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第29回 日本消化器関連学会週間(JDDW 2021)

十二指腸腫瘍の診断と治療 ―外科と内科の接点―

2021年11月04日 06:45

8名の医師が参考になったと回答 

統合プログラム1(パネルディスカッション)

本日 9:00〜12:00 第6会場

司会 矢作 直久氏 慶應義塾大・腫瘍センター
比企 直樹氏 北里大・上部消化管外科
糸井 隆夫氏 東京医大・消化器内科
演者 上間 遼太郎氏 大阪大大学院・消化器内科学
原 裕子氏 東京慈恵会医大第三病院・内視鏡部、東京慈恵会医大・内視鏡医学
加藤 元彦氏 慶應義塾大・消化器内科、慶應義塾大・腫瘍センター低侵襲療法研究開発部門
光永 豊氏 虎の門病院・消化器内科、十二指腸腫瘍の診断と低侵襲治療に関する研究会
大森 正泰氏 大阪国際がんセンター・消化管内科、岡山大病院・消化器内科
沖元 謙一郎氏 千葉大・消化器内科
村元 喬氏  NTT東日本関東病院・消化管内科
廣瀬 崇氏 名古屋大大学院・消化器内科学
山本 健治郎氏 東京医大・消化器内科
布部 創也氏 がん研有明病院・消化器外科
鷹尾 俊達氏 神戸大附属病院・消化器内科
大木 亜津子氏 杏林大・消化器・一般外科

 近年、H. pylori 陰性者の増加や食生活の欧米化などの影響によるためか、十二指腸腫瘍が発見される機会が増えつつある。明確な診断基準や治療指針は確立されていないものの、狭帯域光観察(NBI)併用拡大内視鏡観察や色素内視鏡検査の知見が蓄積され、通常の内視鏡的粘膜切除術(EMR)に加えcold forceps polypectomy(CFP)、cold snare polypectomy(CSP)などのコールドポリペクトミーやunder­water EMR(UEMR)、内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)といった新たな治療法が登場してきた(写真)。司会の矢作直久氏は「本セッションを通じて消化器領域における外科と内科のさらなる連携を目指し、その方向性を探りたい」と意気込む。

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十二指腸腫瘍の自然経過や診断アルゴリズム構築も

 本セッションは12演題で構成され、消化器外科および内科領域から最新の知見が報告される。消化器外科領域では腹腔内視鏡合同手術(D-LECS)の安全性の高さを検討した多施設共同研究(布部創也氏)、内科領域では表在性十二指腸上皮性腫瘍(SDET)に対する内視鏡治療について3,107例を治療法別に検討した国内初の大規模研究(光永豊氏)が特に注目される。また、20mm以下の表在性非乳頭部十二指腸腫瘍(SNADET)に対するUEMRの有用性の検討(沖元謙一郎氏)も必聴といえる。

 診断や治療を行う上で、十二指腸腫瘍の自然経過を観察し、診断アルゴリズムを構築することは不可欠だ。そこで、本セッションではSNADETの自然史に迫る多施設共同研究(上間遼太郎氏)や、SNADETに対し生検を用いずに鑑別する診断システムの構築(原裕子氏)が報告される。SNADETについては、10mm以下の病変に対するCSPの有効性と安全性の検討(大森正泰氏)に加え、D-LECSによる自施設データとそこから浮き彫りになった課題も論考される(鷹尾俊達氏)。

 各施設における治療成績の報告は、各治療法の有効性や安全性の理解だけでなく、治療戦略を立てる上でも重要である。SDETについては、おおむね20mmをカットオフ値として治療法の適応を判断する目的で行われた1,000例超の自施設データの解析(加藤元彦氏)や、10mm以上またはlifting不良で10mm以下の病変を対象にESD後の合併症予防としてover the scope clip(OTSC)を用いた自施設での検討(村元喬氏)、ESDおよび内視鏡的乳頭切除術(EP)の治療成績(廣瀬崇氏)が紹介される。さらに、十二指腸乳頭部腫瘍に対するEPの治療成績(山本健治郎氏)や、十二指腸腫瘍に対する腹腔鏡補助下縮小術の治療成績(大木亜津子氏)も報告される予定だ。

 矢作氏は「内視鏡治療に伴う出血や穿孔などのリスクはゼロにはできないため、消化器領域の外科と内科はさらなる連携を図り、外科によるバックアップ体制を整えた上で内視鏡治療を行っていただきたい。本セッションがその一助となるよう願っている」とメッセージを送っている。

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