンヘン)のレポートをご覧いただけます

タファミジスがATTR心アミロイドーシスに効果

タファミジスがATTR心アミロイドーシスに効果

 異型トランスサイレチン(ATTR)心アミロイドーシス(ATTR-CM)患者に対するタファミジスの効果を検討した第Ⅲ相ランダム化比較試験ATTR-ACTの結果が、欧州心臓病学会(ESC 2018、8月25~29日、ミュンヘン)で報告された。イタリア・University of BolognaのClaudio Rapezzi氏は、タファミジス投与群ではプラセボ群に比べ、主要評価項目である全死亡と心血管イベントによる入院回数の複合イベントの有意な低下が認められたと発表。ATTR-CMに対する明らかな有効性が示されたのはタファミジスが初めて...続きを読む

僧帽弁逆流症でクリップ術は転帰を改善せず

僧帽弁逆流症でクリップ術は転帰を改善せず

 重度の二次性僧帽弁逆流症(MR)患者における経皮的僧帽弁形成術が臨床転帰を改善するかどうかを検証するために、フランス・Civil Hospices of LyonのJean-Francois Obadia氏らが実施したランダム化比較試験(RCT)MITRA.FRの結果が、欧州心臓病学会(ESC 2018、8月25~29日、ミュンヘン)で報告された。同氏は「重度の二次性MR患者に対して、薬物療法に加えてMitraClipを用いた経皮的僧帽弁形成術を併用しても、薬物療法単独の患者と比べて死亡率や再入院率の改善は見られなかった」と述べた。結果はN Engl J Med(2018年8月27日オンライン版)に同時掲載された...続きを読む

高血圧患者の認知症検査は時計描画が効果的

高血圧患者の認知症検査は時計描画が効果的

高血圧と認知機能障害との関連を示す報告は多くあり、高血圧患者において早期に認知機能障害を検出することは重要である。アルゼンチン・Cardiovascular Institute of Buenos AiresのAugusto Vicario氏は、高血圧患者を対象に認知機能検査である時計描画テスト(Clock drawing test:CDT)とMini-Mental State Examination(MMSE)を実施して比較。同氏は「高血圧患者における認知機能障害の検出には、MMSEよりもCDTが有用である」と欧州心臓病学会(ESC 2018、8月25~29日、ミュンヘン)で発表した...続きを読む

睡眠負債で心血管疾患リスクが上昇

睡眠負債で心血管疾患リスクが上昇

 わずかな睡眠不足の蓄積が心身に悪影響を及ぼすとして睡眠負債が注目されているが、そのリスクについては賛否両論ありエビデンスの構築が待たれている。欧州心臓病学会(ESC 2018、8月25~29日、ミュンヘン)において、50歳の一般男性約800人を対象に睡眠時間と心血管疾患との関連を21年間追跡した観察研究の結果が発表された。スウェーデン・University of GothenburgのMoa Bengtsson氏は「中高年男性が5時間以下の睡眠を続けると、心血管疾患リスクは7〜8時間睡眠者の2倍となる」と報告した...続きを読む

急性心筋梗塞患者への酸素療法は無効

急性心筋梗塞患者への酸素療法は無効

心臓発作を起こした患者に対する酸素療法は100年以上前から行われているが、血中酸素濃度が正常な患者での十分な効果は証明されていない。スウェーデン・Karolinska InstitutetのRobin Hofmann氏らは以前、低酸素状態でない心筋梗塞(MI)が疑われる患者を対象に、酸素療法と空気吸入を比較するDETO2X-AMI※1試験を実施し、酸素療法は1年時点の生存率を改善しないことを報告している※2。今回、同氏らは同試験の長期結果を欧州心臓病学会(ESC 2018、8月25〜29日、ミュンヘン)で報告し、「MIが疑われる患者への酸素療法に心不全予防効果はなく、長期死亡リスクも改善されない」と述べた...続きを読む

炭火焼き料理で心血管死亡リスクが上昇?

炭火焼き料理で心血管死亡リスクが上昇?

 料理で石炭や薪、木炭などの固形燃料を長期間使用することが、心血管疾患(CVD)による死亡リスクの増加と関係しているという研究結果が、欧州心臓病学会(ESC 2018、8月25~29日、ミュンヘン)で報告された。研究チームの1人である英・University of OxfordのDerrick Bennett氏は「料理で固形燃料を使っている人は、なるべく早く電気かガスに切り替えるべきだ」と述べている...続きを読む

心内膜炎の抗菌薬治療、静注 vs. 経口

心内膜炎の抗菌薬治療、静注 vs. 経口

 左心の感染性心内膜炎に対しては、通常、静注抗菌薬による治療が最長6週間行われる。デンマーク・Copenhagen University HospitalのHenning Bungaard氏は、Partial Oral Treatment of Endocarditis(POET)試験の結果を欧州心臓病学会(ESC 2018、8月25〜29日、ミュンヘン)で発表。「患者が臨床的に安定後、抗菌薬の静脈内投与を経口投与に切り替えても、治療の有効性と安全性は静脈内投与を継続した場合と変わらない」と述べた。なお、詳細はN Engl J Med(2018年8月28日オンライン版)に同時掲載された。(関連記事:「お口で治す心内膜炎?」)...続きを読む

フェブキソスタットに腎イベント抑制効果

フェブキソスタットに腎イベント抑制効果

 高尿酸血症治療薬フェブキソスタットの脳心腎血管関連イベント発現の抑制効果を検証するために、川崎医科大学総合内科学3教授の小島淳氏らが実施した多施設共同ランダム化比較試験(RCT)FREEDの結果が、欧州心臓病学会(ESC 2018、8月25~29日、ミュンヘン)のHot Line Sessionで報告された。同氏は、フェブキソスタットが脳心腎血管の複合イベントの発生を約25%有意に抑制し、中でも特に腎イベントの発生を強く抑制したと発表した。高尿酸血症治療薬を用いた1,000例規模のRCTにおいて、イベント抑制のエビデンスが示されたのは今回が初めて...続きを読む

