減塩食が体のためによいといっても,ふだんの料理の塩分をただ少なくするだけでは,味覚の点で満足できません。今回から3回にわたって薄味でもおいしく食べられる工夫をご紹介しましょう。 まず今回は,酸味の利用についてです。 酸味は薄味料理に欠かせないものです。調味料に酢がありますが,このほかにレモン,ユズ,ダイダイ,スダチなどのかんきつ類や酸味のあるトマトやリンゴなどはさわやかさをプラスしてくれます。酢のものやサラダなどに利用します。 くせの強いイワシやサバなどは味を濃くして調理しますが,酢漬けとかマリネなどにすると塩味が薄くてもおいしく食べられます。例えば,白身魚の刺し身70gをしょうゆは小さじ1と1/2杯使いますが,ポン酢しょうゆにするとしょうゆは半分の量ですみます。 また,揚げものや焼きものなどに酸味の利いたソース(ポン酢,レモン,マヨネーズ,ヨーグルトなど)を添えると,天つゆやしょうゆで食べるのとは違った味わいで食べることができます。揚げものは冷めると塩分が強くないとおいしくなくなるので,熱いうちに食べるようにします。酸味には生臭さや油っぽさを抑える作用もあります。