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2026年4月吉日
アートギャラリーのようでギャラリーではない ― A gallery, but not a gallery." 既にお知らせしております2026年5月のBIOME(バイオーム)Kanjiru(Art)展覧会について、追加情報とあわせてご案内いたします。
画像 : https://newscast.jp/attachments/TNmeX2nHw6g6TXF93CsU.png
御影への移転後、初の個展となります。 誠に勝手ながら、当ギャラリーへのご芳志(祝花・贈答品など)は謹んでご辞退申しあげます。また、付随イベントも含む開催期間中、飲食を伴うパーティーの開催は予定しておりませんので、予めご了承いただきたくお願い申しあげます。
画家でありイラストレーターでもある木内達朗氏への個展の打診は、実は2019年から始まっていました。 木内氏は、The New Yorker、The New York Times、Royal Mail、United Airlinesなどをはじめ、書籍装画や広告など国内外で数多くのクライアントワークを手がけてきた作家です。日本国内では、池井戸潤『半沢直樹』『下町ロケット』シリーズ、重松清『きよしこ』の装画などでも広く知られています。
デジタルイラストレーションを基盤としながら、油彩などのアナログ作品でも確かな画力を示してきました。出版や広告を通して作品は広く目にされながらも、作家自身の名が前面に出る機会は多くなく、静かにキャリアを重ねてきた存在でもあります。
作品については、その都度の展覧会や作品集で語られてきましたが、木内氏の活動の特徴は、作品制作だけにとどまりません。歴史、画材、制作技術、流通、出版といった創作を取り巻くさまざまな領域について、自ら情報を整理し、複数のメディアを通して公開してきました。その内容はきわめて体系的で、数冊の書籍として成立しても不思議ではなく、教育の現場でもそのまま活用できるほどの精度を備えています。 BIOMEは、個々の作品だけではなく、こうした長い創作の歩みと、その背後にある知見の厚みを、実際の作品とともに体感していただける機会として、神戸での個展開催を強くお願いしてきました。そしてこのたび、御影への移転後最初の展覧会として木内達朗氏を迎えることができたことは、BIOMEにとって大きな出来事となります。
原画を直接ご覧いただける機会として、本展を開催いたします。
これまで35年ほど、イラストレーターとして求められる条件の中でいかに良いものを作るかを考え、主にデジタルで絵を描き続けてきました。今回の個展は、そうした制約を一度すべて手放し、ひとりの描き手としてキャンバスとアクリル絵の具に向き合った、僕にとって新しい試みです。 タイトルの「Neighborhood Park」は、愛犬との散歩で毎日足を運ぶ身近な公園から着想を得ています。イラストの仕事では風景をそれらしく描く技術を長年磨いてきましたが、今回のキャンバスでは、現実のディテールを説明するのではなく、具象と抽象のバランスを探りました。 画面には、いくつかのモチーフが繰り返し登場します。自然の象徴である「木々」、人間の手による造形やスピードの象徴である「車やバイク」、そして何かと何かをつなぐ境界としての「橋」。こうした確かな質量を持つモチーフの傍らで、背景は舞台の書き割りのように抽象化されています。さらに空間を漂う白黒の「リボン」は、渦巻く感情や吹き抜ける風といった、本来目に見えない不確かなものを可視化したノイズです。マスキングによるソリッドなエッジや絵の具の手応えを通して、これらがひとつの画面で拮抗する面白さを追求しました。 「公園」という言葉は、穏やかで平和な響きを持っています。しかし、ここに広がるのは単なるほのぼのとした風景画ではありません。抽象化された景色の中に、ふと遠くの赤い炎のような気配を置くことがあります。それは、私たちが享受している平和な日常のすぐ隣に確かに存在している戦火や、この時代が抱える不穏な空気の断片です。 僕はコンセプチュアルな知的ゲームとしてのアートを作りたいわけではありません。ただ、今この時代に生き、絵の具を塗る者として、少しの綻びもない、美しいだけの平穏を描くことはできませんでした。その意味において、ここに描かれた景色は、僕にとっての近所の公園であると同時に、作品の前に立つ皆さん一人ひとりにとっての「近所の公園」であってもよいと考えています。 日常と非日常、静寂と不穏、そして可視と不可視が同居するこの公園の気配を、新しくオープンするBIOMEの空間でご高覧いただければ幸いです。 (2026年3月 木内 達朗)
画像 : https://newscast.jp/attachments/QJEakkLPhLZ7SeRFzZiu.jpeg木内達朗 Tatsuro Kiuchi
画家/イラストレーター
東京生まれ 国際基督教大学教養学部(生物学専攻)卒業後、渡米。 ArtCenter College of Design(Pasadena)Illustration卒。
The New Yorker、The New York Times、United Airlines、Royal Mail など国際的媒体に作品を提供。書籍装画、雑誌挿絵、広告、アニメーションなど多様な分野で活動しながら、デジタルとアナログの双方を横断する表現を展開している。 東京イラストレーターズ・ソサエティ会員/イラストレーション青山塾講師
以 上
BIOME Kobe 栗山 典 兵庫県神戸市東灘区御影2丁目6番11号 BIOME御影 Alcove 1階(〒658-0047) artroom@biomekobe.com