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50歳以上で父親になると孫の自閉症リスク1.7倍

 2013年03月28日 12:00

 女性の高齢出産のリスクばかりが注目されているが、男性でも注意が必要なのはご存じだろうか。これまでも高齢男性が子作りをした場合、子供の自閉症や統合失調症などの病気になりやすくなることが指摘されていたが(関連記事)、子供だけでなく孫にまで影響する可能性が示された。スウェーデン・カロリンスカ研究所のChristina Hultman教授らによると、50歳以上で父親になった人では、20歳代前半で父親になった人に比べ、孫が自閉症になるリスクが1.7~1.8倍に上昇することが分かったという。詳細は、3月20日発行の米医学誌「JAMA Psychiatry」(電子版)に掲載されている。

1932年以降生まれの3万7,000人を解析

 父親の年齢が上がると子供の発達障害や精神疾患が多くなることが知られており、Hultman教授らによると、50歳以上で親になった男性では、30歳未満で親になった男性に比べて子供の自閉症リスクが2.2倍になることが分かっているという。

 一方、アイスランドで行われた研究では、両親になく、子供だけに存在する遺伝子の新生突然変異の数は、父親の年齢が1歳上がるごとに平均で2個ずつ増えたと報告されている。脳は他の臓器に比べて遺伝子突然変異の影響を受けやすいため、この変異が発達障害や精神疾患を引き起こしている可能性は高いようだ(関連記事)。遺伝子が変異してしまえば、当然ながらその後の世代にも受け継がれる可能性が出てくる。

 そこで、Hultman教授らは、1932年1月1日以降に出生したスウェーデンの一般人口データから得られた3万6,859人を対象に、親になった年齢と子供や孫の自閉症リスクとの関連について検討した。

子供では2.3倍

 その結果、子供の自閉症リスクは、親になった年齢が20~24歳の男性に比べ、40~44歳の男性で1.45倍、45~49歳の男性で1.83倍、50歳以上の男性で2.26倍と、年齢層が上がるにつれて上昇した。母親の出産年齢で見ると35~39歳で1.11倍、40歳以上で1.26倍となっており、男性ほどの強い関連は認められなかった。

 一方、孫の自閉症リスクは、親になった年齢が20~24歳の男性に比べ、40~44歳の男性で孫が男児の場合1.23倍、女児の場合1.32倍、45~49歳の男性でそれぞれ1.60倍、1.34倍、50歳以上の男性でそれぞれ1.67倍、1.79倍と、こちらも年齢層が上がるにつれて上昇した。

 今回の結果について、Frans氏らは「男性が高齢で親になった場合の自閉症リスクが、子供だけではなく、世代を越えて孫にまで影響することが示唆された。世界的に高齢で父親になる人は増えており、この関連による自閉症の発症者は今後も増加することが考えられる」とコメント。一方で、「この結果だけを見て、高齢だから父親になることを諦めるのではなく、子供の自閉症や精神疾患を理解する上で役立ててほしい」と述べている。

(編集部)

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