アスピリンに初発予防効果も安全性に懸念

アスピリンに初発予防効果も安全性に懸念

 糖尿病患者1万5,000例超を対象に心血管イベントの初発予防におけるアスピリンおよびn-3系(ω3)脂肪酸の効果をプラセボと比較した第Ⅳ相ランダム化比較試験ASCENDの結果が欧州心臓病学会(ESC 2018、8月25~29日、ミュンヘン)で報告された。英・University of OxfordのJane Armitage氏らは、アスピリンはプラセボと比べて重篤な心血管イベントの発生を有意に抑制したが、大出血イベントの発生が有意に増加したと発表。また同大学のLouise Bowman氏らは、重篤な心血管イベントに対する効果はω3脂肪酸とプラセボで差がないことを示した。結果はN Engl J Med(2018年8月26日オンライン版)に同時掲載された...続きを読む

抗肥満薬lorcaserinの心血管安全性を初確認

抗肥満薬lorcaserinの心血管安全性を初確認

 抗肥満薬lorcaserinの心血管安全性を評価するために米・Brigham and Women's HospitalのErin A. Bohula氏らが実施したCAMELLIA -TIMI 61※試験の結果が欧州心臓病学会(ESC 2018、8月25~29日、ミュンヘン)で発表された。心血管リスクが高い過体重または肥満の患者1万2,000例を対象とした同試験では、lorcaserinによる主要心血管イベント(MACE:心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合)リスクの上昇は認められなかった。なお、詳細はN Engl J Med(8月26日オンライン版)に同時掲載された(関連記事「【キーワード】抗肥満薬」)...続きを読む

第115回日本内科学会

第115回日本内科学会(2018年4月13~15日/京都市勧業館(みやこめっせ)/ロームシアター京都)のレポートをご覧いただけます

SGLT2阻害薬の抗がん作用をヒトでも確認

 群馬大学病院内分泌糖尿病内科の研究グループは、SGLT2阻害薬に抗がん作用があることを見いだし、その作用機序が糖の再取り込み阻害以外の全く新しい作用であると、第115回日本内科学会(4月13~15日)で報告した。ダパグリフロジンに関して確認したもので、コラーゲン線維に対するがん細胞の接着能を減弱させることで抗がん作用を発揮しているものと推測された。ヒトでも同薬の抗がん作用を確認しており、想定されている作用機序に合致した結果が得られているという。

慢性呼吸不全への睡眠薬、投与できる症例も

 慢性呼吸不全の3~4割は睡眠障害のために睡眠薬が必要とされているが、睡眠薬投与は原則禁忌とされている。国立病院機構南京都病院など8施設共同による2年間の前向きコホート観察研究により、慢性呼吸不全患者に対する睡眠薬投与が高二酸化炭素血症を増悪させず生命予後にも影響しないことが明らかになった。第115回日本内科学会(4月13~15日)で発表した同院呼吸器科内科医長の角謙介氏は「臨床現場で睡眠薬の処方に苦慮している医師には有用な結果。しかし、全ての症例が適応になるわけでなく、症例によって慎重な考慮が必要」と強調している。

中村祐輔氏が日本で個別化医療の講演

 米・University of Chicago教授の中村祐輔氏は、第115回日本内科学会(4月13~15日)で「がんプレシジョン医療の現状と課題」と題して講演した。米国のオバマ前大統領が2015年に一般教書演説で打ち出したプレシジョン医療は「私が提唱してきたオーダーメイド医療と同義語」とした上で、自身の研究も含め先端的な研究成果を紹介。「これまで治せなかったがんも治せるようになる。それは遠くない日である」と強調した。

腸内細菌が動脈硬化性疾患に関与

 近年、腸内細菌が炎症性腸疾患だけでなく糖尿病や脂質異常症といった代謝性疾患や悪性腫瘍、精神疾患などの発症に深く関係していることが分かってきているが、動脈硬化性疾患との関係も注目されている。神戸大学大学院循環器内科学分野教授の平田健一氏は第115回日本内科学会(4月13~15日)で、自身の研究成果も交えて腸内細菌と動脈硬化性疾患との関係を講演、「将来は患者の便のパターンによってプロバイオティクスなどによる腸内細菌で介入する個別化医療の時代が来る」という考えを示した。

2型糖尿病の骨折リスク予測にFRAXが有用

 骨折リスクの評価法として広く使われているFRAX(fracture risk assessment)スコアが2型糖尿病女性の骨折リスクの予測因子になりうると、東京大学大学院糖尿病・代謝内科の笹子敬洋氏が第115回日本内科学会(4月13~15日)で発表した。2型糖尿病に対する厳格な多因子介入の臨床試験J-DOIT3において、有害事象として報告された骨折を対象に解析した結果得られたもので、男性では予測因子が見いだせなかった。また、厳格な多因子介入(強化療法群)による骨折リスクの上昇は認められなかった。

第118回日本外科学会

第118回日本外科学会(2018年4月5~7日/東京国際フォーラム・JPタワー ホール&カンファレンス)のレポートをご覧いただけます

8K内視鏡のメリットはどこにあるか

 腹腔鏡手術において、内視鏡がモニターに映し出す体内の映像の精度は、技術の発展とともに向上している。昨年(2017年)には、従来の約16倍の解像度を持つ8K(Ultra-high Definition、7,640×4,320pixel)内視鏡システムが世界で初めてわが国で発売され、注目を集めた。既存の内視鏡システムでも「十分に高精細」との声もある中、8Kのメリットはどこにあるのか。杏林大学消化器・一般外科教授の森俊幸氏が、第118回日本外科学会(4月5~7日)で報告した。

育児中の男女外科医が抱えるストレスの実態

 育児中の外科医が抱えるストレスの実態を明らかにするため、18歳未満の子供を持つ日本外科学会会員を対象に「働くドクターのストレス調査」が行われた。その結果、外科医の多くが仕事に関するストレスに加え、自分の時間や子供と過ごす時間の不足など、時間に関するストレスを抱えていることが分かった。東京女子医科大学心臓血管外科の冨澤康子氏が第118回日本外科学会(4月5~7日)で報告した。

佐賀大方式「インセンティブ手当」とは?

