2025年2月13〜15日に行われた米国臨床腫瘍学会泌尿器がんシンポジウム(ASCO-GU 2025)より、注目演題の要点を速報形式でレポートします。 新機序薬が既治療の進行ccRCCに有望 抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、VEGFチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の治療歴がある進行ccRCCを対象に併用療法を評価する非盲検第Ⅰ/Ⅱ相試験KEYMAKER-U03 Substudy 03B試験が行われ、ペムブロリズマブ+HIF-2α阻害薬belzutifan併用療法、レンバチニブ+belzutifan併用療法、ペムブロリズマブ+レンバチニブ併用療法を比較した結果が報告された。・・・ PSMA標的療法+抗アンドロゲン薬、OSへのメリット大 転移性去勢抵抗性前立腺がん患者に対する前立腺特異的膜抗原を標的とした放射性リガンド療法(177Lu-PSMA-617)の有効性と安全性を検討したVISION試験では、プロトコルで認められた標準治療単独と比べ、177Lu-PSMA-617+SoC併用でrPFSおよびOSが有意に改善することが示された。今回、177Lu-PSMA-617+SoC群におけるARPI追加の影響を検討するため、ARPI投与例と非ARPI投与例を比較したVISION試験の二次解析の結果が報告された。・・・ HER2陽性膀胱がんへの周術期disitamab vedotin+抗PD-1抗体、長期成績も良好 根治的膀胱全摘除術および骨盤リンパ節郭清術(RC+PLND)の適応となるHER2陽性筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)患者を対象に、新規抗体薬物複合体disitamab vedotin+抗PD-1抗体toripalimabによる周術期併用療法の有効性と安全性を検証する第Ⅱ相単群試験RC48-C017について、RC+PLNDを施行した33例のpCR率などが報告された。・・・ 筋層浸潤性膀胱がん、周術期のデュルバルマブ上乗せで転移/死亡リスク低減 根治的膀胱全摘除術を予定しているシスプラチン感受性で切除可能な筋層浸潤性膀胱がん患者を対象に、標準治療へのデュルバルマブによる周術期免疫療法の上乗せ効果を検証した第Ⅲ相試験NIAGARAでは、EFSおよびOSの大幅な改善が示されている。今回は副次評価項目であるMFS、DSS、および探索的事後解析としてpCR達成の有無別のEFSおよびOSについて検討した。・・・ ω-3の積極的摂取で、前立腺がんの進行が抑制 前立腺がんの積極的監視療法下にある男性において、1年間にわたる魚油カプセルを含む高ω-3脂肪酸食、低ω-6脂肪酸食 (D+FO) の摂取が、前立腺生検により算出したKi-67値を低下させるかを検証するため、単施設第Ⅱ相非盲検ランダム化比較試験CAPFISH-3が実施された。・・・ タラゾパリブ+エンザルタミドで転移性去勢抵抗性前立腺がんのOS延長 第Ⅲ相試験TALAPRO-2では、HRR遺伝子変異の有無を問わず、mCRPC患者における一次治療としてプラセボ+エンザルタミド群に比べタラゾパリブ+エンザルタミド群でrPFSが改善した。今回、OS、rPFSの長期追跡結果、HRR遺伝子変異の有無を問わない集団における安全性などの最終結果が報告された。・・・ 筋層浸潤性膀胱がんの術後療法としてのニボルマブ、長期成績も良好 根治切除後の高リスク筋層浸潤性尿路上皮がん患者を対象に、術後補助療法としてのニボルマブの有効性と安全性を検討したCheckMate-274試験では、プラセボ群と比べてニボルマブ群で有意かつ臨床的に意味のあるDFSの延長が示されている。今回、筋層浸潤性膀胱がん患者を対象に、同試験の追跡期間中央値3年時点におけるDFS、OSについて、全体および術前補助化学療法施行の有無別に行った追加解析の結果が報告された。・・・ 未治療進行尿路上皮がんへのパドセブに新規エビデンス 未治療の局所進行・転移性尿路上皮がん(la/mUC)に対する一次治療において、エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ併用療法は、プラチナ製剤ベースの化学療法と比べ、PFSおよびOSを有意に改善することが示されている。今回、EV-302試験を追加で12カ月間追跡した結果が報告された。・・・ 2024年開催学会レポート一覧に戻る