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第29回 日本消化器関連学会週間(JDDW 2021)

学会長に聞く

肝疾患の最新トピックに「クロスボーダー」で挑戦

飯島 尋子 氏
第25回日本肝臓学会大会 会長
兵庫医科大学 消化器内科 教授

 肝臓学の領域は、内科、外科、放射線科、小児科、病理などのさまざまな専門家が集い、多様性に富むのが特徴です。一方、全医師の約3割を占める女性医師のキャリア形成支援の重要性が高まる中で、肝疾患に残された課題解決には、各専門領域に加え性別や国境を越えて挑戦する姿勢が求められています。そうした思いを込め、本会のテーマを「明日の肝臓学へ ~クロスボーダーの挑戦~」としました。

 特別講演では、ウイルス学の権威である国立感染症研究所所長の脇田隆字先生に、新型コロナウイルス感染症対策の現状やワクチン研究の国際的な進歩についてご講演いただきます。また、各分野における日本発の研究成果を世界に発信していただき、若手医師のモチベーション向上に寄与することを期待しています。

 プログラムの企画に際して特に意識したのは、広い意味でのクロスボーダーと、①肝臓の線維化②脂肪肝と代謝異常を合わせた新概念MAFLD−の最新知見を学べる場の提供です。C型肝炎はほぼ治癒する時代になりましたが、肝線維化が進行するとウイルス陰性化(SVR)達成後も一定の割合で発がんする可能性が指摘されています。そこでワークショップでは、肝がんの早期発見に向けたサーベイランス法について最先端の研究を取り上げます。

 世界的に注目されているMAFLDについては、発症機序、病態、診断法などいまだ不明点が多く、解明が急務です。MAFLDとの関連が指摘されている非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の病態形成に重要な役割を果たす腸内細菌叢など、関心の高い分野の情報を提供する機会を設けました。

 基礎から臨床研究まで、活発な議論が展開されることを期待しています。

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