 わが国における外科医師の不足は深刻である。負担の大きい業務に見合う報酬が支払われないことが、医師が外科離れする一因だ。こうした中、佐賀大学病院では2011年から外科の手術手技をはじめとする収益性の高い行為に対して「インセンティブ手当」を導入。年間総額1億~3億5,000万円の支出増となるにもかかわらず、病院収益は増大した。導入の経緯や方法について、同大学一般・消化器外科教授の能城浩和氏が第118回日本外科学会(4月5~7日)で報告した。

潰瘍性大腸炎、2術式の予後を比較

 難治性潰瘍性大腸炎の治療において、手術は重要な選択肢の1つであるが、術後の回腸囊炎や頻便、便失禁などの発生が問題となる。現在標準とされている回腸囊肛門吻合術(IPAA)と回腸囊肛門管吻合術(IACA)の両術式間で、術後の合併症と排便機能にどのような差があるかを、大腸肛門病センターくるめ病院(福岡県)副院長の野明俊裕氏が検討し、第118回日本外科学会(4月5~7日)で報告した。

専門で異なる?女性医師の妊娠と出産

 女性医師にとって、ライフイベントである妊娠・出産とキャリアの両立は大きな課題である。女性医師が増加する中、女性医師の妊娠・出産に関する実態を把握する重要性は増しているが、わが国ではこうした調査報告は少ない。東京慈恵会医科大学葛飾医療センター乳腺・内分泌外科准教授の川瀬和美氏は、女性医師の妊娠・出産に対する意識やマタニティハラスメントの実態、妊娠・出産時の合併症の有無などについて、同大学の常勤女性医師に対してアンケートを実施し、専門分野(外科系、内科系、基礎系)別に集計。その結果を第118回日本外科学会(4月5~7日)で報告した。

第82回日本循環器学会

第82回日本循環器学会(2018年3月23~25日/大阪国際会議場・リーガロイヤルホテル大阪・堂島リバーフォーラム)のレポートをご覧いただけます

ワルファリン不適正使用で大出血発生率上昇

 東邦大学大森病院循環器内科の篠原正哉氏らは、重度のフレイルでない高齢心房細動(AF)患者を対象に経口抗凝固薬(OAC)の適正使用を検討した結果、ワルファリンの不適正量処方は大出血の発生を増加させるため避けるべきであると、第82回日本循環器学会(3月23~25日)で発表した。

2つの心電学的指標が心臓突然死の予知に有用

 東邦大学循環器内科学教授の池田隆徳氏らは、左室機能障害(LVD)患者を対象に行われたJANIES-LVD研究の結果、心臓突然死の高リスク患者の予測にはある2つの心電学的指標を用いるのが有用と考えられることを、第82回日本循環器学会(3月23~25日)で報告した。

最近の心サルコイドーシスの予後は改善

 近年、心サルコイドーシス(CS)の診断率が向上し、非虚血性心筋症の一群として認識されつつある。しかし、予後やデバイス治療の有効性に関して十分なデータはない。北海道大学大学院循環病態内科学講師の横式尚司氏らは、Japanese Cardiac Device Therapy Registry(JCDTR)登録症例のデータを用いて、CSと拡張型心筋症(DCM)における予後とデバイス治療の有効性について検討した。その結果、両群の全死亡、心不全入院、植込み型除細動器 (ICD)の適切作動に有意差は認められなかったと第82回日本循環器学会(3月23~25日)で報告した。

アブレーション治療で全死亡リスクが半減

 武田総合病院(京都市)不整脈科部長の江里正弘氏らは、伏見心房細動患者登録研究(伏見AF Registry)に登録されたリズムコントロール(洞調律維持)治療を受けている心房細動(AF)患者を対象に、カテーテルアブレーションが臨床アウトカムに及ぼす影響を検討した。追跡調査の結果、カテーテルアブレーションは抗不整脈薬単独治療と比べて全死亡リスクの低下に有意に関連していたと、第82回日本循環器学会(3月23~25日)で発表した。

睡眠の改善は早朝の血圧上昇を抑制

 睡眠障害や不眠、夜間のシフト勤務は概日リズムを障害する。交感神経活動に異常を来し、アルドステロン系や食塩感受性の亢進によってnon-dipper型またはriser型の高血圧を惹起させることで、心血管疾患を引き起こす。夜間高血圧をはじめnon-dipper型、riser型の概日リズム障害患者では、降圧治療を受けていても心血管疾患リスクが高いことが分かっている。自治医科大学循環器内科学部門主任教授の苅尾七臣氏は、オレキシン受容体拮抗薬スボレキサントによる睡眠障害の改善が夜間および早朝高血圧に与える影響を検討し、第82回日本循環器学会(3月23〜25日)で報告した。

PCSK9阻害薬は心臓血管手術後再発予防に有用

 睡眠障害や不眠、夜間のシフト勤務は概日リズムを障害する。交感神経活動に異常を来し、アルドステロン系や食塩感受性の亢進によってnon-dipper型またはriser型の高血圧を惹起させることで、心血管疾患を引き起こす。夜間高血圧をはじめnon-dipper型、riser型の概日リズム障害患者では、降圧治療を受けていても心血管疾患リスクが高いことが分かっている。自治医科大学循環器内科学部門主任教授の苅尾七臣氏は、オレキシン受容体拮抗薬スボレキサントによる睡眠障害の改善が夜間および早朝高血圧に与える影響を検討し、第82回日本循環器学会(3月23〜25日)で報告した。

ARASへのステント留置に高い治療効果

 動脈硬化性腎動脈狭窄症(ARAS)は腎血管性高血圧や腎機能障害が生じて慢性腎臓病(CKD)を進展させ、心血管イベントリスクや死亡率が高いことが知られている。ARASに対する腎動脈ステント留置に期待が寄せられるものの、近年の海外での大規模臨床試験(STAR試験、ASTRAL試験、CORAL試験)ではその効果に否定的な結果が示されている。岸和田徳洲会病院(大阪府)循環器内科部長の藤原昌彦氏は、腎動脈ステント留置の有効性および治療有効予測因子を同定することを目的とした多施設共同前向き試験であるVERDICT Studyを実施し、第82回日本循環器学会(3月23〜25日)で報告した。

