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RSV母子免疫ワクチンの承認を推奨

米・FDA諮問員会

2023年05月19日 16:23

281名の医師が参考になったと回答 

 米・ファイザーは昨日(5月18日)、同社が開発したRSウイルス(RSV)感染に起因する下気道疾患の予防を目的とした組み換え2価融合前F蛋白質抗原含有RSV(RSVpreF)ワクチンについて、米食品医薬品局(FDA)のワクチンおよび関連生物製剤に関する諮問委員会(VRBPAC)から肯定的な見解を得たと発表した。妊娠24~36週の妊婦に同ワクチンを1回注射することで、児の出生時からRSによる下気道疾患の予防効果が認められている。承認されれば、RSVに対する母子免疫ワクチンとして初となる。同社は今年8月の承認取得を予想している。なお、日本では今年2月20日に厚生労働省に承認申請済み(関連記事「新生児・乳児向けRSウイルスワクチン、母子免疫で承認申請」)。

有効性に関し、全委員が賛成票投じる

 VRBPACで行われた委員による投票結果は、RSVpreFワクチンの有効性に関しては賛成14人、反対0で、安全性に関しては10人対4人と、いずれも賛成が反対を上回り推奨が決定された。FDAはこれを踏まえて承認を最終判断する。

 同ワクチンの有効性と安全性は、国際第Ⅲ相二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験MATISSEで検討された。試験では18カ国でワクチン接種予定日に49歳以下かつ妊娠24~36週の合併症を有さない妊婦7,358例を登録。RSVpreFワクチンまたはプラセボを1回筋注する群に割り付け、全ての妊婦と出生児を解析に組み入れた。中間解析の結果、児の生後90日時におけるRSVに関連する重症の下気道疾患に対し、81.8%の高い有効率が示され、生後6カ月時の有効率は69.4%だった(N Engl J Med2023; 388: 1451-1464、関連記事「RSウイルスの母子免疫ワクチン、有効率は82%」)。

 また、妊婦における有害事象の発現率は、ワクチン接種後1カ月以内(ワクチン群13.8% vs. プラセボ群13.1%)、出産後1カ月以内(同37.1% vs. 34.5%)のいずれも両群で同等だった。局所反応の発現率はプラセボ群に比べてワクチン群で高く、最も発現率が高かったのは注射部位疼痛だった(プラセボ群10% vs. ワクチン群41%)。

ファイザーは母子免疫と高齢者用ワクチンを同時開発する唯一の企業

 現時点で、乳幼児のRS感染に関連する下気道疾患予防ワクチンは存在しない。唯一の予防薬は、RS感染症の流行期に月1回を5回投与する予防薬パリビズマブ(商品名シナジス、注射薬)のみで、最もリスクの高い乳児への使用が推奨されており、大半の乳児は予防治療を受けられない現状がある。

 ファイザーは、RSVに対する母子免疫ワクチンの開発と並行して60歳以上の高齢者に対するRSVpreF抗原含有RSVワクチンの開発を進めている唯一の企業でもある。後者については、FDAから画期的治療薬の指定を受けており、第Ⅲ相試験の中間解析結果では66.7~85.7%の有効性が示されている(関連記事「RSウイルス2価ワクチン、高齢者に有効」)。

 国内外におけるRSVワクチン開発をめぐる競争は激化しており、今年5月3日にはFDAが世界初のRSウイルス(RSV)ワクチンを承認した(関連記事「世界初のRSVワクチン承認、開発競争が激化」)。グラクソ・スミスクライン(GSK)の膜融合前型の遺伝子組み換えRSV F糖蛋白質(RSVPreF3)抗原と独自のAS01Eアジュバントを組み合わせて作製されたアジュバント添加RSVワクチン(商品名Arexvy)で、60歳以上の高齢者が接種対象としている(関連記事「RSVワクチン、第Ⅲ相で80%超の有効性」)。

(小沼紀子)

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