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第29回 日本消化器関連学会週間(JDDW 2021)

肝癌治療 ―個別化医療と予後改善を目指して― (Advances in the treatment of the liver cancer: The state-of-the-art researches to provide the precision medicine and improve the prognosis)

2021年11月05日 06:45

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International Session(Symposium)3 提案:日本肝臓学会

本日 9:30〜12:00 第2会場

司会 工藤 正俊氏 近畿大・消化器内科学
波多野 悦朗氏 京都大大学院・肝胆膵・移植外科学
Discussant 土谷 薫氏 武蔵野赤十字病院・消化器科
小笠原 定久氏 千葉大大学院・消化器内科学
基調講演 工藤 正俊氏 近畿大・消化器内科学
演者 岩本 英希氏 久留米大・消化器内科・岩本内科医院
河岡 友和氏 広島大病院・消化器・代謝内科
Qin Xian-Yang氏 理化学研究所・肝がん予防研究ユニット
神崎 洋彰氏 千葉大大学院・消化器内科学
森下 朝洋氏 香川大・消化器・神経内科学
特別発言 國土 典宏氏 国立国際医療研究センター病院・外科

 相次ぐ新薬の登場により、肝がん治療は変革期を迎えている。中等度進行肝細胞がんに対しては、標準治療である肝動脈化学塞栓療法(TACE)に分子標的薬を組み合わせ、TACEとの相乗効果により根治を目指す治療法が台頭している。進行肝がんについても、一次治療において2009年から標準治療として使われてきたソラフェニブに対し、全生存期間で優越性を示した抗PD‒L1抗体アテゾリズマブと抗VEGF抗体ベバシズマブの併用療法が昨年導入されるなど、治療戦略にパラダイムシフトが起きている。

 そして、次のステージで期待されるのは個別化治療の実現である。遺伝子解析技術の飛躍的な向上により、事前に薬剤の効果や治療後の再発などが予測できるバイオマーカーの開発が加速しており、中でも簡便で低侵襲な血液マーカーは最も注目されている。

肝がん薬物療法の進歩と新規バイオマーカーを解説

 本セッションでは、肝がんにおける薬物治療の近年の進歩、薬剤選択の指標となる新たなバイオマーカーの探索に関するトピックスを取り上げる。

 最初に日本の肝がん研究の第一人者で、国内外のガイドライン作成や治療法の開発をリードしてきた司会の工藤正俊氏が基調講演を行う。テーマは切除不能な進行肝がんに対する一次治療、二次治療のエビデンスと治療戦略。続く冒頭の2演題では肝がんの新たな治療アプローチ、その後の3演題ではバイオマーカーの開発に関する研究成果が紹介される。最後に國土典宏氏が特別発言としてまとめを行う。

 がんの診断や治療効果の判定に有用とされるバイオマーカーだが、工藤氏によると「肝がんでは十分に確立されたものが存在しない」のが現状だ。だが、最適な治療を低侵襲で可能にする画像や血液を用いた新たなマーカーの開発が進行しているという。

 基調講演に続く演題では、岩本英希氏が局所進行肝がんに対する肝動注化学療法を駆使した予後改善に向けた取り組み、河岡友和氏が中等度進行肝細胞がんに対するTACEと分子標的薬を組み合わせた最新の治療法について報告する。

 さらに、Qin Xian-Yang氏が肝がん治療後の再発予測マーカーとしてのがん遺伝子MYCNの有用性、神崎洋彰氏が進行肝がんへの免疫チェックポイント阻害薬の効果予測マーカーとして期待されるPD-L1の発現およびCD8+T細胞腫瘍浸潤度について、森下朝洋氏がアテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法への治療抵抗性をリキッドバイオプシーで検出する手法の開発などについて発表する予定だ。

 工藤氏は「肝がんは死亡者数が減少傾向にある一方で、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)由来の肝がんが急増しており、いまなお重要な疾患である」と説明。治療戦略が大きく変化する中で、「医師も固定概念を捨て、中等度進行肝細胞がんでは完全根治を目指すというように認識を変える必要がある」と指摘する。その上で「肝がん治療はまさに転換期にある。最新の知見を共有し、ぜひ臨床に生かしてほしい」と呼びかけている。

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