第21回日本病態栄養学会

第21回日本病態栄養学会(2018年1月12~14日/国立京都国際会館)のレポートをご覧いただけます

昆布だしの「うま味」でドライマウス改善

 近年わが国で患者数が増えているとされる味覚障害。原因の1つに唾液分泌量の低下(ドライマウス)があるが、その診断や治療は医科・歯科ともに普及しているとはいえない。東北大学大学院歯学研究科口腔診断学分野教授の笹野高嗣氏は、ドライマウス患者の特徴や診断、さらに「うま味」の持つ唾液分泌促進作用を活用した独自の治療法について、第21回日本病態栄養学会(1月12~14日)で報告した。

がん化学療法中の味覚障害をうま味で改善

 頭頸部がん患者の化学放射線治療における副作用の1つである味覚障害は、患者の栄養状態を悪化させる一因となるが、その発生メカニズムや対処法は十分に解明されてこなかった。徳島大学大学院代謝栄養学分野の堤理恵氏らは、化学療法における味覚障害には舌のうま味および甘味受容体であるT1R3遺伝子発現の減少が関係しており、この減少を抑制する「うま味」成分の活用により味覚障害を改善できる可能性があることを、日本病態栄養学会(1月12~14日)で発表した。

「うま味」感度低下で肥満になる?

 山陰労災病院(鳥取県米子市)第三循環器科部長の水田栄之助氏は、味覚感度・嗜好と生活習慣病および循環器病との関連について研究を行った。その結果、五大基本味の1つ「うま味」の感度が低下すると肥満になりやすいことが分かり、生活習慣病や心臓病などの対策として「うま味」を活用できる可能性があると第21回日本病態栄養学会(1月12~14日)で報告した。

術後早期の蛋白質摂取で回復が早まる

 高齢の開心術例では、術前から栄養障害を呈することが少なくなく、術後早期の蛋白質投与は侵襲に伴う筋蛋白質異化に対して有効であるとされる。これを検証するため、近森病院(高知市)臨床栄養部の田部大樹氏は単独大動脈弁置換術(AVR)後の高齢患者の蛋白質摂取量と身体機能との関連を検討し、第21回日本病態栄養学会(1月12~14日)で報告した。

下肢筋量低下がインスリン抵抗性の要因に

 2型糖尿病患者において、体脂肪率の増加と同じく、下肢の骨格筋量の低下もまたインスリン抵抗性を引き起こす重要な因子であることが示されたと、久留米大学内分泌代謝内科准教授の田尻祐司氏が第21回日本病態栄養学会(1月12~14日)で報告した。

第67回日本アレルギー学会

第67回日本アレルギー学会 (2018年6月22~24日/幕張メッセ・ホテルニューオータニ幕張)のレポートをご覧いただけます

喘息などを呈する謎多き血管炎、対応法は

 気管支喘息やアレルギー疾患が先行し、末梢血好酸球増多を伴う原因不明の全身性壊死性血管炎である好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)。日常的なアレルギー診療で遭遇する可能性は十分にあるが、その認知度はまだ低く、対応に難渋する医師も少なくない。平塚市民病院(神奈川県)アレルギー内科部長の釣木澤尚実氏は、EGPAの診療におけるポイントを第67回日本アレルギー学会(6月22~24日)で解説した。

妊娠中の母親ではスギ花粉、ダニ感作が多い

鉄欠乏下のたばこ曝露で気腫性病変が増悪

 小児のアレルギー疾患を評価するには、その両親のアレルギー既往を調査することが重要である。国立成育医療研究センター・アレルギーセンターの山本貴和子氏は、自身が調査を担当した環境省の「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」の結果を第67回日本アレルギー学会(6月22~24日)で報告した。妊娠中の母親では、スギ花粉やダニの特異的免疫グロブリン(Ig)E抗体価が他のアレルゲンより高いなどといった特徴が示されたという。

多様な成人食物アレルギーの診療ポイントは

 成人の食物アレルギーは臨床病型や原因食物、発症メカニズムなどが多様で、診療ではそれらを踏まえた対応が求められる。国立病院機構相模原病院臨床研究センター診断・治療薬開発研究室長の福冨友馬氏は、小麦依存性運動誘発アレルギー(WDEIA)、花粉-FA症候群(PFAS)、アニサキスアレルギー、職業性手湿疹関連FAなどの特徴や診療上の要点を第67回日本アレルギー学会(6月22~24日)で解説した。

食物アレルギーの予後不良例はこう対応

 食物アレルギーの小児患者は多くが成長とともに耐性を獲得するものの、予後不良なケースもある。国立病院機構相模原病院小児科医長の柳田紀之氏は、小児期の代表的な即時型食物アレルギーである鶏卵、牛乳、小麦によるアレルギー疾患の予後と予後不良例への介入方法について、第67回日本アレルギー学会(6月22~24日)で論じた。

海に潜む納豆アレルギーのリスクとは?

 本格的な夏が到来し、海へ出かける人が多くなるこの時期。さまざまなマリンスポーツを楽しむ人にとって気を付けておきたい食物アレルギーが存在する。横浜市立大学大学院環境免疫病態皮膚科学准教授の猪又直子氏は、同大学病院皮膚科を受診した食物アレルギー患者を対象とした検討から、納豆アレルギーに含まれるポリガンマグルタミン酸(PGA)感作のリスク因子となるマリンスポーツについて、第67回日本アレルギー学会(6月22~24日)で報告した。

第58回日本呼吸器学会レポート

第58回日本呼吸器学会(2018年4月27日〜29日/大阪国際会議場・リーガロイヤルホテル大阪)のレポートをご覧いただけます

免疫CP阻害薬の副作用対策で診療連携を推進

  近年、多くの診療科で使用されるようになった免疫チェックポイント阻害薬(Immune Checkpoint Inhibitor;ICI)には、従来のがん治療薬とは異なる副作用があり、致死的な状況に陥るリスクもある。九州大学呼吸器内科学分野教授の中西洋一氏は、同大学病院で組織したICI適正使用委員会(以下、委員会)の活動内容を第58回日本呼吸器学会(4月27~29日)で説明した。活動を通じて...続きを読む

