食物アレルギーは,原因となる食物を摂取した後に,免疫学的機序を介して生体にとって不利益となる症状(皮膚,粘膜,消化器,呼吸器,アナフィラキシーなど)が起こる現象を指します。食物アレルギーの多くは乳幼児に発症し,成長とともに軽快していきます。小児の場合,0~6歳では「鶏卵,乳製品,小麦」がアレルギーの上位を占め,7~9歳では「甲殻類,鶏卵,そば,小麦」がアレルゲンの上位に来ています。 食事療法の原則として,(1)原因となるアレルゲンを除去する(除去食の実施)。完全除去食はアレルギー症状が強く,生命が危険である場合に適用され,多くは2歳以下が対象となる(2)除去食の実施による栄養低下を防止する(代替食品の活用)(3)小児の場合,成長に伴ってアレルゲン食品に対する耐性が生じてくるので定期検査を行い,その結果に応じて除去食を緩和していく(4)アレルゲンが複数の場合,1つのアレルゲン食品が4~7日の間隔となるように少量ずつ交互に食べさせ,過敏性を和らげていく--などがあります。 アレルギー疾患に共通する治療法はないので,詳細な問診(家族歴,食事状況,生活環境,症状など)や臨床検査に基づいて正しいアレルゲンを見いだすことが大切になります。必要以上の制限は,栄養障害を起こし成長を遅らせたり,家族の精神的負担を大きくしたりします。栄養素バランスを保つことに留意して,手づくりの楽しさが味わえるような献立を取り入れるようにしましょう。