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RSウイルス2価ワクチン、高齢者に有効

融合前F蛋白ワクチン第Ⅲ相試験の中間解析結果

2023年04月13日 05:00

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 米・University of Rochester Medical CenterのEdward E. Walsh氏らは、呼吸器多核体ウイルス(RSV) 融合前 F 蛋白(RSVpreF)をベースとする新しいワクチンの、高齢者に対する有効性と安全性を検討するプラセボ対照第Ⅲ相ランダム化比較試験の中間解析結果をN Engl J Med(2023年4月5日オンライン版)に報告。RSVpreFワクチンは60歳超の成人においてRSV関連急性呼吸器疾患を予防し、安全性上の懸念も見られなかった。

承認されたRSVワクチンはいまだ存在せず

 RSV感染は世界中で広く見られる下気道疾患の原因の1つであり、乳児や幼児、高齢者が罹患すると重症化するリスクがある。特にフレイルや併存疾患を有することが多い高齢者では、重症化リスがはさらに高まる。

 インフルエンザなどと異なり多くの国では、RSV感染症の報告が義務付けられていないことから、成人のRSV感染症は過小評価されている可能性が高い。さらに、高齢者では若年成人よりもウイルス排出の程度が強く、排出期間も長いことからRSV感染症の疾病負荷が大きく、アンメットメディカルニーズとして高齢者に有効なワクチンが求められてきた。

 RSVワクチンの開発は既に50年以上の歴史を有するが、防御能を評価する正確な指標(protection correlate)の欠如や免疫原性の低さから、いまだ承認されたものはない。

 そのような中、RSVの融合(F)糖蛋白に焦点を絞った蛋白サブユニットワクチンの開発が進み、準安定型融合前(preF)蛋白をウイルス中和抗体の主要標的とするワクチンの承認が期待されている。

60歳以上3万4,000例にワクチンまたはプラセボを筋注投与

 Walsh氏らが今回報告したのは、ピボタルな第Ⅲ相試験RSV Vaccine Efficacy Study in Older Adults Immunized against RSV Disease(RENOIR)の中間解析結果。

 試験はアルゼンチン、カナダ、フィンランド、日本、オランダ、南アフリカ、米国の240施設で実施。投与は筋注1回(実施期間:2021年8月31日~22年7月14日)で、実薬には120μg(RSVサブグループAとB、60μgずつ)のRSVpreFワクチンが含まれていた。

 中間解析のデータカットオフ日である2022年7月14日時点で、健康あるいは安定した慢性疾患を有する60歳以上の3万4,284例を、RSVpreFワクチン群(1万7,215例)とプラセボ群(1万7,069例)にランダムに割り付けた。

 主要評価項目は、①下気道疾患徴候/症状(咳嗽、喀痰分泌、喘鳴、息切れ、頻呼吸)のうち2つ以上を呈する季節性RSV関連下気道疾患の発症、②3つ以上を呈する季節性RSV関連下気道疾患の発症―の2項目。副次評価項目はRSV関連急性呼吸器疾患の発症とした。

下気道疾患発症66~85%、急性呼吸器疾患発症62%抑制

 解析の結果、下気道疾患徴候/症状を2つ以上を呈する下気道疾患に罹患したのはワクチン群で11例(1,000人・年当たり1.19例)、プラセボ群33例(同3.58例)、ワクチンの有効性は66.7%(96.66%CI 28.8~85.8%)だった。

 3つ以上の下気道疾患徴候/症状を呈する下気道疾患は、ワクチン群の2例(1,000人・年当たり0.22例)、プラセボ群の14例(同1.52例)に発症した。有効性は85.7%(96.66%CI 32.0~98.7)だった。

 RSV関連急性呼吸器疾患の発症はワクチン群で22例(1,000人・年当たり2.38例)、プラセボ群は58例(同6.30例)で、有効性は62.1%(95%CI 37.1~77.9)であった。

 局所反応発生率はワクチン群12%、プラセボ群7%。全身性副反応の発生率はそれぞれ27%、26%と同等だった。接種後1カ月までの有害事象発生率はワクチン群9.0%、プラセボ群8.5%と同程度で、これらのうち担当医によりワクチン接種との関連が否定できないと判断されたのは1.4%、1.0%だった。

 重症または致死的な有害事象の報告はワクチン群で0.5%、プラセボ群で0.4%あり、重篤な有害事象は両群とも2.3%報告された。

免疫不全患者を対象とする試験も必要

 以上の結果を踏まえWalsh氏らは「RSVpreFワクチンにより、60歳以上におけるRSV関連下気道疾患と急性呼吸器疾患を予防できることが確認できた。安全性プロファイルも成人を対象とした第I相、第Ⅱ相試験と一致するものであり、許容可能なものであった」と結論。

 ただし、今回の試験では免疫不全の人は除外しているので「脆弱性の高い(vulnerable)集団を対象とする試験も今後は必要であろう」と付言している。

 *仮説検定における中間解析手法であるPocock法で、中間解析における第一種の過誤確率3.34%を調整し、二項分布に基づく条件付正確検定で計算した結果得られた信頼区間。副次評価項目については95%CIを使用

木本 治

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