鉄欠乏下のたばこ曝露で気腫性病変が増悪

鉄欠乏下のたばこ曝露で気腫性病変が増悪

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は喫煙感受性の高い喫煙者で発症リスクが高いことが知られているため、同疾患の予防、治療には喫煙感受性に着目したアプローチが有効となりうる。山形大学内科学第一講座の佐藤建人氏は、マウスやヒトの細胞を用いて、鉄代謝と喫煙感受性の関連性を検討したところ、鉄欠乏状態におけるたばこ曝露が気腫性病変を増悪させることが...続きを読む

COPD治療は気流閉塞進行前が効果的

COPD治療は気流閉塞進行前が効果的

 気管支拡張薬により慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の症状や予後は改善するようになったが、同疾患は気流閉塞が軽度だと症状が出にくく、診断や治療に至らないケースも多い。山形大学内科学第一講座の佐藤建人氏は、健康診断を受診した一般住民を対象に、喫煙歴の有無および気流閉塞の重症度別に...続きを読む

震災後住環境がダニアレルギー性喘息に関与

 東日本大震災から7年が経過したが、被災者には現在でもその影響によるさまざまな健康リスクが及んでいる。平塚市民病院(神奈川県)アレルギー内科部長の釣木澤尚実氏は、宮城県石巻市の仮設住宅に居住歴がある15歳以上の住民を対象に、喘息の有病率やアレルゲン感作の状況を経年的に調査、分析。震災後の住環境の変化によってダニアレルゲンに対する抗体陽性率が上昇...続きを読む

肥満者の体重増加が肺機能低下に大きく影響

肥満者の体重増加が肺機能低下に大きく影響

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者における肺機能低下因子としては喫煙が挙げられるが、それ以外の因子はあまり知られていない。そこで、東海大学呼吸器内科学の竹内友恵氏は、COPDはメタボリックシンドロームとの合併が多く、合併が予後不良因子となる報告(Am J Respir Crit Care Med 2009; 179: 509-516)があることなどを踏まえ、同大学病院で健康診断を受診した中高...続きを読む

OSASの呼吸抵抗、覚醒中も一定の体位で増大

 信州大学内科学第一教室の町田良亮氏らは、強制オシレーション法(FOT)を用いて閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)患者の覚醒中の呼吸抵抗を体位別に検討。起きているときでも、体位を変えることでOSASの重症度に応じた呼吸抵抗の増大が生じる可能性があることを見いだし、第58回日本呼吸器学会(4月27〜29日)で検討結果の概要...続きを読む

OSA患者での内臓脂肪面積測定の意義とは?

OSA患者での内臓脂肪面積測定の意義とは?

 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)患者はそうでない人に比べ、内臓脂肪量が多いことが報告されている。重症OSAと内臓脂肪量増加はいずれも心血管疾患発症と関連するため、OSA患者で内臓脂肪型肥満を評価することは重要と考えられる。京都大学大学院呼吸器内科学の南卓馬氏らは、ポリソムノグラフィ(PSG)を施行...続きを読む

喘息とCOPDの合併病態ACOの診療指針示す

喘息とCOPDの合併病態ACOの診療指針示す

 日本呼吸器学会は、喘息と慢性閉塞性肺疾患(COPD)の合併した病態に対する初めての診療指針となる、『喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)診断と治療の手引き2018』(以下、手引き)を昨年(2017年)末刊行した。その作成委員で横浜市立大学呼吸器病学主任教授の金子猛氏は、手引きの特色や有用性について第58回同学会(4月27~29日)で論述した...続きを読む

術前診断は肺がんの再発リスクとなるか?

術前診断は肺がんの再発リスクとなるか?

 治療成績を向上させるために行う術前診断が、かえって患者の予後を悪化させる可能性が示唆されている。国立病院機構姫路医療センター呼吸器内科の水守康之氏らは、気管支鏡検査や経皮的穿刺による術前診断とⅠA期非小細胞肺がんの再発リスクの関連を検討。その結果を第58回日本呼吸器学会(4月27〜29日)で発表した...続きを読む

COPDガイドライン最新版では診断基準を充実

COPDガイドライン最新版では診断基準を充実

 今年(2018年)4月、約5年ぶりに改訂された「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2018(第5版)」(新GL)について、責任編集委員で久留米大学内科学講座呼吸器・神経・膠原病内科部門呼吸器病センター教授の川山智隆氏は、主な改訂点を第58回日本呼吸器学会(4月27~29日)で説明した。COPD診断の手がかりとなる1秒率の考え方に関する記述を充実させる...続きを読む

第62回日本リウマチ学会レポート

第62回日本リウマチ学会(2018年4月26日〜28日/東京国際フォーラム)のレポートをご覧いただけます

初のJAK阻害薬、市販後調査の中間解析

初のJAK阻害薬、市販後調査の中間解析

 関節リウマチ(RA)を適応として日本で初めて承認されたヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬トファシチニブの市販後調査(PMS)の中間解析結果が、第62回日本リウマチ学会(4月26~28日)で公表された...続きを読む

RA患者では加齢に伴い非椎体骨折が急増

RA患者では加齢に伴い非椎体骨折が急増

 関節リウマチ(RA)患者は骨折リスクが高いにもかかわらず、骨粗鬆症の治療が十分行われていないという課題がある。東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター非常勤講師で若林医院(東京都)院長の古谷武文氏は、第62回日本リウマチ学会(4月26~28日)で「閉経後女性RA患者の6割以上が骨粗鬆症で...続きを読む

若年性特発性関節炎の国内での実態が初めて明らかに

若年性特発性関節炎の国内での実態が初めて明らかに

 若年性特発性関節炎(JIA)は、関節炎の症状が6週間以上続く原因不明の疾患で、16歳未満の子供に起こる小児リウマチ性疾患の中で最も患者数が多い。国内の有病率は小児1万人当たり約1人といわれている。過去に詳細な調査が行われたことはなかったが...続きを読む

第2のJAK阻害薬、関節破壊を長期で抑制

第2のJAK阻害薬、関節破壊を長期で抑制

 産業医科大学第1内科学講座教授の田中良哉氏は、関節リウマチ(RA)に対するヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬バリシチニブ長期継続試験RA-BEYONDの2年間の成績がまとまったとして、第62回日本リウマチ学会(4月26~28日)で発表した。バリシチニブで治療を開始した患者での関節破壊の有意な進展抑制が得られ、TNFα阻害薬であるアダリムマブと同様の効果が確認...続きを読む

