ベトナム戦争中、米軍によって散布された枯葉剤は、その後も長きにわたって人々を苦しめている。その一つに挙げられるのが奇形などの先天異常だが、大量散布されたベトナム南部での発生率が減少している可能性が示された。愛知学院大学歯学部の新美照幸講師(口腔先天異常学)は、2008~13年にベトナム南部の病院で生まれた4万5,000人について調べたところ、奇形の発生率は「日本よりむしろ低かった」と、7月26~27日に麻布大学(神奈川県)で開かれた日本先天異常学会の会合で報告。ただし、同時期に現地で超音波による出生前診断が普及してきたことから、人工妊娠中絶によって奇形の発生率が減った可能性も指摘している。