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着衣着火、5年で216件―東京都内―高齢者の調理は要注意

 2024年05月30日 10:00

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 身に着けている衣類に火が付く「着衣着火」。2022年の住宅における火災で、死傷者が発生した着衣着火の件数は東京都内(島しょ地域と稲城市を除く)で43件、けが41人、死亡2人だった。死傷者のうち65歳以上の高齢者は29人と多い。「着衣着火はけがにつながりやすいため、高齢者のいるお宅は特に、予防策を日常的に実践することが肝心です」と東京消防庁防災部防災安全課生活安全係の会川雄大主任は話す。

▽調味料を取る手が危険

 22年まで過去5年間の統計を見ると、死傷者が発生した着衣着火による住宅火災の総数は216件。最大の出火原因はこんろが175件で81%を占め、死傷者は181人。このうち死者は9人で7人は高齢者だった。さらに入院を必要とする中等症以上のけがなどを負った人は65歳以上では6割を超え、高齢者は重症化する可能性も高い。

 理由は「加齢に伴う身体機能の低下で、衣類へ着火しても気付くのに遅れ、初期消火に手間取るケースが考えられます」。こんろによる着衣着火を発生時間別に見ると午前7時台、午後0時台、夕方6時台に多く、調理の時間帯と重なる。

 「調味料を取るときに袖が火に触れるなどで、手や腕にけがをする人が圧倒的に多いです。次に多いのが背部で、調理中に振り向いて着火するなどの例です」

▽水道水で冷やす

 予防策として▽調理中は袖が広がっている衣類やマフラーなどの着用を避ける▽こんろの周りに物を置かない▽鍋底の大きさに合わせた火力調節をする―などが大切だ。また防炎品の着用も有効だという。火が付きづらく、燃え広がりにくい素材を使ったエプロンやアームカバーが販売されている。

 着衣着火したときは、水を掛ける、衣類を脱ぐ、たたくなどの方法でまず消火。患部はできるだけ早く水で冷やす。その際、風呂の残り湯などは避け、水道水などの清潔な水を掛け流す。衣類が肌に付着しているときは無理に脱がずに、衣類の上から水を掛ける。

 やけど用の市販薬の使用やアロエを塗るなどの民間療法は避ける。119番通報し、救急隊が到着するまで患部を冷やし続けるか、清潔な布やタオルなどで覆う。

 消火後の119番通報はためらいがちだが「着衣着火は火災です。消火後でも火種が残っている可能性もあるため、まずは通報してください」と会川主任はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)

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