ベリムマブがSLEの臓器障害に優れた改善効果

ベリムマブがSLEの臓器障害に優れた改善効果

 東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科准教授でJDCPstudy研究代表者の西村理明氏は、同studyのベースラインデータについて第61回日本糖尿病学会(5月24~26日)で発表した。...続きを読む

サリルマブがMTX効果不十分RAで有効性示す

サリルマブがMTX効果不十分RAで有効性示す

 関節リウマチ(RA)に対し、インターロイキン(IL)-6を標的とするサリルマブ(ヒト型抗ヒトIL‒6受容体モノクローナル抗体)の国内第Ⅲ相臨床試験KAKEHASIの成績を、産業医科大学第1内科学講座教授の田中良哉氏が第62回日本リウマチ学会(4月26~28日)で発表...続きを読む

高齢発症のRA患者でBioの効果を検討

高齢発症のRA患者でBioの効果を検討

 近年増加している高齢発症関節リウマチ(elderly-onset rheumatoid arthritis;EORA)患者では、免疫抑制療法による合併症の発生などが問題であり、治療法はまだ確立されていない。杏林大学第一内科腎臓・リウマチ膠原病内科の福岡利仁氏は、EORA治療法の確立を目的として、EORAに対する生物学的製剤(bDMARD)の治療効果と安全性を検討...続きを読む

JAK1阻害薬の日本人成績を初公表

 東邦大学内科学講座膠原病学分野教授の亀田秀人氏は、関節リウマチ(RA)を適応として開発中のヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬upadacitinibについて日本人初の第Ⅱb/Ⅲ相臨床試験SELECT-SUNRISEの成績を、第62回日本リウマチ学会(4月26~28日)で発表した。同氏は、upadacitinib投与1週後からプラセボ群に比べて...続きを読む

SLE患者の妊娠転帰を含む長期予後を検討

SLE患者の妊娠転帰を含む長期予後を検討

 全身性エリテマトーデス(SLE)患者においては、治療の進歩に伴い予後が改善した一方、長期罹患に伴う心身の負担の蓄積やQOLの低下などの問題が依然として残る。しかし、これまでわが国においてSLE患者の長期予後に関する多施設調査は行われてこなかった。そこで日本リウマチ学会は、SLE患者...続きを読む

第61回日本糖尿病学会レポート

第61回日本糖尿病学会(2018年5月24日〜26日/東京国際フォーラム他)のレポートをご覧いただけます

アプリ活用で患者主体的なインスリン治療を

アプリ活用で患者主体的なインスリン治療を

 持続グルコースモニター(CGM)/ Flash Glucose Monitoring(FGM)を用いると、持続的かつリアルタイムに糖尿病患者の皮下グルコース濃度や変動トレンドを知ることができ、安全かつ有効に治療を行える可能性が高くなる。第61回日本糖尿病学会(5月24~26日)で永寿総合病院(東京都)糖尿病臨床研究センター療養指導主任(同センターセンター長補佐兼務)の小出景子氏は...続きを読む

食事療法の実施が身体活動量を増加させる?

 新潟大学大学院血液・内分泌・代謝内科学講座教授の曽根博仁氏、帝塚山学院大学大学院人間科学部食物栄養学科教授の津田謹輔氏らは、日本人糖尿病患者の大規模前向き観察研究JDCP studyで食事および運動療法の実態をベースライン時のデータから解析し、その結果を第61回日本糖尿病学会(5月24~26日)で曽根氏...続きを読む

CGMやFGMの活用で血糖コントロール新時代に

CGMやFGMの活用で血糖コントロール新時代に

 東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科准教授の西村理明氏は、第61回日本糖尿病学会(5月24 ~26 日)で持続グルコースモニター(CGM)とFlash Glucose Monitoring(FGM)について解説。「リアルタイムCGM/ FGMを適切に使用することで、血糖コントロールは新時代に突入した」と述べた。...続きを読む

怖い夜間の無自覚性低血糖、対策は明確

怖い夜間の無自覚性低血糖、対策は明確

 近年、糖尿病治療において低血糖を回避することの重要性が強く認識されるようになった。一方、持続グルコースモニター(CGM)の普及により、無自覚性低血糖が夜間(睡眠時)を中心に、今まで考えられていたより高率に発生していることも明らかにされている。...続きを読む

日本の糖尿病合併症の実態が判明

日本の糖尿病合併症の実態が判明

 東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科准教授でJDCPstudy研究代表者の西村理明氏は、同studyのベースラインデータについて第61回日本糖尿病学会(5月24~26日)で発表した。...続きを読む

児の過成長、妊娠後期のHbA1c値と関連

児の過成長、妊娠後期のHbA1c値と関連

 糖代謝異常妊婦から出生した児は、先天奇形、巨大児、低血糖などの問題を抱えていることが多い。東京女子医科大学母子総合医療センター新生児科の今井憲氏は、同センターで糖代謝異常妊婦から出生した児の合併症について検討。母体の妊娠中の経過との関連などを調べ...続きを読む

妊娠糖尿病で巨大児をいかに予見・予防するか

妊娠糖尿病で巨大児をいかに予見・予防するか

 糖代謝異常合併妊婦では、母体高血糖に基づく児の高インスリン血症をはじめ,さまざまな因子を背景に児の過剰発達が生じ、巨大児を出産する可能性がある。巨大児は難産による分娩外傷だけでなく、将来的な...続きを読む

第32回米国睡眠学会(SLEEP)2018レポート

第32回米国睡眠学会(SLEEP2018 2018年6月2日〜3日/ボルティモア)のレポートをご覧いただけます

未就学児の一律の昼寝習慣はNGか

未就学児の一律の昼寝習慣はNGか

 日本において、在園時間の短い幼稚園では昼寝(午睡)が一般的ではない一方、保育園では日課として実施されてきた。しかし近年、昼寝が夜間睡眠に悪影響を及ぼすなどの指摘や、小学校入学後の生活リズムに慣れさせる目的などから、未就学児の昼寝の在り方を見直す動きが広まっている...続きを読む

