体のために減塩食がよいからといって,ふだんの料理の塩分をただ少なくするというだけでは,味覚の点で満足できません。今回と次回で,薄味でもおいしく食べられる工夫を紹介しましょう。 (1)鮮度のよい食材を使う:捕れたての魚,収穫したばかりの野菜は,余分な調味料がなくてもそのままで十分おいしいものです。旬の食材は栄養も豊かでしかも安価です。季節の新鮮な食材を使ってメニューを立てましょう。 (2)酸味を利用する:薄味料理に欠かせない調味料として,酢があります。酢を加えることで塩分を減らしても違和感なく食べられます。酸っぱいものが苦手という人は,だし汁や酒,みりんなどで割るとよいでしょう。かんきつ類(レモン,ユズ,カボス,スダチ,ダイダイなど)や,トマト,リンゴなどは独特なさわやかさがあります。 (3)香辛料,香味野菜を利用する:香辛料(カレー粉,コショウ,ワサビ,からし,ショウガ,唐辛子など)や香味野菜(アサツキ,木の芽,ミョウガ,粉サンショウ,ミツバ,長ネギなど)は味にメリハリを付けて薄味のもの足りなさをカバーします。 (4)甘みを減らす:煮物(カボチャ,サトイモなど)をつくるときに砂糖を加えますが,糖分が多いと塩分も多くなります。だし汁を利かせて砂糖の量を減らせば,味のバランスで塩分も控えることができ,薄味でおいしい煮物ができます。