食物アレルゲンには卵,牛乳,小麦など,栄養的に優れたものが多く,これらを厳しく除去すると,栄養素の偏りを起こしやすくなります。特に発育期の小児の場合は考慮しなければなりません。栄養必要量と栄養素バランスを確保するために,代替食品を利用しましょう。 卵は良質の蛋白質源として栄養価値のある食品です。肉類(豚肉,牛肉,羊肉,鶏肉は症状によって不可),魚介類,大豆・大豆製品などで代替します。 また牛乳は飲み物として優れた栄養ドリンクです。牛乳アレルギーの人は,カルシウム不足にならないようにしましょう。代替の蛋白質源として,肉類,魚介類,卵,大豆・大豆製品,豆乳などがあります。またアレルギー用ミルクや豆乳を利用したシチュー,ポタージュ,グラタンなどもあります。お菓子を取る場合には,牛乳・ヨーグルト・生クリーム・バターを使わない菓子類もあります。 小麦粉については,主食となる食品を代替します。ごはん,もち,ビーフン,春雨などを主食にしましょう。グルテン不使用の米粉パン,きびめん,あわめん,ひえめん,米粉ケーキ,雑穀クッキー,小麦不使用の和菓子(もち,団子,ようかん,きんつば,おはぎなど)や,衣や生地の代替として,片栗粉,トウモロコシ粉,コーンフレークなどを使います。 アレルゲンが複数の場合は,1つのアレルゲン食品が4~7日の間隔となるように少量ずつ交互に取るようにします。除去した食品は,それに代わる代替食品で栄養素バランスを取るようにしましょう。また,食品衛生法の2004年の改正により食物アレルギーの頻度の多いものと,重篤な症状を誘発する食品(卵,乳製品,小麦,そば,落花生など)に対して微量でも表示が義務付けられています。加工食品などを利用する場合は,表示を確認するようにしましょう。