不眠症向けのデジタル認知行動療法

 不眠症に対する認知行動療法(CBT-I;Cognitive Behavioral Therapy for Insomnia)については豊富なエビデンスが集積されており、その効果は短期的だけでなく10年の長期にわたりその効果が持続することが報告されている(関連記事)。近年、インターネットを用いたデジタル認知行動療法(dCBT-I;digital CBT-I)が開発され、短期的な不眠症の改善効果が示されている...続きを読む

あの薬剤で「時差ぼけ」改善

 海外旅行者を悩ませる、いわゆる「時差ぼけ」。医学的には「Jet Lag Disorder(JLD)」という、概日リズム睡眠障害の1つに分類される。現在までに、米食品医薬品局(FDA)により承認されたJLD治療薬はないが...続きを読む

高齢者の昼寝時間と認知症リスク

 高齢者では昼寝の習慣は一般的だが、昼寝は夜間睡眠に悪影響を及ぼすことや健康アウトカムが反比例する可能性が指摘されている。米・University of California, San FranciscoのYue Leng氏らは...続きを読む

ナルコレプシー・OSAの新薬で長期効果を確認

 ナルコレプシーおよび閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の主な症状の1つである「過度な眠気」に対する治療薬として、開発が進められているsolriamfetol。米食品医薬品局(FDA)の希少疾病用医薬品指定を受け、承認審査中だ...続きを読む

日本発デバイスでOSAが改善

 使い捨てタイプの鼻腔挿入デバイス(nasopharyngeal airway stent;NAS、商品名ナステント)は、いびきや閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の改善を目的として、日本で開発された(関連記事)。これまでにOSA患者やいびき症者を対象に国内で実施された小規模研究から、OSAにおける無呼吸低呼吸指数(AHI)の低下やいびきの有意な改善などが認められている...続きを読む

中程度の湯温での入浴が睡眠を改善

 現代の日本人は入浴をシャワーのみで済ませることが多いが、湯船に漬かって体を温めることは良質な睡眠の秘訣ともいわれる。しかし、その温度はどれくらいがよいのかー。奈良県立医科大学総合医療学講座(西尾健治教授)の田井義彬氏らは、「平城京スタディ※」の参加者を対象に入浴が睡眠の質に及ぼす影響について検討...続きを読む

第59回日本神経学会学術大会レポート

第59回日本神経学会学術大会(2018年5月23日(水)〜26日(土)/ロイトン札幌・さっぽろ芸術文化の館・札幌市教育文化会館)のレポートをご覧いただけます

脊髄性筋萎縮症の臨床所見を見逃すな

最高到達運動機能によるSMAのサブタイプ分類

 指定難病でもある脊髄性筋萎縮症(SMA)は運動ニューロン病の一種で、乳児期発症型では人工呼吸器を用いなければ2歳を迎える前に90%以上が死亡するという。しかし、昨年(2017年)初の治療薬が発売され、現在も新規治療法の開発が進められている。東京女子医科大学臨床ゲノムセンター所長の斎藤加代子氏は...続きを読む

プリオン病の診断基準の問題点

プリオン病の診断基準の問題点

 プリオン病は、脳組織における海綿状変化と異常プリオン蛋白(scrapie prion protein;PrPSc)の蓄積を特徴とし、同種間または異種間で伝播しうる。金沢大学大学院脳老化・神経病態学の浜口毅氏は、国内のプリオン病の罹患状況と臨床像について第59回日本神経学会(5月23〜26日)で解説し...続きを読む

A2A受容体拮抗薬がPD姿勢異常を改善

A2A受容体拮抗薬がPD姿勢異常を改善

 パーキンソン病(PD)患者の3分の1で認められるとされる姿勢異常。難治性で患者のQOLおよびADL低下の大きな要因となるが、治療法は確立されていない。獨協医科大学神経内科准教授の鈴木圭輔氏らは、PD患者の姿勢異常に対するアデノシンA2A受容体拮抗薬イストラデフィリンの有効性について検討。その結果、姿勢異常が改善したと第59回日本神経学会(5月23~26日)で報告した...続きを読む

嗅覚障害がPD患者の認知症発症予測因子に

嗅覚障害がPD患者の認知症発症予測因子に

パーキンソン病(PD)患者の多くは長期経過により認知症に移行し、これが予後を規定することが明らかにされている。予後改善には、パーキンソン病認知症(PDD)を早期に捉えて治療介入することが必要と考えられる。東北大学病院高次脳機能障害科講師(現・国立病院機構仙台西多賀病院脳神経内科医長)の馬場徹氏らは、PDDの予防・早期発見に向けた臨床研究に取り組んでおり、「これまでの知見から画像所見、嗅覚障害が...続きを読む

片頭痛改善に期待される治療法とは

片頭痛改善に期待される治療法とは<

 片頭痛と心疾患は相互に発症リスクを高めている可能性があり、特に卵円孔開存(PFO)との関連が注目されている。富永病院(大阪市)副院長で脳神経内科・頭痛センターの竹島多賀夫氏は、第59回日本神経学会(5月23~26日)のシンポジウム「片頭痛の謎を解き明かす」で、片頭痛の治療としての経皮的PFO閉鎖術について「現時点では推奨できるものではないというのが一致した意見である。しかし、デバイスの改善や症例選択を工夫することで、将来的に有望な治療法となる可能性もある」との見解を示した。...続きを読む

レビー小体認知症は精神症状見逃すな

レビー小体認知症は精神症状見逃すな

 レビー小体病(LBD)は、レビー小体を病理学的特徴とするパーキンソン病(PD)やパーキンソン病認知症(PDD)、レビー小体型認知症(DLB)を包括する疾患概念であるが、DLBとPD/PDDに本質的な違いがあるかどうかは不明である。名古屋大学大学院精神医療学の藤城弘樹氏〔現・かわさき記念病院(神奈川県)診療部長〕はDLBとPDの病理学的背景の違いについて考察...続きを読む

