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RSVワクチン、第Ⅲ相で80%超の有効性

承認されれば世界初

2023年02月21日 16:33

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イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 日本では例年秋季〜冬季に流行し、主に感冒様症状が認められるRSウイルス(RSV)感染症。ほとんどの小児が2歳までに感染するが、高齢者が感染すると下気道疾患を引き起こす恐れがあり、併存疾患の増悪や入院および死亡の原因ともなりうる。イタリア・St. Anna University HospitalのAlberto Papi氏らは60歳以上の成人を対象として、AS01Eアジュバントと膜融合前型遺伝子組み替えRSV F糖蛋白質(RSVPreF3)を組み合わせたワクチン候補RSVPreF3 OAのRSV関連下気道疾患(RSV-LRTD)に対する有効性と安全性を国際第Ⅲ相試験AReSVi-006で検討。82.6%と高い有効率が認められたとN Engl J Med2023; 388: 595-608)に報告した。なお同ワクチンは昨年(2022年)、日本、米国、欧州連合(EU)をはじめとする複数の国・地域で承認申請が行われており、承認されれば世界初のRSV感染症予防ワクチンとなる。

17カ国・約2万5,000例で検討

 2019年には、60歳以上におけるRSVを原因とした急性呼吸器感染症への罹患は先進国で520万例に上り、入院が47万例、院内死亡が3万3,000例だった。高齢者がRSVに感染する機序としては、免疫機能の低下によりRSVに特異的なT細胞の応答が減弱し、重症化への感受性に影響を及ぼすためと考えられている。

 これまでに承認されたRSV感染症予防ワクチンはない。Papi氏らは今回、アフリカ、アジア、オーストラリア、EU、北米の17カ国でRSV感染症の流行シーズン前に登録した60歳以上の成人2万4,966例を対象として、RSVPreF3 OAのRSV-LRTDに対する有効性と安全性を検証するAReSVi-006を実施した。

 対象をRSVPreF3 OA単回接種群(1万2,467例)とプラセボ群(1万2,499例)に1:1でランダムに割り付け、RSV感染症の流行1シーズン中に逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査で確認されたRSV-LRTDに対するRSVPreF3 OA単回接種の有効性(主要評価項目)および安全性などを検討。重症RSV-LRTDおよびRSV関連急性呼吸器感染症への有効性も検討し、RSVのサブタイプ(A、B型)ごとに評価した。下気道疾患は少なくとも24時間持続する2つの下気道症状/徴候または3つの下気道症状、急性呼吸器感染症は少なくとも24時間持続する2つの呼吸器症状/徴候または1つの呼吸器症状と1つの全身症状/徴候と定義した。

サブタイプ、併存疾患の有無にかかわらず有効

 中央値で6.7カ月の追跡期間中にRSV-LRTDを発症したのは、RSVPreF3 OA単回接種群が7例、プラセボ群が40例で、RSV-LRTDに対するRSVPreF3 OA単回接種の有効率は82.6%(96.95%CI 57.9〜94.1%)だった。また、重症RSV-LRTDに対する有効率は94.1%(95%CI 62.4〜99.9%)、RSV関連急性呼吸器感染症に対する有効率は71.7%(95%CI 56.2〜82.3%)だった。

 サブタイプ解析において、RSV A、B型に対する有効率は一貫して認められた(RSV-LRTD:それぞれ84.6%、80.9%、RSV関連急性呼吸器感染症:71.9%、70.6%)。年齢別に見ると、RSV-LRTDに対する有効率は60〜69歳および70〜79歳で80%以上。ベースラインで併存疾患を有する人では、RSV-LRTDに対する有効率は94.6%だった。

 有効性評価において、RSVのサブタイプやベースライン時の併存疾患にかかわらず、60歳以上へのRSVPreF3 OAワクチン単回接種はRSV-LRTD、重症RSV-LRTD 、RSV関連急性呼吸器感染症に対して有効であることが示された。

 安全性については、RSVPreF3 OAの反応原性はプラセボよりも大きかったのの、副反応は大部分が一過性で、軽度~中等度だった。重篤な副反応や潜在的な免疫介在性疾患の発現率は両群とも同程度だった(RSVPreF3 OA単回接種群7例、プラセボ群5例)。

 Papi氏らは「60歳以上の成人に対するRSV感染症流行期間中のRSVPreF3 OA単回接種は、RSVのサブタイプやベースラインにおける併存疾患の有無にかかわらず、RSV-LRTDやRSV 関連急性呼吸器感染症、重症RSV-LRTDに高い有効率を示し、安全性の懸念も認められなかった」と結論している。

(山田充康)

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