世界保健機関(WHO)は、地域によって「麻疹(ましん、はしか)排除」または「麻疹による死亡者の大幅な減少」を目標に掲げており,わが国を含む西太平洋地域では「2012年までの麻疹排除」を目標にしている。WHO西太平洋地域37カ国のうち既に半数以上の国で排除もしくは排除に近い状況だが,同地域で発生する麻疹症例の97%を占めているのが日本と中国だ。わが国で2009年に発生した麻疹患者数は741例。前年(1万1,015例)の93%減という大幅な低下を達成したものの,2008年度のワクチン接種率は排除達成基準の1つである95%に届いていない。国立感染症研究所感染症情報センター第三室長の多屋馨子氏は2月22日,同研究所で開かれた感染症意見交換会で,同センター発行の月報「病原微生物検出情報」に報告された麻疹ワクチン接種率などについて紹介。中国が国家主導で9,000万人規模のワクチン接種を予定していることなどから,今後わが国の麻疹対策が世界から批判を浴びる可能性を指摘した。 最新の麻疹(はしか)発生報告数と年間推移を見る