「新てんかんGL」薬剤は患者ごとに選択を

 近年、日本で処方される抗てんかん薬の種類は増加している。患者の背景に合わせた選択が可能になった半面、薬剤選択が悩ましくなった面も否定できない。国際医療福祉大学神経内科教授の赤松直樹氏は、今年(2018年)3月に改訂された日本神経学会の『てんかん診療ガイドライン』(GL)の薬物療法について、第59回日本神経学会(5月23〜26日)で解説...続きを読む

自己免疫性消化管運動障害の臨床像を分析

自己免疫性消化管運動障害の臨床像を分析

 熊本大学大学院生命科学研究部神経内科学の向野晃弘氏らは、わが国における自己免疫性消化管運動障害(autoimmune gastrointestinal dysmotility;AGID)の臨床的特徴と治療反応性の検討を目的に、後ろ向きおよび前向きコホート研究を実施。同氏は「わが国にもAGIDは存在しており、免疫療法が有効である可能性が示唆された」と第59回日本神経学会(5月23~26日)で報告した...続きを読む

抗NMDA受容体脳炎の疑い診断基準を検証

自己免疫性消化管運動障害の臨床像を分析

 抗N-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NMDAR)脳炎の診断をめぐっては、2016年にPossible(可能性あり)、Probable(疑い)、Definite(確定)の3段階から成る診断基準が提唱された(Lancet Neurol 2016; 15: 391-404)。北里大学神経内科の金子厚氏らは、このうちProbable診断基準の妥当性を検証した結果を第59回日本神経学会(5月23~26日)で報告し...続きを読む

ギラン・バレー、日本から国際標準治療を

走行可能まで回復した患者の割合

 自己免疫による末梢神経疾患であるギラン・バレー症候群(GBS)は、経静脈的免疫グロブリン療法(IVIg)が標準的治療となっているが、この治療を行っても死亡率は5%、1年後の独歩不能は20%と、その有効性は十分でなく、より効果の高い革新的治療法が求められている。そこで日本では、2015〜16年にGBSに対するエクリズマブの有効性と安全性を検討する治験 Japanese Eculizumab Trial for GBS(JET-GBS)が実施され...続きを読む

SBMAへのリュープロレリン治療を検討

 四肢、顔面などの筋力低下と筋萎縮が現れる球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は、アンドロゲン受容体(AR)遺伝子CAG繰り返し配列の異常伸長が原因であり、変異AR蛋白質がテストステロンと結合し核内に集積することが本質的病態と考えられる。LH-RHアゴニストのリュープロレリンは、テストステロンの分泌を抑制することで変異AR蛋白質の集積を抑える薬剤として研究が進められ、2017年にSBMAの進行抑制としての適応が追加承認された...続きを読む

脊髄小脳変性症の登録システムJ-CATは有用

 脊髄小脳変性症(SCD)は、分子レベルの背景に応じて臨床症状が異なる多様な障害から成る疾患群である。治療法の開発においては病型別の自然歴を明らかにする必要があるが、わが国でSCDの自然歴を検討した前向き研究は極めて少ない。このような状況を受けて、SCDを中心とする運動失調症の登録システムJ-CAT(Japan Consortium of Ataxias)が設立された...続きを読む

第15回日本うつ病学会

第15回日本うつ病学会(2018年7月27~28日/京王プラザホテル)のレポートをご覧いただけます

リチウムは本当に自殺予防に有効か

 水道水中のリチウムによる自殺予防効果については、これまでにも地域住民を対象とした観察研究で報告されている。しかし、リチウムは食物にも含まれていることなどから、血中リチウム濃度の測定による検証が不可欠である。そこで、大分大学精神神経医学講座/東京都立松沢病院精神科の兼久雅之氏らは、同大学病院高度救命救急センターに搬送された患者の血中リチウム濃度を測定し、自殺企図との関連について検証を行い、結果を第15回日本うつ病学会(7月27~28日)で報告した。

時間生物学的治療はうつ病に有効か

 うつ病に対する「時間生物学的治療」とは、断眠療法や光療法、暗闇療法などにより、患者の生体リズムを正常化し、うつ症状の改善を試みる治療法である。杏林大学精神神経科学教室講師の高江洲義和氏は第15回日本うつ病学会(7月27~28日)において、時間生物学的治療に関するこれまでの研究データを示しつつ、日本の実臨床にそのまま導入することの難しさを指摘した。

男性更年期、うつ病との関係は?

 更年期障害といえば女性特有の疾患と思われがちだが、近年、男性ホルモンであるテストステロンの減少に起因する「男性更年期障害」に注目が集まっている。テストステロンが減少すると、筋力の低下、疲労感、ほてり、発汗、性機能の低下といった身体症状に加え、不安、不眠、集中力の低下などの精神症状も現れることから、精神科医にとってうつ病との鑑別が悩みの種だ。順天堂大学大学院泌尿器外科学教授の堀江重郎氏は第15回日本うつ病学会(7月27〜28日)において、男性更年期障害とうつ病の関係や、うつ病に対するテストステロン補充療法(TRT)の有効性などについて説明した。

若年双極性障害の薬物療法

 わが国では児童・思春期(若年者)における双極性障害の薬物療法に関するエビデンスは極めて乏しく、海外のエビデンスを参考に治療を行う必要がある。しかし、海外のエビデンスにおいても各薬剤の有効性や安全性などで不明なことがまだ多い。近畿大学精神神経科准教授の辻井農亜氏は、若年者の双極性障害の特徴と薬物療法の現状について第15回日本うつ病学会(7月27〜28日)で報告。「効果判定と副作用モニタリングを慎重に行う必要がある。しかし、その前提として正確に双極性障害の診断を行うことが重要」と述べた。

妊婦の双極性障害、薬物中断で再発率高い

 女性では双極性障害の発症が妊娠可能年齢と重なることが多く、また双極性障害患者の妊孕率は比較的高いことから、双極性障害の妊婦・授乳婦を診察する機会は多い。東京医科歯科大学大学院心療・緩和医療学前教授の松島英介氏は、妊娠・授乳期の双極性障害における薬物療法の現状について第15回日本うつ病学会(7月27〜28日)で解説した。治療中断による再発率が高いため、薬剤の特徴を把握した上で治療を継続すべきだという。

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