便秘の種類によって食事療法が異なります。一般に多い機能性の便秘には,弛緩性便秘と痙攣性便秘があります。日本人の多くは弛緩性便秘といわれています。 弛緩性便秘は,腸管の蠕動運動の低下により,便の通過に時間がかかり,水分が過剰に吸収された状態です。便秘の改善にはまず,規則正しい食生活をしましょう。高齢者で生活活動が低下していたり,食が細くなったり,また,若い人の過激なダイエットや運動不足,偏った食生活などで弛緩性便秘が見られたりします。 弛緩性便秘の食事療法では,適度な刺激は腸管の蠕動運動を高めるので,冷水や適度なアルコール飲料,果汁,牛乳などを利用します。1日の水分量は1,500~1,600mLの摂取を心がけます。また,適度な脂質の摂取は脂肪酸による大腸への刺激となります。食物繊維の多い食品(未精白の穀類,麦,玄米,そば,全粒粉のパン,豆,ゴボウ,レンコン,ニンジン,芽キャベツ,ブロッコリー,コマツナ,ホウレンソウ,海藻,キノコ,芋類など)を積極的に献立に取り入れましょう。これは,便の量を増やし,便通を整える役目をします。また朝食後,たとえ便意がなくても決まった時間での排便行動を毎日続けて習慣化させましょう。 痙攣性便秘は大腸の痙攣性の収縮により,便の移送が障害されたために起こります。腸を刺激するような食物はかえってよくないので,食物繊維は果物や海藻などの水溶性の食品を適度に取るようにします。刺激性のある食品(香辛料,アルコール飲料,炭酸飲料,カフェイン飲料など)は制限しましょう。また,ストレスや過労がその原因になっている場合が多いので,休養を心がけるようにしましょう。