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第29回 日本消化器関連学会週間(JDDW 2021)

アジアにおける多施設共同臨床研究の取り組み(Activities of multi-institutional clinical study in Asia)

2021年11月06日 06:40

International Session(Symposium)6 提案:日本消化器外科学会

本日 14:30〜16:40 第9会場

司会 北川 雄光氏 慶應義塾大・外科
寺島 雅典氏 静岡がんセンター・胃外科
Discussant Han-Kwang Yang氏 Department of Surgery, Seoul National University Hospital
演者 脇 幸太郎氏 大阪国際がんセンター・消化管内科
片野 敬仁氏 名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学
加藤 新氏 北海道大大学院・消化器内科学
滝沢 耕平氏 記念塔病院・消化器内科
加藤 健氏 国立がん研究センター中央病院・頭頸部・食道内科
金光 幸秀氏 国立がん研究センター中央病院・大腸外科
特別発言 笹子 三津留氏 淀川キリスト教病院・外科

 消化器外科領域において、背景や疾患に共通点が多い東アジア人集団を対象に共同臨床研究を行い、エビデンスを確立する意義は大きい。しかし、実施に際してはクリアしなければならない問題が多数存在する。「本セッションがそれらの問題点を整理し、消化器外科領域で国際共同臨床研究が発展する契機になれば」と、司会を務める寺島雅典氏は指摘する。

国際共同研究の課題を整理

 多国間での共同臨床研究を実現する上で、各国での標準治療の違いを明確にし、研究デザインに組み込む方法や、症例報告書の作成・収集、データセンターの設置と運用などハードルは少なくない。さらに、医師主導研究では資金の調達方法も重要な問題となる。

 消化器がん領域における多施設共同研究は、こうした多くの障壁にどのように対峙しているのか。本セッションでは、これまでにアジアで実施された、または進行中の多施設共同研究の現状や成果が紹介される。

 冒頭の脇幸太郎氏は、日本4施設と香港、韓国、シンガポール各1施設で進行中のランダム化比較試験(RCT)の概要を紹介。胃内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)においては出血予防目的でエピネフリン添加局注が習慣的に行われているものの有用性は不明で、アジア共通の臨床課題となっている。同試験はその回答を示すものと期待されている。

 2、3演題目では、国内多施設共同研究の結果が紹介される。片野敬仁氏は、癒着性小腸イレウスに対し東アジア諸国で標準的に行われているロングチューブと、欧米の標準治療である経鼻胃管留置後ガストログラフィン造影検査のRCT結果を提示。加藤新氏は、胆道狭窄患者の内視鏡的逆行性胆管造影後膵炎における内視鏡下胆道ドレナージの効果を検討したRCTについて発表する。

 続く3題は、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)からの報告が並ぶ。滝沢耕平氏は、Ⅰ期食道扁平上皮がんに対する内視鏡的切除+選択的化学放射線療法が手術に遜色ないことを示したJCOG0508など、日本の内視鏡治療指針に影響を及ぼした試験について概説。加藤健氏は、食道がんの集学的治療の臨床課題を明らかにし、共同研究を行うために台湾の研究者とウェブ会議を開始したことなど、食道がんグループの取り組みを紹介する。さらに金光幸秀氏からは、欧州がん研究機関との共同研究JCOG1609-INT(肝転移病変に対するMRI診断能に関する試験)の状況が示される予定だ。同研究に関して、寺島氏は「肝転移例に対する化学療法後、MRI上で消失した場合に切除すべきか否かは誰もが悩む重要な臨床課題であり、非常に有意義な研究である」と指摘する。

 特別発言は、日本の外科臨床研究を牽引してきた笹子三津留氏が行う。寺島氏は「笹子氏がJCOG胃がんグループ代表在任中に実施された日韓共同試験REGATTAの経験を踏まえ、国際共同研究の課題と解決策などについてお話しいただけるのでは」と期待する。「今後を担う若い外科医に多数参加してもらいたい。国際共同臨床研究の諸問題を整理し、発展させていってほしい」と寺島氏は呼びかけている。

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