腎疾患の食事は病態や病期によっていろいろと変化します。腎機能の障害による代謝異常の是正を目的とし,障害の程度に合わせた食事を取って腎臓の負担を減らすことが大切です。 おもな食事療法のポイントは,(1)エネルギーを十分に取る:蛋白質制限時にはエネルギーを十分に取るようにします。目安は2,000kcal/日で高度の高尿素窒素血症の改善を目的とします(2)蛋白質は腎機能障害の程度によって制限,または十分に取る:腎機能が低下して糸球体濾過率が正常の50%以下になると,蛋白質の代謝産物が蓄積するので蛋白質を制限します。また,顕著な蛋白尿が見られる場合は蛋白質を補う目的で十分に取ります(3)ナトリウムを制限する:浮腫や高血圧を伴う場合は制限しましょう。一方,利尿薬使用時や代償性多尿期などで低ナトリウム血症の場合は食塩を補給します(4)極期には水分制限,カリウム制限をする:高カリウム血症は,心拍動に異常が生じ心停止を起こす可能性があるので制限します。 食事療法のなかで特に腎不全期の食事は低蛋白質,高エネルギー食が不可欠となります。この条件を自然食品のみで満たすことは容易ではありません。そのために「治療用特殊食品」が多数開発されているので,これらを上手に使うようにしましょう。