メニューを開く 検索

トップ »  疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」 »  花が顔に見えたらレビー小体型認知症? 幻視検査を開発

疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」一覧

花が顔に見えたらレビー小体型認知症? 幻視検査を開発

 2012年06月04日 11:14

 認知症には大きく分けて脳血管性と変性性の2タイプがあり、後者で最も有名なのがアルツハイマー病。これと並んで多いのが、レビー小体型認知症だ。東北大学大学院医学系研究科の内山信氏(高次機能障害学)らは、レビー小体型認知症患者の症状の1つである幻視に似た「パレイドリア」を誘発する検査、パレイドリアテストの開発に成功した。風景などの写真を患者に見せて、そこに何が見えるのかを説明してもらう方法で、例えば花の写真を見せると、レビー小体型認知症の患者では「花です。顔もあり、動物もいます」という答えが返ってくるという。同氏らは、この検査によってアルツハイマー病との鑑別(見分け)が可能になるとしている。研究は、5月30日付の英医学誌「Brain」(電子版)に掲載された。

ネクタイが人間に...

 レビー小体型認知症は、認知障害とともにパーキンソン病患者で見られるような指の震えなどの運動障害が表れるのが特徴。アルツハイマー病よりも進行が早いが、初期段階では鑑別が難しいためアルツハイマー病やパーキンソン病と診断される患者も少なくないようだ。

 鑑別する際の手掛かりとなるのが、運動障害とともにレビー小体型認知症の主な症状として挙げられる幻視。しかし、幻視は短い診察時間内に出ることがまれなため、これまで見過ごされてきた。

 内山氏らが開発した検査法は、下図のような植物などの画像をレビー小体型認知症患者に見せて、そこに何が見えるのかを説明してもらうという簡単なもの。パレイドリア(壁の染みや雲の形が人の顔や動物の姿に見える現象)が出現すると、図中の花の白丸部分やネクタイの赤丸部分に本物の人の顔や動物を見いだすことがあるという。

dlb.jpg

 アルツハイマー病患者でもパレイドリアが出現することもあるが、花びらが人の顔に見えることはあっても、レビー小体型認知症患者のように動物を見いだすことはないという。

精度が極めて高い

 内山氏らは、34人ずつのレビー小体型認知症患者とアルツハイマー病患者にパレイドリアテストを実施した。

 その結果、レビー小体型認知症患者では全員にパレイドリアが誘発されたのに対し、アルツハイマー病患者では4人のみだった。パレイドリアテストの感受性(レビー小体型認知症と正しく判定される確率)は100%、特異度(レビー小体型認知症ではないと正しく判定される確率)は88%と極めて精度が高く、アルツハイマー病との鑑別診断に有用なことが分かった。神経心理検査や面接で「幻視なし」と判定されたレビー小体型認知症患者にも、この検査でパレイドリアが誘発されたという。

 内山氏らは、この状態を幻視が出現する一歩手前の状態、または幻視の発現に関わる病態が検出されたものと考察。レビー小体型認知症の早期診断・治療や、幻視の病態が解明できるのではないかとしている。

(編集部)

ワンクリックアンケート

次の東京都知事、誰に投票する?(全員が東京都民と仮定して)

トップ »  疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」 »  花が顔に見えたらレビー小体型認知症? 幻視検査を開発